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走り回る

last update Huling Na-update: 2025-04-11 12:01:42

「宝箱じゃーん!」

 また行き止まりに宝箱を発見した。

 黒川式罠検知術を発動する。

「ちょいっとな」

 先程まで自分の頭があった場所目掛けて、左の壁から槍が飛び出してきた。

「はいはいお見通しでーす」

 運良く罠を回避すると、再度黒川式罠検知術を発動した。

 するとまた槍が飛び出した。

「なるほどねー、宝箱破れたり!」

 体を屈めて宝箱の蓋を開けると、頭上で槍が通過した。

 宝箱の中には金属製のダガーが入っていた。

「刃も綺麗だし、これは高く売れそうだぞ!」

 手を叩いて喜ぶと、さらに迷宮の奥へと進んでいく。

 分岐を3箇所ほど経て、14階への階段を発見した。

「かなり広いや、13階も2時間はかかっていないだろうけど、90分くらいはかかってそうだなー。そうだ!」

(ステータス)

 黒川 夜

 レベル:27

 属性:闇

 HP:3660

 MP:1820

 攻撃力:2620

 防御力:3090

 敏捷性:3975

 魔力:5880

 スキル

 ・シャドークロー レベル2

 ・ダーク レベル2

 ・ナイトメア レベル1

 魔法

 ・レイヴン レベル1

「魔法が増えてる! どれどれ効果はー?」

(レイヴン レベル1:対象1体に漆黒の鳥が襲いかかる)

「やっぱり1体かー。多数相手には微妙か? とりあえずいっちょ使ってみますかー!」

 通路を進むといましたよ、モルモットの皆さんが。ゴブリン2体にアーチャー1体にメイジ3体か。

 まだこちらには気付いていないようだ。

(レイヴン)

 目の前で闇が凝縮するようにカラスを模した鳥となり、バサッと羽ばたくような音がすると、疾風の如き速さで一直線にゴブリンに飛来し、胸を貫き命を奪うと暗闇に溶け込むように消えた。

(つええええ…&hell

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    「悪い子は居ねがー! 階段はねえがー!」  ナマハゲと化したヨルハゲは、疲れなどどこ吹く風とばかりに両手を広げて疾走し、モンスターを見つけては、「言うこど聞がねゴブリンはいねがー!」 と蹂躙を繰り返した。何故ナマハゲをチョイスしたかは気分である。 そろそろナマハゲごっこが飽きてきた時、16階への階段を見つけた。2時間以上は探しただろう。「そろそろヘトヘトだ。早く休みたいよ」 さすがに疲れの色が見えてきたのか、肩を落として溜息を吐く。トボトボとした様子で階段を降りると、先程までと代わり映えのしない16階の景色が視界に広がる。「お花畑とか山岳地帯とか風景が変わってくれると盛り上がるんだけどねー……。セーフゾーンまであと少し、気合入れていきましょ!」 深夜なので叫び声はあげなかったが、あと少しとばかりに更にスピードを上げ、セーフゾーンの明かりを目指して突き進む。30分ほど経っただろうか、ひときわ明るい光の漏れだす通路が見える。(黒川選手、ゴールです!) 着替える事など頭から抜け落ち、ただただ目的地にたどり着いた嬉しさから、ゴールテープを切るようにバンザイしながらセーフゾーンへと飛び込んだ。「は?」 ゴブリン20体、ゴブリンリーダー10体、ゴブリンアーチャー10体、ゴブリンメイジ10体が突如出現した。そう、モンスターハウスだ。「ゲヒャゲヒャ!」「ギヒィギヒィ!」 ゴブリンたちは醜悪な笑みを浮かべ、罠に獲物が飛び込んできたことを心底喜んでいるようだ。 ステータスを確認すると、MPは500を切っていた。「俺を嵌めたのがそんなに嬉しいか……。 怒ったかんなっ!」 慣れていないため、プリプリと可愛らしく怒ると、まるで鬼でも乗り移ったかのように怒気を発し、弾丸のようにモンスターの集団に突撃した。「オラッ! スカタン! おたんこなす!」 聞き慣れない悪口を吐きながら、質量を持った左右の影の爪が、弧を描く

