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変なやつらに絡まれた

last update Dernière mise à jour: 2025-03-21 19:10:35

 俺は急いで地面に木の板を置くと、背負っていたバッグの中から服を取り出し、慌てて身に着けた。

 そして、首から下げていた冒険者証を門番に見せる。

「ほ、ほら! これを見てください! ほんとにシルバー級の冒険者なんですよ!」

 門番はしばらく、鋭い眼光で疑わしげに俺を見ていた。俺の目を覗き込みながら、隠された何かを見透かそうとしているかのように。

 俺の声は少し震えていたが、必死さは伝わったらしい。怯えるような瞳をしていたのかもしれない。彼は恐る恐るプレートを確認してくれて、渋々槍を下ろしてくれた。

「……確かにシルバー級の冒険者の証だな。しかし、もう少し身なりに気をつけるんだな。お前のような格好で来る者はいない」

「す、すみません。色々ありまして……。とにかく、これで街に入れてもらえますよね?」

 門番から許しを貰い、俺はようやく街の中へと足を踏み入れた。

 街の喧騒が耳を打ち、あちこちで人々の活気があふれていた。商人の声、子供たちの笑い声、さらには冒険者たちの熱い議論が日常の光景の一部だ。俺はギルドへ向かうため、急ぎ足で人混みをかき分けていく。

 ギルドの扉を開くと、落ち着いた雰囲気の中で賑わっている様子が見え、ホッと胸を撫で下ろす。危うく犯罪者とか危険人物扱いされて捕まるところだったからね。

 受付には、いつものアンネさんがいた。彼女は柔らかい笑顔を浮かべており、その表情は俺にとっての安らぎだった。俺は急いで戦利品を渡し、魔石を提出する。

「なるほど、確かにジャイアントルーパーの魔石ですね。討伐お疲れ様でした」

 アンネさんは手際よく報酬の準備を進めている。

 一方的に襲われ続けただけだけど、結果的に8匹も倒したからな。

「こんなにたくさん討伐するなんてすごいですね」

「途中で洗髪の邪魔をされまくってしまいまして……」

 あの現場を見て

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