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第32話

Penulis: 城間ようこ
last update Terakhir Diperbarui: 2025-08-26 17:56:41

ダリアをどう陥れようか、どんな落とし方にしようか、私なりに色々考えてみた。

結論は、貴族も平民も合わせて、世論を使い続けること。まだ存在しない世論は、この手で作り出す。

自己保身や自己満足、あるいは野次馬としての娯楽感覚で、他者を傷つけても罪悪感を抱かない人間なら、いつの世も必ずいるわ。

私も繰り返してきた人生で散々苦しめられたもの。

──だから、今生ではそれを利用する。皆に悪役となってもらおうじゃないの。

見境なく、誰かしらに八つ当たりして鬱憤を晴らしたい人たちには、私の奏でる復讐の音で踊ってもらうわ。

「それは、ダリアを人々の娯楽のタネにするって意味だね?」

──そうよ。考えてもみて。誰も傷つけずに済むのは、人や他のものに牙を向けることのない、物言わぬ愛玩動物の生涯くらいのものでしょうけど……その点で、ダリアはあまりにも私に悪いの牙を向けすぎたわ。報いは受けさせる。

「ガネーシャ自身は手を汚すことなしに、だよね?」

──もちろん、そうでなければ。だから皆に踊ってもらうの。幸い、ダリアは禁忌を犯しているから、何の気兼ねもないでしょう?

──そのためにも、何か決定的な事件が起こればいいのだけど……取り返しのつかないようなことを、ダリアと王太子殿下が仕出かしてくれれば。

「二人の間に不義の子ができるとか?」

──さすがに、それはないわよね?廃人状態でも一国の王太子殿下が、避妊もせず未婚の令嬢と……なんて。

「まあ、普通はね……」

ところが、ある日の晩餐で驚くべき事実が分かった。

その晩餐は、いつになく豪華で──ダリアの好物ばかりが並んでいたの。

当然、不思議に思った。ダリアの振る舞いで褒められるところなんて、ひとつもなかったもの。

「今夜は随分豪勢なお料理が多いのですね?」

慎重に言葉を選んで疑問を口にすると、ダリアがわざとらしく頬を染めながら答えてくれた。

「お恥ずかしいですわ……実は、私、月のものが始まりましたの……」

──え?今になって始まるだなんて遅いわね?

元いた家は裕福ではなかっただろうけれど、日々の食事に困るほどではなかったでしょうに。

──ベリテ、こういうのは個人差があるとは聞いていたけれど。

「どうやら、ダリアは嘘をついているわけでもなさそうだよ」

──ベリテは天使として長い時間を生きてきたから、人間も相当見てきたのよね……?

「うん。だから、この
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