    Huling Na-update : 2025-04-12
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    Huling Na-update : 2025-04-13
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    Huling Na-update : 2025-04-14
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    Huling Na-update : 2025-04-15
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    Huling Na-update : 2025-04-16
  • 闇属性は変態だった?転移した世界でのほほんと生きたい   好きな歌

    「こちらトマーテの冷製スープになります」 危ないところだった。ウエイトレスさんが次の料理を運んでくれた。イズハさんはエールのおかわりを頼んでいた。 スープは、ニンニクの食欲をそそる香りと、貝の出汁と白ワインのような味わいが感じられる。オレガノのようなハーブの香りが全体を引き締めているようだ。「このスープも美味しいな! ヨールお前女に合わせて酒飲めねえとモテないぞ!」「な、なるほど! 初めてお酒を飲むから迷惑かけたらまずいかなと思って」「そんなもんは迷惑かけてから気にすりゃいいだろ! 裸でうろつく変質者が何言ってんだか。ほら、飲め飲め!」 言われるがままペースを早める。その後魚料理、肉料理ときて、エールを4杯も飲んでしまった。イズハさんは9杯目のジョッキを掲げている。大分酔いが回ってなんだか楽しくなってきた。「えー、イズハっぴ冷えたエール飲んだことないのー? 今度また行こうよー!」「なんだヨールてめえ酒も喧嘩も弱いくせにあたしを誘おうってか! 上等だかかってこい! わはははははは!」 酔っ払ってティーダ化したヨールとすっかり出来上がったイズハは、最後にデザートを食べ、店を後にした。「よーし、ヨール! もう一件行くかー?」「今日はこれくらいにしてまたにしよう! この街からエールが無くなったらみんな困っちゃうもんねー! だはははははは!」「雑魚だなてめえは! わはははははは!」(次の店に行ったら確実に吐く。俺のシックスセンスがそう告げているぜ……) なんとか難を逃れ、イズハさんを宿まで送って行くことにした。ギルドから歩いて1時間くらいの所に住んでいるらしい。 定期的に肩を小突かれるので、そろそろ俺は死ぬかもしれない。 しばらく歩いていると、カントリー調の歌が聞こえてきた。この世界にも路上ライブをしている人がいるみたいだ。「あれれー、イズハっぴー。歌が聞こえるぞー」「ありゃギータだな。なかなかいい歌じゃねえか!」「これはこれはイズハ隊長、お歌

    Huling Na-update : 2025-04-17
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    「何処なんだよここはよぉー! あんのクソジジイ……次に会ったらタダじゃおかねえぞコラ!」 気づいたら木々に囲まれた見覚えのない森の中にいた。そもそも、さっきまで学校に居たんだけどな。(ステータス) 武藤 零ニ(むとう れいじ) レベル:1 属性:無 HP:250 MP:70 攻撃力:100 防御力:50 敏捷性:100 魔力:40 装備 ・村人の服 ・村人のズボン ・麻紐のベルト ・革靴(ローファー) ・ライター ・タバコ ・麻の袋(大銀貨30枚) スキル ・アイテムボックス レベル1 これがどうやら俺の能力らしい。と、その前になんでこんな事になったのか説明が必要だよな。 夏休みの補習を受けねえとダブっちまうって話だったんで、仕方なく学校に行ったらよ、英語教師のみさきちゃんと変なジジイが現れやがったのよ。 みさきちゃんの様子が変だったんで、嫌な予感がしてジジイをぶっ飛ばしてやろうと思ったんだがよ、俺の体が動かなくなっちまって、気づいたら光の中だ。 突然目の前にクソ白髪が現れたと思ったら、私は神だなんて言いやがる。 ご立派な顎髭をむしり取ってやろうと手を伸ばしたら、変な力で5メートルくらい吹っ飛ばされちまった。 動けなくなった俺に神と名乗るジジイは長ったらしく色々と説明し始めた。ご高説ありがとうございますってか? スキルだ魔法だと訳の分からねえことを抜かしやがったと思ったら、俺の体を青い体毛に覆われた狼男みてえに変えやがった。腹や手足には白い毛が生えていて、体からは犬の臭いがしやがる。 目の前が光に包まれたと思ったら、いつの間にか森の中に立ってたってわけよ。じゃあ、俺の話に戻るとするか。「世界を統一だあ? 獣人以外ぶっ殺しちまえばいいんだろ? 俺をこんな目に合わせたことを後悔させてやるぜ!」 この世界は大き

