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第6話

作者: サクランボ
編集長の鈴木琴美(すずき ことみ)は、私と愛華の関係を知っていて、最近まとめた資料を私に送ってくれた。

そして、これは私のために必死で勝ち取ってくれたチャンスだと言った。

2週間後、弥言がようやく私を探し当てた。

再会した彼は、ずいぶんとやつれていた。

私はふと、結婚式前に愛華のことで揉め、怒った私が泣きながら婚約を破棄すると言い張った日のことを思い出した。

あの時、弥言はすっかり取り乱し、謝ったり、どうにかして埋め合わせをしようとした。

私が会わないと、彼は昼夜を問わず家のドアの前に張り付いていた。

私がドアの覗き穴から外を見ると、彼は私がその隙に出ていってしまうのを恐れて、一瞬たりともまどろむことすらしなかった。

そんな日が3日も続き、私はついに心が揺らいでしまった。

それからの3年間、彼は愛華と一切連絡を取らなかった。そして、その3年が、私たちの最も甘い時間だった。

ある時、私が交通事故に遭った時もそうだ。

私は大した怪我ではなく、ただ運悪く骨折した。

その知らせを聞いた彼は会議を即中断して飛んできた。

直行便が取れないと分かると、乗り継いで十数時間、病室に現れた彼は、入院している私より疲れ切っていた。

そんな思い出が一気に胸を占め、私の心がふっと柔らかくなった。

だが、弥言の口が先に動いた。

「俺に何をしてもいい。でも愛華を巻き込むな」

私は目を冷たく細めた。どうして忘れていたのだろう。彼が今回やつれているのは、私とは関係のないことだ。

「お前が愛華を誤解してるのは分かってる。嫌っているのも知ってる。

でも、個人の恨みで彼女を極悪人みたいに書くな。

彼女は元々うつ病なんだ。

お前は彼女を追い詰めて、殺す気なのか?」

私は静かに口を開いた。「で、どうしてほしいの?」

弥言の目に、驚きと落胆があらわに浮かんだ。やがて視線を逸らし、低く言った。

「もう彼女を中傷するな。彼女は十分可哀想だ。

もし彼女が何かあったら、俺はどうしたらいいんだ」

私は俯き、淡々と言った。「離婚協議書、見つけたんでしょ。明日、手続きに行こう」

どれほど時間が経っただろう。

彼がようやく、小さく「分かった」と言った。

10年の愛の中で、その言葉を何度聞いたか覚えていない。

甘やかす声も、怒った声も、しょんぼりした声も、興奮した声も聞
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