白くてすらりと伸びた美脚が空気中にさらされ、男の指先はわずかにその余韻を残していた。太ももを掴んだときの感触が、まだ皮膚にこびりついているようだった。賢司の瞳はさらに深く沈み、表情は一層冷たく引き締まった。鋭い輪郭と整った顔立ちは無愛想そのもので、どこか人を寄せつけない空気を纏っている。冷たく、まるで氷のように。「覚えておく」低く言い残すと、彼はソファに腰を下ろし、脇にあった電話を取ってかけ始めた。「えっ?」舞子は瞬きをしながら彼を見つめた。「覚えておく」……って?つまり、見返りはあとで決めるってこと?でも、よく考えてみれば、この男、必要なものなんて何一つなさそうだ。今さら何かを欲しがるとも思えない。なら、それでいいか。舞子はベッドからゆっくりと体を起こし、「服を一式、持ってきて」と一言。そう言って布団をはらりとめくり、不快感を堪えながら、ゆっくりと浴室へと足を運んだ。賢司の視線は、静かに彼女の後ろ姿に注がれていた。完璧に引き締まったプロポーション、細い腰に丸みのある尻、長い脚。そして白い肌のあちこちには、彼の痕跡が散りばめられていた。本来なら、薬の効果を打ち消し、事を収めるだけのつもりだった。それなのに、一度触れてしまえば、自制心など意味をなさなかった。彼女が正気に戻り、「やめて」と言ったとき、普通ならそこで止まるべきだったのだ。だが、あの時の彼は、何もかも構わなかった。言葉も、懇願も、理性すらも。浴室のドアが閉まり、ようやく賢司は視線を逸らした。舞子はシャワールームの鏡の前に立ち、ぼんやりと映った自分の姿にしばし呆然とした。……なにこれ、人間のやること?首も、鎖骨も、胸元も――目につく場所という場所に痕跡が残っている。まるで彼女の身体をキャンバスにして、スタンプでも押したみたいに。最っ悪。舞子は唇を歪め、不機嫌そうに顔を背けた。そして、勢いよくシャワーを浴び始めた。だが、不運なことに、浴室には予備のタオルがなく、彼女はびしょ濡れのまま、裸で出るしかなかった。一方そのころ、賢司は整ったスーツを身にまとい、最後のボタンを腹筋のあたりまで留め終えたところだった。シャツの隙間からは鍛えられた胸筋と、薄く浮き出た腹筋が覗いていた。ベッド脇には、すでに女性用の衣服がきちんと揃
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