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第25話

Author: 鳳小安
二人は並んで夜の街を歩き出した。絵になる二人の姿は、行き交う人々の目を惹いた。

街灯の温かい光が二人の影を長く伸ばし、夜風が火照った頬を撫でる。季節外れの寒さに、未玖は無意識に体を縮めた。

「寒いか?」

彼女の些細な動きを、譲は見逃さなかった。すぐに上着を脱ぎ、彼女の肩にかけてやる。

ふわりと包み込む温もりと彼の香り。雰囲気がどこか甘く、曖昧なものになる。未玖は拒まなかった。

「ありがとうございます」

「どういたしまして」

譲は目の前の女性を見つめ、喉仏を動かした。何か言いたげな空気を察し、未玖は足を止めた。

「何か、言いたいことでも?」

「ああ……今夜は月が綺麗だな」

彼も足を止め、真剣な眼差しで彼女を見つめた。

未玖は顔を上げ、空を見た。厚い雲に覆われ、星一つ見えない漆黒の空だ。月などどこにもない。

「未玖、俺は君が好きだ」

その言葉の重みに、未玖は立ち止まった。

さっきまで月の話をしていて、次の瞬間に直球の告白……?あまりにも真っ直ぐで、不器用だ。

「私――」

拒絶の言葉を探していると、譲が遮った。

「急いで答えなくていい。君が傷ついていることは
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    二人は並んで夜の街を歩き出した。絵になる二人の姿は、行き交う人々の目を惹いた。街灯の温かい光が二人の影を長く伸ばし、夜風が火照った頬を撫でる。季節外れの寒さに、未玖は無意識に体を縮めた。「寒いか?」彼女の些細な動きを、譲は見逃さなかった。すぐに上着を脱ぎ、彼女の肩にかけてやる。ふわりと包み込む温もりと彼の香り。雰囲気がどこか甘く、曖昧なものになる。未玖は拒まなかった。「ありがとうございます」「どういたしまして」譲は目の前の女性を見つめ、喉仏を動かした。何か言いたげな空気を察し、未玖は足を止めた。「何か、言いたいことでも?」「ああ……今夜は月が綺麗だな」彼も足を止め、真剣な眼差しで彼女を見つめた。未玖は顔を上げ、空を見た。厚い雲に覆われ、星一つ見えない漆黒の空だ。月などどこにもない。「未玖、俺は君が好きだ」その言葉の重みに、未玖は立ち止まった。さっきまで月の話をしていて、次の瞬間に直球の告白……?あまりにも真っ直ぐで、不器用だ。「私――」拒絶の言葉を探していると、譲が遮った。「急いで答えなくていい。君が傷ついていることは分かっている。今は誰かを愛する余裕なんてないことも。ただ、俺の気持ちを伝えたかっただけだ。待てる。いつまででも待てるから」「譲さん、どうして私が好きなんですか?」「理由なんてない。ただ、ずっと気になっていた。真夢が初めて君を紹介してくれた時から、俺は君に惹かれていたのかもしれない。身分の差なんて気にしないでほしい」譲の瞳は真剣で、遊びの恋ではないことが痛いほど伝わってくる。未玖は受け入れず、かといって明確に拒絶もしなかった。ただ静かに、また一歩ずつ歩き出した。譲も、今すぐに答えが出るとは思っていない。何も言わず、彼女の歩調に合わせて隣を歩いた。長い沈黙と、心地よい距離感。ようやく彼女の家の前に着いた時、未玖が振り返り、不意に譲を抱きしめた。「譲さん、ありがとう。さようなら」一瞬の温もりを残し、未玖は振り返らずに家の中へと入っていった。譲はその背中を見つめ、彼女が一度でも振り返ってくれることを願った。だが、扉が閉まるまで、彼女は一度も振り返らなかった。譲は自分に言い聞かせた。あの刹那の温もりが、彼女なりの答えへの第一歩なのだと。未玖はきっと、傷

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