    Huling Na-update : 2025-04-19
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    (人か……?) 道を挟んで反対側の森から、身長1メール程の二足歩行の犬といった見た目で、右手に木の棍棒を持った生き物がキョロキョロと辺りを見回しながら出てきた。子供の犬獣人かもしれない。「おいガキ! ここはどこだ?」 茂みから出て眼光鋭く睨みを効かし、近づいていく。「ワン!」 威嚇するように吠えると、二足歩行の小型の犬は棍棒を振り上げこちらに走ってきた。「おい止まれ!」 注意を促すが、止まる様子はない。こちらの左脇腹を狙い棍棒を横薙ぎに振るってきた。子供なのになかなかの身体能力なのは獣人だからであろうか。 2回バックステップをして距離を取る。「おいガキ! 次はねえぞ、止まれ!」 再度注意を促すが、再び棍棒を振り上げ襲いかかってきた。 乱暴に振り下ろされた棍棒を左にサイドステップでかわし、棍棒を持つ手の手首を右足で蹴り上げ、棍棒が手から離れたのを確認してから、右のストレートで顔面を殴りつけた。「キャイン!」 二足歩行の犬は、金切声のような悲鳴をあげて地面に倒れると、脳が揺れているのか立とうとするが膝が笑っており力が入らずなかなか立てないようだ。 右手で棍棒を拾い上げ、トントンと右の肩を叩く。「アホが、痛い目見て分かったか? ここがどこか教えろ!」 話しかけるが返事はない。 ようやく軽い脳震盪から回復したのか、ゆっくりと立ち上がり噛みつこうと大口を空けてこちらに向かってきた。 右手の棍棒て下顎を打つと、顎が外れて大きく頭を傾け、走っていた勢いのまま地面に受け身をとれずに頭から倒れた。「お、おい! 大丈夫か?」 慌ててかけよると、白目を剥いて舌を出し、泡を吹いてガクガクと体を震わせていた。体を揺するが反応は無い。まだ息はあるので死んではいないようだ。目を覚ますまでしばらく待つとするか。 時々肩を叩いて呼びかけるが反応はない。15分くらい経っただろうか、近くの茂みがガサガサと音をたてると、中から透明な水風船を地

    Huling Na-update : 2025-04-20

Pinakabagong kabanata

  • 闇属性は変態だった?転移した世界でのほほんと生きたい   冒険者 side武藤 零ニ

     最初にこちらを威圧するような態度だったので高圧的な嫌なやつかと思ったが、中々話のできる良い奴そうだ。「俺も冒険者になりゃあ強くなれんのか?」「ははは、試してみるといい。良いパーティーが見つかるといいな」「1人じゃ駄目なのか?」「ふむ、パーティーを組めばより強いモンスターと戦える。ソロでダンジョンに挑む馬鹿はおらんしな。早く強くなりたいのであれば、仲間を探すべきであろうな」「そういうもんか、じゃあ俺も冒険者ってのになってみっかな! 強くなったら俺のパーティーにおっさんも誘ってやるよ!」「それは熊ったなー。ぶぁーっはっはっはっは!」「おいおっさん、つまんねえぞ!」「ぶぁーーっはっはっはっは!」 冒険者か、今は何より強くならなきゃいけねえしいいかもしれねえ。しかしパーティーか、よええのと組まねえように気をつけねえとな。街の中心に冒険者ギルドってのがあるらしいから、そこで登録すりゃあ誰でもすぐに冒険者になれるみてえだ。 頭の中でおっさんの話をまとめていたら閂の外れる音の後にゆっくりと門が開いた。クリスと……なんだありゃ、首の長え奴がいやがる。キリンの獣人か、あんなのになってたら生活に不便すること間違いなしだったぜ。「お待たせしましたー! 衛兵長のジラフォイですー!」 声高すぎだろ、しかもジラフォイってなんだよ。こいつ笑わせにきてやがんな!「あ、あぁ。こっちは待ってる間にそこのおっさんにいい話が聞けて良かったぜ。街には入れるのか?」「まずはテストをするフォイ! 合格したら入れてやるフォイ!」「ぶふぉ……くっ、くく……。そ、そうか」 このキリン野朗畳み掛けてきやがった。笑いを堪えてたとこにこの不意打ちは卑怯だろ。獣人てのはこんなのばっかりなのか?「ジラフォイ隊長、いい加減笑う奴はいい奴っていうテストはやめた方がよいのではないか? 意味がない気がするのだが」「今日はもう遅い、この狼獣人の子供も早めに宿をとっ

