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第877話

作者: 小春日和
赤沼は二人とも黙っているのを見て、やむなく続けた。「黒澤様が今回戻ってこられたのは、何か重要なご用件でも?」

「重要な用事がある」

黒澤は気だるげに言った。「連れてこい」

ドアの外では、数人の手下が赤沼の妻と娘を引き立ててきた。

赤沼夫人・赤沼寛子(あかぬま ひろこ)のふくよかな体は後ろ手に縛られ、涙で化粧はすっかり崩れている。地面に押さえつけられた赤沼由佳(あかぬま ゆか)も恐怖に震えながら泣きじゃくり、必死に叫んだ。「お父さん!助けて!」

赤沼由佳はまだ高校の制服姿で、授業中にそのまま連れ去られたのが明らかだった。

「寛子!由佳……」

赤沼は血の気が引き、顔色を真っ青にして叫んだ。「黒澤様!これは一体どういうことですか!私は長年あなたのために尽くしてきたのに、なぜ妻や娘を縛るのです!」

すると真奈が口を開いた。「赤沼理事、その言い方はおかしいんじゃない?あなたが尽くしていたのは黒澤様のためじゃなく、福本家のためじゃないの?」

穏やかな声ながら、その言葉には鋭さが宿っていた。

福本家の名を聞いた途端、赤沼の顔から血の気が引いた。

「くっ、黒澤様……どうか聞いてく
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