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第9話

Auteur: アカリ
康二の意識が戻ったという知らせは、すぐ優弥のもとに届いた。彼がスマートフォンの画面を見てぼーっとすると、そばにいたひよりは、すぐ心配そうに声をかける。

「優弥さん……どうしたんですか?会場の配置、気に入らなかったんですか?」

優弥は一瞬だけ言葉を失いかけたが、すぐに首を横に振った。

本当は、康二が目を覚ましたと伝えるつもりだった。だが、なぜかその言葉は喉の奥で止まり、なかなか出てこない。

「いや、違うんだ。会社のほうで急ぎの用事が入ってな、悪いけど、少し外してもいいか?」

それを聞いて、ひよりはようやく安堵したように笑った。

「もちろん、ここは任せてください。ちゃんと仕上げておきますから」

優弥は軽くうなずくと、そのままホテルを飛び出した。車に乗り込み、病院へ向かってアクセルを踏み込む。

どうして嘘をついたのか――自分でも分からなかった。

ただ胸の奥に、説明のつかない不安だけが残っていた。まるで大事な何かを失いかけているような、そんな感覚だった。

……

病院に到着すると、優弥は病室へ駆け込んだ。扉を開け、強い消毒液の匂いが鼻を刺す。

「おじいさま、気分はどう?」
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