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第888話

Author: 桜夏
聡は、黙り込んだ。

妹の「尋問」とでも言うべき追及と、疑いの眼差しに、聡は手を伸ばし、ずいと寄ってきた彼女の額を軽く押し返した。

ちょうど家に着いたところで、聡は先に車を降りて振り返る。

「人道主義からの見舞いだよ」

その言葉に、理恵は堪えきれず、ふふふ、と笑った。誰が信じるものか。

彼女は車を降りて兄を追いかけながら言った。「人道主義ですって?じゃあ、どうして新井蓮司のお見舞いには行かないのよ?あの人、骨を折ってまだ入院してるんでしょ」

聡は途端に眉をひそめ、心底から嫌悪感を滲ませた声で言った。「気色の悪いことを言うな」

理恵はふんと鼻を鳴らし、二人はリビングへと入っていった。

柚木の母は兄妹が一緒に帰ってきたのを見て、理恵に透子の様子を尋ねようとしたが、その隣にいる聡の姿を認め、その言葉を飲み込んだ。

彼女はどこかばつが悪そうに顔を背ける。理恵は母の不自然な様子には気づかず、嬉しそうに母に抱きついて挨拶すると、そのまま二階へ上がっていった。

聡は傍らでその様子をちらりと見ただけで、特に何も言わなかった。

夕食の前。

理恵が着替えを終えて階下へ下りてくると、母はそこでようやく、彼女と二人きりになったところで話を聞き出した。

理恵はすべてを話し、美佐子から、透子の前で彼らのために口添えをしてほしいと頼まれたことにも触れた。

柚木の母は言った。「あの人たちも、結局は朝比奈に騙されて、周りが見えていなかっただけなのよ。

今、透子があなたにしか会いたがらないのなら、少しは力になって、彼女を諭してあげなさい」

理恵はふんと鼻を鳴らした。「嫌よ。私は最初から最後まで、透子の味方だもの。それに、あの人たちは朝比奈の共犯者も同然じゃない」

柚木の母が何かを言いかけたが、理恵はすぐにそれを手で制して続けた。

「『騙された』なんて、一番憎むべきは、朝比奈美月だなんて、私に言わないで。

橘家のあの三人だって、三人合わせたら二百歳近くなるのに、誰か一人でも、ほんの少しでも疑ってれば、こんなことにはならなかったじゃない!

いい大人が、あんな小娘一人に騙されたからって、今更誰のせいにするっていうの?まさか、私のせいだとでも言う気?

あの時、橘さんに、朝比奈はろくな人間じゃないって忠告したのに、彼は信じなかった。自業自得よ」

柚木の母は、娘が堰を切っ
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