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    「あらあら、皆さんお揃いのようですね。それでは始めましょうか」 光に包まれた世界で3人の男女の前で話し始めたのは、煌めく金髪に心の中まで見通すような爛々と輝く銀色の瞳に、彫刻のような端正な顔立ちの一目見たら誰しもが心を奪われてしまうような美女。そう、黒川 夜を人族の国ヒューマニアへと送った女神である。「早いのうオネイローサ。今回で5回目じゃが楽しみで仕方がないわい」 肩まであるウェーブがかった長い白髪に感情の読み取れない白い瞳、所々にシワの刻まれた顔には整った長い口髭と顎髭を蓄えている老人の姿をした神が続いて口を開いた。その口元はニヤリと口角がいやらしく上がっている。武藤 零ニを獣人族の国ビーストリアに送ったジジイと呼ばれていた神だ。「イドモンじいちゃんは毎回悪い顔をしますねぇ。アイギナちゃんの駒はとんでもなく強いのですっ! 今回こそは負けませんからねっ!」 自らをアイギナと名乗るこのほっぺたを朱色に染めた緑色のおかっぱ頭の幼女は、健崎 加無子を巨人族の国アトラストリアへと送った女神である。手をパタパタと動かし、目尻を下げてニコニコと話している。「おいチビ助、まさかまたズルしてねえよな? 前回は属性なしに2つも属性つけて負けてんだぞ?」 高圧的な態度で話すブルーのダブルスーツを着こなす、黒髪をオールバックに纏め上げた英国のモデルのような見た目の男性は、八王子 麻里恵を魔人族の国デモネシアに送ったシドという名の神だ。「ぐっ……。う、うるさいですよっ! シドは相変わらず裏表が激しいですねぇ」「ふぉふぉふぉ、その様子じゃとまた何かやったみたいじゃのぉ。それで負けたら罰ゲーム2倍じゃぞー?」「あらあら、前回お咎め無しにしてあげたのですから、今回は3倍ではないのですか?」「ははは、そりゃいいぜ! 覚悟しとけよクソガキ!」 地球からグリードフィルという異世界へと4人の高校生を強制的に送り出した神たちは、何やら集まって楽しそうに会話をしているようだ。 神達がそれぞれ空中に手をかざすと、テレビのモニターの様に、それぞれが異世界に送った者たちが停

