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第13話:今さら

作者: Sunny
last update publish date: 2026-07-02 19:10:42

一週間は、思っていたより早かった。

引っ越しの段ボールを少しずつ減らして、正人に言われた通り、ちゃんと食べる日を少しだけ増やしているうちに、気づけばまた金曜日が近づいていた。

生活は、少しずつ形になっている。

そういう小さなことが、少しずつ身体に馴染んできた。

それでも時々、不意に拓也を思い出すことがあった。

たとえばスーパーで、二人でよく買っていたヨーグルトを見た時。

冷蔵庫の中が一人分の量で足りてしまうと気づいた時。

夜の部屋で、誰にも「ただいま」と言わなくていいことに少しだけほっとして、その直後に少しだけ寂しくなる時。

戻りたいわけじゃない。

もう、あの部屋へ帰りたいわけでもない。

ただ、三年分の生活は、そんなに簡単には消えない。

それだけだった。

***

平日の夜は遅い。

スーパーを出る頃には、時計は二十三時を回っていた。

ヨーグルト、卵、サラダ、炭酸水。

相変わらず適当な買い物だなと思う。一人分なんて、こんなものだ。

マンションのエントランスへ入ると、自動ドアが閉まる音と一緒に、夜の風が遠ざかった。

その時だった。

後ろから足音が近づいてくる。

振り返ると、翔太だった。

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