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7.吊るし上げましょう

Auteur: satomi
last update Dernière mise à jour: 2025-07-29 07:00:53
「あら、おかしいわね。なんで側妃のダリアがここにいるのかしら?」

 と、私は言ってみた。ダリアが側妃なのを確実に知っているのは私キャロメ王国王妃だから。

 会場内の他国の王族たちは「彼女が王妃じゃないのか?」などと話をしている。

「久しぶりね。デイビス国王」

「これはこれは、ベリルル皇妃ではありませんか!」

「貴方…王妃でもない人間をこの皇宮に滞在させていたの?」

「え?」

「彼女、側妃なんでしょ?ここにいるマリアローズ様こそが正式な王妃。どうして今まで公の場にマリアローズ様を連れて行かなかったの?」

「王妃はタイミング悪く、病気に罹り…」

 そんなわけないでしょう?私は健康体よ!

「マリアローズ様がこの国に滞在している間は、皇宮に滞在してもらったわ。貴方が今までしてきたことは聞いたわよ?」

「マリアローズの言い分を鵜呑みにするのですか?」

「何か言うのならお言いなさい」

 皇妃様がいつもと違って迫力あって怖い。…でも帝国の皇妃ならそうなのかなぁ?

「……」

「マリアローズ様の話によると、国王と側妃ダリア嬢は遊び惚け、自分は書類処理機のように国王と側妃の分の公務もしていたという話だけど?公務って言っても書類仕事のみよ」

 「え?ありえなくない?」「自分の公務を放棄?国王だよな?」等の声が聞こえてきました。流石です。皇妃様!

「……」

「それで戻って来い?書類仕事をさせるためかしら?私なら絶対に戻らないわ」

 「私だったらそんなの絶対嫌よ」「俺は男だけど、嫌だなぁ」と、周りからの声が聞こえてきます。

「あら、いけない。辛気臭くなっちゃったわ!今日はめでたい即位記念パーティーよ!招待の皆様楽しんでくださいね!」

 「あちらにいるのがマリアローズ様か?お美しい。彼女を書類処理機?気は確かなのか?キャロメ国王は」

 「あら、彼女のアクセサリー類って…ねぇ?」

 なんだろう?

「お集まりの皆様に連絡があります!この度、マリアローズ=キャロメはデイビス=キャロメと離縁し、ロペス=ベリルルと婚約を致します!!」

 おぉー、と感嘆の声が多く聞こえた。そんな中…。

「異議あり!」

「なんですか?キャロメ国王」

「両親の許しも得ずにこのような暴挙に出ることはどうなのでしょう?」

「我が国の法律では両親の許しを必要としていません。必要なのは年齢と本人同士の気持ちです。私達の衣装を見れば
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