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第152話

Author: 花辞樹(かじじゅ)
その瞬間、景凪の表情から温度が消え、手にした服を強く握りしめた。

穏便に済ませられないのなら、仕方ない。

深雲の指が二つ目のボタンへと伸びる。彼女は、すでに彼の股間を狙い、膝を上げるための力を密かに溜めていた。そして、まさにその膝を突き上げようとした、その刹那――深雲のスマートフォンが鳴り響いた。

それは、端末に初めから入っている着信音ではなかった。清音の声だ。甘い声で、童謡を歌っている。

おそらく、深雲がわざわざ録音したものだろう。

清音の声を特別な着信音に設定するほどの相手。姿月の他に、景凪は思いつかなかった。

案の定、着信音を聞いた深雲の瞳から、燃えるような熱がすうっと引いていく。だが、彼はすぐに電話に出ようとはしない。

「仕事、行ってこい。あまり無理はするなよ」彼は親切にも、彼女のはだけた胸元のボタンをかけ直し、その頬を優しく撫でた。「しばらくは桃子さんが家にいてくれる。夜食が欲しくなったら、いつでも彼女に言うといい」

深夜に突然かかってきたこの電話については、一言も触れようとしない。

電話の相手も心得たもので、数回コールが鳴った後、深雲が出ないとわかると、す
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