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第4話

Autor: サクランボ
親友の結婚式は、彼女がいちばん好きなF国で行われる。

そこは、かつて愛華が暮らしていた国でもあった。

飛行機で窓側に座り、私は雲の向こうの景色を眺めながら、ふと弥言のことを思った。

過去8年間、彼が何度も一人でF国へ飛んでいた時、心の中では何を考えていたのだろう。

私と離れ離れになる寂しさを感じたのか?それとも、愛華に会える喜びを感じたのか?

式当日、純白のドレスに身を包んだ土方杏南(つちかた あんな)は皆の前に現れ、息を呑むほど美しかった。

数日前に再会したとき、杏南が言った言葉が耳に蘇る。

「ほんと、弥言さんのセンスはすごいわ」

私と弥言の結婚当時、婚約指輪もウエディングドレスも、彼がF国中を回って職人に手作りさせたものだった。

ブランド物ほど高価ではなかったが、手仕事は繊細で、世界に一つだけのデザインだ。

杏南はその場で目を輝かせた。結婚するとき、彼女も絶対同じ店で婚約指輪やウエディングドレスを買う!

当時の私は幸せに酔っていて、まるで疑いもしなかった。

彼が3か月もF国に滞在し、婚約指輪とドレスを作らせていた。

あの期間、彼の隣には、愛華がいたのではないかと疑わなかった。

そして、弥言が「自分のこだわり」と言っていたものの中に、どれだけ愛華の影が混ざっていたのだろう。

無意識に中指を触り、私はようやく気づいた。指輪はもう外し、離婚協議書といっしょに、あの家に置いた。

乾杯のとき、杏南はその夫の腕を取りながら笑った。

「あなたも弥言さんみたいに、家族思いで奥さんを大事にする人になってよ」

私は静かに首を振った。

「私たち、離婚したの」

杏南は目を丸くした。

「えっ、なんで?」

「それは……」

「凛、何をバカなことを!」

突然、背後から声が響いた。

腕をぐいっと引かれ、振り向くと弥言がいた。

彼がここにいることにも驚いたが、次の言葉にはもっと驚いた。

「愛華は俺の妹みたいな存在だ。誰もそれを知ってる。

こんな場で彼女に恥をかかせたいのか。いったい何を考えてる」

愛華はうつむき、そっと弥言の袖をつまんだ。

「怒らないで。ここ、他人の結婚式だし」

弥言は怒りに任せて私を会場の外に連れ出すと、後ろの壁を拳で殴りつけた。

「最近のお前はどうしてこんなに意地が悪いんだ。

表では寛大なふりをして、実は皆の前で
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