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第二話

last update Tanggal publikasi: 2026-07-31 09:49:09

第二話

「初めてで死ななかったことだけは特別に今回だけは褒めてやる」

ほんと上から目線だなこいつ

力強く拳を握ったことで僕の足下には血溜まりが出来た。

「そんなに無意味に血液を出して風香は何がしたいの?」

こいつの煽りには絶対に乗らない。

利根島さんに何かあってからだと遅いんだから我慢しないと。

「風香ちゃんはあなたの態度に……」

「いいの、朱莉」

僕は利根島さんの手を握り、首を横に振った。

「分かったよ」

こいつは利根島さんが煽りに乗りそうになったのを不満そうに見つめた。

「とりあえず今日は二人とも家に帰れ。明日の午後二時にこの森で集合しろ」

こいつはあり得ない提案をした。

手を握る力が強くなった利根島さんは、震えながら断ろうとした。

「その時間は学校でここに集まるのは…………」

こいつは断られないように、僕と利根島さんを脅した。

「僕の力があれば学校にも魔物を呼べるけど、友達諸共死ぬか、僕の提案に乗って全員で生きるかどっちにするんだ? 僕はどっちでも構わない、とっとと好きな方を選べ」

選択肢を提示しておきながら、意味をなさないじゃないか。

「「提案に乗ります!!」」

「さすがは僕の見込んだ雛(ひな)たちだ」

僕はこいつの口にした雛の意味を問いただした。

「気になるのは当然か。雛っていうのは、魔葬少女候補のことだよ。正式な手順を踏むことで魔葬少女になれる存在のことだ」

正式な手順とやらを聞こうとしたが、こいつに遮られた。

僕も利根島さんも疑問に思うことは同じだった。

「私たちが雛ということは他にも似たような人がいるっことでいいですか」

利根島さんは僕より早くこいつに質問した。

その質問を受けたこいつは口角が少し上げて答えた。

「そうだ、いつかは顔合わせをさせる必要がある。だから心の準備はしておいてね」

こいつが何かを企んでいるのは分かったけど、今の僕たちに何か出来る訳じゃない。

何か出来るようになるまでは我慢だ。

「質問はそれだけか? ならばとっとと帰れ」

僕はすぐにでもこいつから離れられるために利根島さんの手を握った。

「早く帰ろう朱莉」

誰かの手をここまで強く引っ張るのは人生で初めてだと思うほど、僕の手には力が入っていた。

「分かったからそんなに強く引っ張らないでよ風香ちゃん!」

「ごめん朱莉」

振り返ると顔を歪んでいるアイツがいた。

その顔を見て、吐き気を催してしまった。

利根島さんに悟らせないように笑顔で足を早めた。

その道中

「風香ちゃん、私たちどうなるんだろ」

「分からない。だけど僕が朱莉を死なせたりしないことはここで誓うよ」

「風香ちゃん、変わったよね」

「変わらざるおえないってのが、正直なところなんだ」

「この状況だとそうだよね。風香ちゃんにこんなふうに誓ってもらえるとなんだか結婚みたいで嬉し恥ずかしだね」

「……まあ朱莉にならそう捉えられてもいいけど、あんまり外では言わない方が」

「目立つからでしょ、学校と変わんないよ」

「それもそっか」

僕は利根島さんを家まで送り届けた後帰宅した。

改めて今日の出来事を振り返ると、夢でも見てるんじゃって思えて仕方ない。

でも分かってる、これは現実だって。

あの血の匂い、断末魔、苦しみ、恐怖……上手く整理出来ないけど、これは夢じゃないって私に訴えてくるのが分かる。

魔葬少女……か、アニメで見たのはもっと可愛くて、キラキラしてて憧れてた。

小さい頃だけど、僕もよくお母さんになりたいって語ってた存在になった。

言葉だけ聞くと女の子の憧れの存在になれたと言えなくもないけど、実際のところはそんな生優しいものじゃない。

なんだか、サンタクロースはいないんだって夢を壊された気分に似てるような気がする。

何考えてんだろう、僕。

これから僕たちがどうなるのかと、そんな疑問ばかりが頭をよぎる。

その最終点は必ず死にたくないにたどり着いてしまう。

そうこうしているうちに帰宅した僕は、この催した吐き気を我慢する必要がないと安心して存分に吐いた。

「そんな吐いてどしたん風香!」

僕が吐いている様子を心配した母さんが走ってきた。

理由をどう答えるか悩んだ結果出てきた答えは

「変な物食べたからかも」

突飛もないことを言ってしまった。

魔葬少女になったなんて言えるわけがない。

母さんは僕の様子を察して話を合わせてくれた。

いつか話せるようになったら話すから母さん。

僕は部屋に戻り明日のことを考えながら利根島さんとLIOMでやり取りをしている。

あかり『見て、また変身してみたよ』

ピコン

利根島さんは写真付きで送ってきた。

明日変身させられるかもしれないし、僕もやってみるか。

『僕も出来たよ』風香

あかり『かわいいよ風香ちゃん、すぐ保存しちゃった』

『それを言ったら朱莉だって可愛いじゃん』風香

一時間後

「私以外の魔葬少女ってどんな子達なんだろうね」

「アイツが選んだやつだろ、変な奴じゃなければいいんだけどな」

「それって私たちが変な奴ってことになるよ」

「十分変でしょ、僕たち」

「そうかなぁ?」

「そうだよ」

二十分後

「さすがにもう眠らない?」

「私はもうちょっと話したいんだけどなぁ」

「明日に響いて何かあったら嫌でしょ」

「……そうだね。分かった切るね、おやすみ風香ちゃん」

「うん、おやすみ朱莉」

プープープー

結局電話になってしまった。

利根島さんのおかげで変身の仕方も理解できた。

それに変身はコスプレだと思えばなんとか耐えられる。

だけど一番は魔物の成仏にも慣れないといけない、どうせアイツに色々とやらさせるんだろうから。

僕は明日のことを考えながら床に就いた。

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