  • 闇属性は変態だった?転移した世界でのほほんと生きたい   強者 side健崎 加無子

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    「無理、できない。」 異世界を統一しろと無理な要求をされたので断ると、僕の目の前では小学4年生くらいの見た目の幼い女の子がプリプリと怒っている。 緑色のおかっぱ頭に潤んだクリクリとした大きな目、吸い込まれるような緑の瞳をした、ほっぺたを真っ赤に膨らませて僕を叱りつけているこの幼女は自分の事を神様だと言っている。 肩甲骨まである真っ直ぐな暗めの栗毛と、クールな見た目で170センチある高身長の自分が一緒にいると、親子と間違われてもおかしくない。「だからぁ、これは絶対なんですぅ……。無理矢理送っちゃいますからねっ!」 夏休み初日の英語の補習で、オリバー先生に手を引かれてやってきたこの幼女、僕を光に包まれた空間に無理矢理連れてきた。「嫌……。僕行きたくない」「もーっ! 勝手に説明しちゃいますからねっ!」「聞きたくない」「健崎 加無子(けんざき かなこ)さんには巨人族になってもらいますからっ!」 目の前を眩しい光が覆い隠す。視界が戻ると、さっきまで腰くらいの位置にあった神様の頭が僕の膝より下にあった。どうやら身長が元の2倍くらいになっているみたいだ。 目の粗い麻の服は、肌が透けて見えるようで恥ずかしいし、胸が大きいので首周りがゆるいのは気に入らない。「ねぇ、1つだけ聞いていいかな? 僕は統一なんて興味無いから何もせず死んでもいいんだけど、それじゃ困るんでしょ?」「はいっ! 非常に困りますっ!」「じゃあ僕の着ていた下着を10セット、服は制服でいいからそれを10セットと靴を5足、サイズを合わせて。後はそれを入れる丈夫なリュックと頑丈な武器と盾を頂戴。そしたら頑張れる。それくらいできるよね?」「ぐっ……。ちょっとステータスって念じて貰えますぅ?」(ステータス) 健崎 加無子 レベル:1 属性:なし HP:2000 MP:0 攻撃力:1000 防御力:1

  • 闇属性は変態だった?転移した世界でのほほんと生きたい   魔王 side八王子 麻里恵

    「ちょっとぉ……。まだ色々聞きたいことがあったのにぃ!」 もっとこの世界について色々聞きたいことがあったのに、強制的に転移させられてしまった。とりあえずスキルを調べてみる。(テイム レベル1:自分より弱いモンスターを従えることができる。弱らせることで格上のモンスターにも発動する。テイムしたモンスターは討伐扱いとなり経験値を取得できる。上限100体)「へぇ、わたしはこの魔法で仲間をどんどん増やしていけばいいわけね」 周囲を見渡すと、遠くに城壁のようなものが見える。おそらく街だろう。ひとまずテイムを試すために、街の方に向かいながらモンスターを探すことにした。 広葉樹や針葉樹など多様な木が生えているが、毒々しい見た目をしているので気味が悪い。おどろおどろしい木々の紫色の葉が風で揺れてガサガサと音をたてるたびにビクンと心臓が跳ね上がる。 怯えるように両手を胸に当て、周囲を警戒しながら森の中を進んでいく。「きゃっ!」 樹上から目の前に何かが落下してきた。「あー! ゲームで見たことある、スライムだー!」(テイム) 早速スキルを使ってみると、スライムのいる地面に魔法陣のようなものが出現し、そこから伸びる円筒状に薄い緑色の光がスライムを包み込んだ。「仲間になったってことかな?」 光が消えると、今までに感じたことのない親近感に似た感覚がスライムから伝わってくる。「おいでおいでー!」 手招きすると、スライムが一生懸命な様子でズリズリと体を前後に伸び縮みさせながら近づいてきた。「よく見たら可愛いね。わたしの言うこと聞いてくれるの?」 質問してみると、スライムはぴょこんと飛び跳ね肯定してくれているようだ。可愛らしい姿に思わず頬が緩む。「いい子ねぇ。他のモンスターからわたしを守ってくれる?」 お願いしてみると、スライムは再び小さくその場でぴょんと飛び、体で肯定の意思を表した。 愛らしい様子に楽しくなって、しばらくスライムに話しかけてみた。こちら

