とわこの顔が真っ青なままなのを見て、ボディーガードは彼女を無理に連れ出す気になれず、しぶしぶ頷いた。日本。一郎は車を走らせて館山エリアの別荘へ向かう。彼の胸の内はぐちゃぐちゃで、桜にどう向き合えばいいのか分からなかった。だがあの夜ホテルで抱いた相手が彼女で、さらに子どもまで宿していると知った以上、彼女と子どもに責任を負わなければならない。たとえ妻に迎えられなくても、養って守る義務がある。一郎は車を降りると、大股で玄関へ進み靴を履き替えた。リビングでは桜が果物を食べていたが、入口で靴を脱ぐ一郎の姿を見て愕然とする。何をしに来たの。絶対に自分に会いに来たんじゃない。そう思い、彼女は部屋に戻ろうとした。今ここで顔を合わせれば、きっと抑えきれず大喧嘩になる。昨夜も考えれば考えるほど悔しさが込み上げていた。もし彼の両親がいなければ、絶対に罵倒してから帰っていただろう。「桜、どこに行く」一郎は靴を履き終えると、立ち上がった彼女を見て呼び止める。「君に会いに来た。ソファに戻れ、話がある」「話す?私たちの間に話すことなんてない」口ではそう言いながらも、桜はソファに戻って腰を下ろす。「ホテルでのあの夜のこと、それとその結果についてだ」一郎は青ざめた顔で彼女の前に立つ。「もう全部知ってる。もし僕が前の会社で確かめなかったら、一生黙ってるつもりだったのか」「笑わせないで。そもそもあんた自身の問題でしょ」桜は反撃する。「普通の男なら、夜に誰と寝たか分からないなんてある?もし相手がとんでもないブスでも責任取るの?それとも、誰でもいいって主義なの?」一郎は言葉を失う。怒りと後悔と恥が同時に胸を締めつけた。「昔はそんなんじゃなかった」彼は彼女の隣にどさりと腰を下ろす。「昔どうだったかなんて興味ない」桜は素っ気なく言い放ち、嫌そうに眉をひそめる。「ソファは広いんだから、わざわざ隣に座らないで。離れてよ」一郎の胸に敗北感が広がる。だが今は引けなかった。まだ片づけるべきことがある。「桜、子どものこと、どうするつもりだ。君は何を望んでる」「あなたに遠く離れてほしい」その時、三浦が物音を聞きつけて水を持ってきた。一郎は受け取って礼を言い、一口飲む。「桜、あの時は悪かった。混乱していて、君を疑うべきじ
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