「そうだよな。叔父さんが和夫の息子なんて、ありえないよな」弥はそう言いながら、和夫の写真をじっと見つめた。その写真は、あの日レストランで撮られた監視カメラの映像を切り取ったものだったため、少しぼやけていた。はっきりとは見えないが、輪郭や顔立ちの雰囲気はなんとなく分かる。「父さん、叔父さんと和夫ちょっと似てると思わない?」弥はその写真を悟に手渡した。「最初は全然気にならなかったんだけど、一度似てるかもって思うと、もうそれにしか見えなくなるんだよな」悟は写真をじっと見つめ、次第にその表情が硬くなっていった。今まで奏の顔と和夫の顔を並べて比べたことなんてなかったが、弥の言葉に引っ張られるように、確かに何となく似ている気がしてきた。「もしさ、和夫にとんでもない実力を持った息子がいて、その気になれば政財界すら動かせるって話それ、叔父さんのことじゃないのかなって思えてきて」弥は首をひねった。「ほかの大物たちは、和夫と全然似てないんだ。似てるのって、叔父さんだけなんだよ」悟は言葉を失っていた。自分の母、つまり奏の母は、生前に奏のことを特別に可愛がっていた。だからこそ、奏が常盤家の血を引いていないなんて、一度も疑ったことがなかった。だけど、奏は性格も外見も、常盤家の他の人間とどこか違っていた。そこが、ずっと引っかかっていたのだ。「父さん、仮に奏が僕たちの家族じゃなくて、本当に和夫の息子だったとして今さら何ができる?常盤家はもう完全に没落したんだ。あいつ一人が、名だけを守ってる状態だ」弥はソファに体を預け、ため息をついた。「でももし、あいつがうちの人間じゃないならそれ相応の責任を取らせないと」悟は眉間に皺を寄せ、歯を食いしばって言った。「常盤グループを立ち上げたとき、あいつには母さんが莫大な資金を渡してるんだ。もしその出資比率を今に当てはめればグループの三分の一は、常盤家のものでもおかしくない」その言葉を聞いた弥の目が、一気に輝きを帯びた。「父さん!もし本当に奏がうちの人間じゃないなら、僕たち、大金持ちじゃん」「でもどうやって、それを証明する?」「DNA検査しかないだろ」「じゃあ、お前が奏に頼みに行くか?」悟は皮肉っぽく笑った。「あいつが、素直に応じると思うか?」弥は、途端にしおれてしまった。あいつに会うだけでも緊
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