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第三話

last update publish date: 2026-07-31 12:38:37

第三話

「……はぁ、はぁ、眠れない。今何時なの」

二時十七分か……どうしよう。

眠れないから少し散歩でもしようかな。

こんな状況一人で外を歩くこと自体危険なのは分かってるけど、眠れないまま集合時間になりたくない。

「いってきます」

僕は家族に挨拶だけして家を出た。

散歩っていってもどこ行こうかな……とりあえずコンビニで利根島さんに渡す何かを買おう。

ピロピロピロピロン

「いらっしゃいませ〜」

利根島さんが喜びそうな物っていったらやっぱりこれだよね

"オカルト特集各地で目撃された怪物の正体に迫る"

この本の中身を見ていると、怪物の正体に気づいた。

載っていた怪物と思しき写真を見て、僕は一目見て分かるほど動揺した。

なぜならその写真に僕と朱莉が成仏させた魔物が写っていたからだ。

「お客様、どうなさいました!」

「なんでも……ないです」

店員さんは僕の動揺の原因を理解したような口ぶりで僕に話しかけてきた。

「もしかして君もこの怪物に興味があるんだね。そういえば最近この子誰かに成仏させられちゃったみたいなんだ」

ここで焦ったら絶対にダメだ。

もし敵だった場合殺される

「成仏ってなんのことですか? 怖いなぁと思っただけですから」

「そっか、知らないふりか。……あぁ、もしかしてウチのこと敵だと思ってる?」

そう簡単に信じるな、アイツの件があるんだ。

店員さんは僕に疑われているのを察して"魔法"を使った。

パチン

コンビニ全体を覆っている物を見るに、店員さんの魔法はおそらく結界だ。

「信じてくれた? ウチは敵じゃない、アンタと同じ魔葬少女なんだ」

「分かりました、信じます。と言うとでも思った? そんな簡単に信じられるわけがない」

店員さんは残念そうな表情で僕を見つめてくる。

「そんな表情されても今は信じないから。信じてほしいなら相応の行動をして」

店員さんは僕の言葉に一瞬顔を歪めた。

「それでこの本買うの、買わないの?」

「当然買う」

僕は会計を終わらせ店の外に出ようとした。

「そういえばウチの魔法にはこんな使い方も出来るんだよ」

振り向いた僕はこの店に来たことを後悔した。

パチン

店員さんの鳴らした音と同時に僕の右腕が落ちた。

「信じなくて正解だったな」

「いやいや、これは先輩からの指導やで」

「これの、どこが指導なんだよ」

僕が睨むと店員さんの口調が変わった。

「アンタ護りたい人がおるんやろ、なんやったら回復魔法を覚えておいたほうがええやろ」

言っていることは正しい、それに覚えられるならこの腕ぐらい安いものだ。

「僕に回復魔法を教えろ」

まずは止血しないと……覚える前に死んでしまう。

「回復魔法は魔を取り入れることで使用可能になる」

初心者の僕にはどうすればいいのかさっぱり分からないけど、心霊魔法を使った時の感覚は覚えている。

あの時の僕は魔物に対する恐怖を利用した。

ならば今回は死への恐怖を利用する。

すると僕の血が止まった。

「そうそうその調子、君の場合は恐怖なんだね。感覚を掴むのが早いね」

店員さんは僕の右腕を拾い、縫い上げた。

「あとはさっきの感覚でやればくっつくよ。他人に使う時も似たような感覚だからね。勉強になったでしょ」

「そこのところは感謝する」

僕の腕は元通りに近い状態には治った。

この状態なら利根島さんには気づかれることはないとは思う。

他の魔法も覚えられれば、いつかはアイツを仕留められる。

絶対に朱莉と元の生活に戻るんだ!

ピロピロピロピロン

「ありがとうございました〜」

僕は部屋に戻り、朝まで回復魔法の練習をした。

店員さんの言っていた

『君の場合は恐怖なんだね』

この言葉が引っかかる。

利根島さんにも何か魔法を使う際にあるってことになる。

時間的にメッセージは送れない、学校で聞くしかない。

僕の場合恐怖なら、あの時の恐怖鮮明に思い出すんだ。

思い出す度に吐き気に襲われ、何度も吐いた。

だけどそのおかげで回復魔法は無くなった腕を再生させるぐらいにはなった。

「問題は部屋の血の処理だな。母さんたちにどう言い訳しよう」

結局僕は意識を失うように眠った。

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