  • 闇属性は変態だった?転移した世界でのほほんと生きたい   魔人 side八王子 麻里恵

     わたしは今光の中にいる。足が地についた感覚はないけれど、どういう原理か立っている。歩こうと思えば歩けるし、座れもする。 今日は夏休み初日で、古文の補習があった。教室で先生を待っていたら、菊ジイこと菊田先生と、スーツ姿のイケメンが入ってきた。 そのイケメンは、ぱっと見ただけで分かるほど高そうなブルーのダブルスーツを着ていて、艶やかな黒髪のオールバックに、金縁の丸メガネをかけ、燃えるような赤い瞳をしていた。彫りの深い欧米人のような顔立ちで、顔のパーツの一つ一つが大きく、作り物のように整った顔立ちはどこか浮世離れしていた。おそらく外国の方だと思う。 菊ジイは虚な目でずっと下を向いたまま何も喋らず、ただ教壇の後ろに立ち尽くしていた。「こんにちは、お嬢さん。お名前を教えて頂いても?」 まさか外国人だと思ってたイケメンから流暢な日本語が発せられると思わなくて、びっくりして噛んでしまった。「は、八王子 麻里恵(はちおうじ まりえ)でひゅ……す」「麻里恵さん、よろしくお願いしますね」 イケメンが優しく微笑みかけてくる。なんて尊さ。(教育実習生なのかな? だとしたら全力で推していきたいところね! 後で一緒に写真を撮ってもらってカナコちゃんに教えてあげよっと!) 色々と妄想をしていると、ドサッという音がした。菊ジイが倒れたようだ。定年近いと聞いていたし、夏の暑さにやられてしまったのかもしれない。「菊ジイ、大丈夫!?」 慌てて駆け寄り肩を叩くが反応はない。かろうじて呼吸はしているようだ。 イケメンが菊ジイを抱き上げ、日陰に移動して横にさせる。「大丈夫ですよ、安心して下さい。麻里恵さん一緒に来ていただけますか?」 なんだろう、保健室だろうか。「はい、大丈夫です!」 わたしは光に包まれた。 で、今ってわけなんだけと……。「麻里恵さん、気づいたみたいだね」 振り返ると爽やかな笑顔のイケメンがいた。歯がキランと光るエフ

  • 闇属性は変態だった?転移した世界でのほほんと生きたい   鑑定 side武藤 零ニ

    (人か……?) 道を挟んで反対側の森から、身長1メール程の二足歩行の犬といった見た目で、右手に木の棍棒を持った生き物がキョロキョロと辺りを見回しながら出てきた。子供の犬獣人かもしれない。「おいガキ! ここはどこだ?」 茂みから出て眼光鋭く睨みを効かし、近づいていく。「ワン!」 威嚇するように吠えると、二足歩行の小型の犬は棍棒を振り上げこちらに走ってきた。「おい止まれ!」 注意を促すが、止まる様子はない。こちらの左脇腹を狙い棍棒を横薙ぎに振るってきた。子供なのになかなかの身体能力なのは獣人だからであろうか。 2回バックステップをして距離を取る。「おいガキ! 次はねえぞ、止まれ!」 再度注意を促すが、再び棍棒を振り上げ襲いかかってきた。 乱暴に振り下ろされた棍棒を左にサイドステップでかわし、棍棒を持つ手の手首を右足で蹴り上げ、棍棒が手から離れたのを確認してから、右のストレートで顔面を殴りつけた。「キャイン!」 二足歩行の犬は、金切声のような悲鳴をあげて地面に倒れると、脳が揺れているのか立とうとするが膝が笑っており力が入らずなかなか立てないようだ。 右手で棍棒を拾い上げ、トントンと右の肩を叩く。「アホが、痛い目見て分かったか? ここがどこか教えろ!」 話しかけるが返事はない。 ようやく軽い脳震盪から回復したのか、ゆっくりと立ち上がり噛みつこうと大口を空けてこちらに向かってきた。 右手の棍棒て下顎を打つと、顎が外れて大きく頭を傾け、走っていた勢いのまま地面に受け身をとれずに頭から倒れた。「お、おい! 大丈夫か?」 慌ててかけよると、白目を剥いて舌を出し、泡を吹いてガクガクと体を震わせていた。体を揺するが反応は無い。まだ息はあるので死んではいないようだ。目を覚ますまでしばらく待つとするか。 時々肩を叩いて呼びかけるが反応はない。15分くらい経っただろうか、近くの茂みがガサガサと音をたてると、中から透明な水風船を地

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