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第1209話

Auteur: 桜夏
透子は聡に三年の期限を与えた。聡は、このチャンスをものにできると確信していた。

どんな手段を使っても、たとえそれが卑怯だと言われようとも、透子に近づく他の男たちをすべて排除できれば、勝機はある。

聡にはすでにアドバンテージがある。絶対に手に入れてみせるという強い意志があった。

聡は背筋を伸ばし、自信に満ち溢れ、その瞳は生き生きと輝いていた。

先ほどの「協定」を経て、透子は二人の関係を再定義したようだった。

今回、聡が話題を振っても、透子は冷たくあしらうことはしなかった。

むしろ口数も増え、会話のキャッチボールが成立し、まるで以前のような関係に戻ったかのようだった。

山頂の景色を眺めながら、透子は物思いに耽り、聡との「約束」について考えていた。

それは一時的な衝動でも、理恵に説得されたからでもなく、熟考の末に選んだ道だった。

両親も彼女のために多くの見合い相手を用意していたが、彼女はそれらをすべて断ってきた。

見知らぬ男からの情熱的な求愛や告白など、すべてが虚しく思えたからだ。

だが透子も分かっていた。人生はまだ何十年も続く。自分の結婚のことで親に心配をかけるくらいなら、自分から能動的に選んだ方がいいと。

そう考えていると、透子の脳裏に、午前中に蓮司が現れた時の光景が蘇った。

身を切るような後悔と許しを請う姿、涙ながらの卑屈な告白。透子はぼんやりと思い出していたが、その心は驚くほど平穏だった。

彼女と蓮司の間にどれほどの誤解や曲折があったとしても、今となっては、すべて完全に終わったことなのだ。

高校時代の秘めた恋心と献身は、その後の長い歳月の中で摩耗し、尽き果ててしまった。

かつてのときめきは消え失せ、今、脳裏に残っているのは、あの頃の少年の憂いを帯びた悲しげな面影だけだった。

……

透子と聡が山道を散策している頃、ケーブルカー乗り場には、雅人と理恵がようやく戻ってきていた。

二人はケーブルカーから降りることさえせず、そのまま往復してきたのだ。

その間、理恵が懸命に話題を探して話しかけても、雅人は杓子定規な公式答弁を繰り返すばかりで、会話をことごとく終わらせてしまった。

これには理恵も、胸が詰まるような思いだった。

この世に雅人ほど無粋で鈍感な男はいないだろう。もちろん、わざと無視している可能性もあるが。

とはいえ、理恵お
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