Se connecter真言、私が離れたのは、オーストリアの一件だけが理由じゃないの。それより前から、あなたと紗知は私に無数の間違いを押し付けてきた。もし一緒にオーストリアに行けていたとしても、きっと航空券やホテルの名前を間違えて、いつかは私の将来まで台無しにしていたよ。場所や時間をもう一度確認するなんて、ほんの数秒で済むことでしょう?私が旅行の準備に何日もかけていた間、あなたたちはその数秒すら、私のために使ってくれなかったじゃない」真言はもう言い訳をしなかった。彼ははっきりと理解していたのだ。自分がすでに、一歩ずつ取り返しのつかない間違いを重ねてきたことを。「お前、すごく大人になったな。もう、俺が守ら
だから今、私はあなたのことを恨んでない。これで、お互いに貸し借りなしってこと」私は真言の方を向く。「真言、あなたともこれでおしまいね。ケーキはもう出さなくていいし、あなたの復縁話も聞きたくない。私、帰るね」真言は席に座ったまま固まっていた。「なんで……分かったんだ?」「昔、あなたが私に告白した時と、やり方が全く同じだったから」「凪咲、もう一度だけチャンスをくれないか?」「これ以上、あなたを嫌いにさせないで」そう言い残し、私はためらうことなくドアの方へ歩き出した。紗知とすれ違った瞬間、彼女の目に涙が溜まっているのが見えた。昔の私たちは、本当に仲がよかった。ラーメン屋でネギ
通話ボタンを押す。相手は、真言だった。私が切ってしまうのを恐れてか、彼は早口で話し始めた。「凪咲、迷惑をかけてるのは分かってる。でも、みんな本当にお前に謝りたいんだ。今LINEでURLを送った、海岸通りのレストランで待ってる。来てくれたら、もう二度とつきまとわないから」「約束する?」「絶対だ!」私からの確認の言葉を聞いて、真言は何度も頷くように答えた。……レストランへ行くと、店内には見覚えのある顔がいくつか並んでいた。私の日記を読み上げた連中や、真言、さらには紗知までいる。私が入ってくるのを見ると、真言はご機嫌を取るようにメニューを差し出した。「凪咲、注文しなよ」私はそれ
真言は宝物を自慢する子供のように、リュックから品々を次々と取り出していく。私は、そのうちの一枚の紙に目をやった。そこには、涙で滲んだようなインクの跡が残っていた。それは私の字によく似ていたが、わずかに違って見えた。真言は私の視線に気づくと、すぐにそれを拾い上げて差し出した。「凪咲、これ、お前の字をまねして書いたんだ!似てるだろ?お前がいなくなってから、よく昔の手紙を読み返してさ。ずっと練習してた。凪咲、俺はもう紗知とは一切関わってないんだ!ほら、あいつとのインスタの投稿も全部消したから!」彼は再びスマホを取り出した。インスタのプロフィール画像は私たちが手をつないでいる写真のまま
「捨てたよ」「なんで勝手に俺の物を捨てるんだよ!」紗知はすっかり諦めたように、皮肉な笑みを浮かべた。「なんでって?あなたが私に押し付けたんじゃない。思い出させてあげようか?あなたが私にあの箱を押し付けて、『好きに処分していい』って言ったよ」真言は全身の血の気が引くのを感じた。あの時、頭に血が上っていた彼は、自分のプレゼントを投げつけられたことに激怒し、勢いでそう言い放っただけだった。紗知なら、気を利かせて自分の代わりに保管しておいてくれると思い込んでいた。なぜなら彼女はいつも、「私のせいで二人が喧嘩するのは嫌だ」と言っていたから。自分が間違っていた。どうしようもないほどに。
担任の言葉を聞いた真言は、激しく動揺した。凪咲が自分のもとを離れ、一人で海外へ行くなど、想像したこともなかった。「先生、何かの間違いじゃないですか?凪咲は帝都大の近くの私大を志望していたはずじゃ……」「それは随分前の話だよ。荻野はあの後、信じられないくらい猛勉強してね。成績が飛躍的に伸びたんだ」先生は感慨深げに言う。「最終的に、国内の難関大だけでなく、海外の大学にも複数合格していたんだよ。だからてっきり、君たちと一緒に帝都大へ進学するものだとばかり思っていたが」「凪咲が……帝都大に、合格したんですか?」真言は信じられないというように呟いた。「当然だ。全国模試ではトップクラスの成