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第842話

作者: 桜夏
ただ呆然と病院の建物を見上げる蓮司は追い出された後も、その場を離れようとはしなかった。

帰りたくない。透子が救急処置室から無事に出てくるという一報を、この耳で聞きたかったのだ。

「……誰か一人、中に入って様子を見ていろ。何か動きがあったら、すぐに知らせろ」

蓮司が力なく命じると、ボディガードの一人が静かに建物の中へ消えていった。

残された彼は、ただ黙って待ち続ける。その孤独と途方に暮れた姿は、夜の闇に溶けてしまいそうだった。

これからどうすればいい?どうすれば、透子を取り戻せる?

たとえ五年、十年かけて彼女の心を再び手に入れられたとしても、その時、橘家が黙っているはずがない。きっととっくの昔に、透子を他の男に嫁がせているだろう。

蓮司は、抗いようのない無力感に襲われた。同時に、これがすべて自分の招いたことであり、今この状況こそが、自業自得の結末なのだと、痛いほど理解していた。

どうしようもなくなり、彼は携帯電話を取り出すと、お爺さんにメッセージを送った。

【助けてください】

まさか折り返しで電話がかかってくるとは思わず、慌てて応答する。

「お爺様、まだ起きています
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コメント (2)
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Etsko Aoki
透子にとって本当の幸せって何だろう… ここまで酷い目にあって… 蓮司の執拗な愛にも辟易する… 身勝手で一方的なその思いにそろそろ終止符打ったらどうかしら… 本当に透子を思うなら去るのも愛だよ…
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child1028believe
橘ファミリーどんだけ後悔したって後の祭りだよ。 美月の演技が一枚上だった。 蓮司の事非難できないでしょ? 透子からしたらどっちもどっちよ。 透子! 朝比奈の事は絶対許さないで!警察にも引き渡さないで今度はちゃんと始末しようね。 透子は橘家に対しても離婚の時みたいに財産も復籍もいらないから自由にしてくれって言いそう。 橘家に復籍しても政略に使われるだけならその方が幸せかな。 透子が安心して愛し愛される人が現れますように。
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