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第3話

مؤلف: くまちゃんは必ず輝く
翌日、怜司の母、冴子から電話があった。

冴子の声は不機嫌だった。「今夜六時、怜司を連れてこちらに来なさい」

雪乃は「はい」と気のない返事をしたが、あの家に戻るなど、億劫でしかない。

冴子と会う時はいつも、気まずい思いをするからだ。

結婚した当初は、雪乃も冴子に歩み寄ろうと努力した。だが、冴子はそんな雪乃をまったく寄せ付けなかった。

怜司は朝早くから若葉を連れて会社に行った。雪乃の連絡先はとっくに怜司によってブロックされている。

若葉を守るため、怜司は会社の入り口に「神崎雪乃と犬、入るべからず」という立て看板を特注した。

この一件により、雪乃は社交界の物笑いの種に成り下がった。

今、雪乃が怜司に連絡を取る唯一の方法は会社に電話し、受付に取り次いでもらうことだけだった。

紆余曲折の末、ようやく怜司が電話に出た。

「要件を言え」

一言だけだったが、雪乃には、それが怜司が情事に耽っている時特有の低い声だとわかった。

「冴子さんが今夜、実家に来るようにって」

言い終わった瞬間、電話は切れた。

雪乃はスマホを持ったまま、通話していた時の姿勢で固まった。

脳裏には先ほど通話中の数秒間に聞こえた音が制御不能に蘇る。

若葉のか細い、喘ぐような声が不意に耳に飛び込んできた。

この結婚生活の五年間、怜司の女は数え切れないほどいた。

だが、彼は決して一線を越えず、本気になることもなかった。

しかし今回は……

雪乃は鈍い痛みが走る胸を押さえ、不快感を和らげようとした。

すべての無念が、「もういい」という一言に変わった。

実家へ向かう道中、雪乃は屋敷から百メートルほど離れた場所に車を停め、怜司を待った。

夜の帳が下り、街灯が一つ、また一つと灯り始めた頃、ようやく怜司の車がやってきた。

車の窓が下り、怜司の気品ある横顔が現れた。

雪乃も彼女の車の窓を下ろし、何か言おうとしたが、怜司の助手席にまだ人が座っていることに気づいた。

怜司はわざと見せつけるように隣の人に言った。「薬は塗ったか?」

若葉は嬉しそうに笑い、もとより清純なその顔立ちが、いっそう可憐に映った。「塗りました。でも、医者が少なくとも半月はダメだって……」

怜司は仕方なさそうに若葉の髪を撫で、その声は諦めと甘さを含んでいた。「俺のせいだな」

雪乃はもちろん二人の会話の意味を理解した。彼女はハンドルを握る手に力を込め、張り詰めた声を出した。「必ずそんな方法で私を辱めなければならないの?」

怜司はそこで初めて雪乃に視線を向けた。先ほどまでの優しい声は今嘲りに満ちていた。「若葉と普通に会話していただけだ。自意識過剰も甚だしい」

雪乃はもう二人を見ず、車の窓を上げてから横を向き、目尻の涙を拭った。

高遠家の屋敷の前に車が停まり、雪乃は怜司の後ろに続く若葉を見た。

「彼女も一緒に?」

怜司は意に介さず若葉の手を握った。「俺の秘書だ。何か問題でも?」

若葉の口角がきゅっと上がった。月明かりを映した瞳がきらりと光った。「雪乃、私が来たのはね、まだ仕事が残ってたから。別に、他には何もないんだから……変なこと考えないでね?」

明るい街灯が若葉の首にかかるブルーダイヤのネックレスをきらびやかに照らした。

雪乃はそのネックレスを静かに見つめ、怜司がこのネックレスを雪乃につけてくれた時の光景が、またも脳裏に蘇った。

しばらくして、雪乃は頷き、できるだけ平然を装って肩をすくめた。「そうね、あなたの言う通りだわ」

怜司は美しい眉をひそめた。理由はわからないが、心に妙な感情が芽生えた。

怜司はもう雪乃を見ず、若葉の手を強く握った。「放っておけ。行くぞ」

二人の背中が雪乃の視界から消えていった。

どれくらい門の外に立っていただろうか。冷たい風が吹き抜け、雪乃はコートの前を掻き合わせ、音にならない溜息がこぼれた。

門を開けてダイニングルームに入ると、冴子が若葉に料理を取り分けていた。「若葉ちゃん、怜司の会社の切り盛り、大変ね。このオマール海老、今日空輸されたばかりで新鮮よ。召し上がれ……」

若葉は恐縮した。「ありがとうございます、冴子さん。高遠社長のためなら当然ですわ」

若葉の殊勝な言葉を聞き、冴子はさらに上機嫌になった。「もうすぐ大晦日でしょう。今年は特例で帰省しないと聞いたわ。よかったら大晦日の夜、うちで食事しない?」

若葉は怜司に視線を送り、少し恥ずかしそうに微笑んだ。「よろしいんですか?ご迷惑では?」

怜司は若葉にジュースを注いだ。「もちろんだ。君はこの数日、会社の入札の件で疲れている。しっかり食べろ……」

彼らが和気藹々としている様子を見て、雪乃はふと思い出した。彼女が初めて怜司の仲間たちに紹介された時、怜司の仲間うちには、雪乃のことを「本気の相手」ではなく「遊び」だと高を括る者もおり、食事の席でしきりに酒を勧めてきた。

あの時、怜司は酒の入ったグラスを押しやり、新しい空のグラスにジュースを注いだ。「雪乃は酒が飲めない。怖がらせるな」

一度の事故が雪乃のすべてを奪い去った。

冴子がこのような眼差しをすることは稀だった。彼女が若葉に向ける満足げで慈愛に満ちた眼差しは、まるで若葉こそが自分の嫁であるかのようだった。

雪乃はその場に立ち尽くし、邪魔をすることもできず、このままこっそりと立ち去るべきか迷っていた。

「雪乃様、お帰りなさいませ」

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