「おばあさんも言ってたが、うちは女の子を産んだ者は、家庭内の共有財産から百億のお祝い金が支払われるって。それから、私とお母さんからもあるんだぞ。私たち二人合わせた金額はおばあさんのその金額を超えることはないが、それでも合わせて百億はある」栄達夫妻の私的財産は一体何百億あるのかわかったものじゃない。二人合わせて百億のお祝い金は、この二人にとっては大した金額ではないのだ。「そのお祝い金は、まだ誰も手にしたことがない。理仁、お前と唯花さん、頑張るんだぞ」麗華もニコニコして言った。「もしあなた達が女の子を産んだら、私がもってるジュエリーの半分はその子のものね」この時理仁は両親を見つめていた。両親のその嬉しそうな話が終わってから、理仁は沈んだ声で言った。「尿検査をしたら陰性だった」「陰性?」栄達が妻のほうを見てみると、麗華は笑顔を固くし、すぐに口を開いた。「大丈夫、まだ若いんだし、結婚してからまだ半年しかたっていないんだから。それに焦ることはないわ、ゆっくり考えなさい。あなたたち二人が避妊してなければ、いつかは必ず子供を授かるんだから」「妊娠してないのか」栄達はがっかりした様子で言った。「お祝い金の出番が来たのかと、うきうきしてしまったぞ」麗華はすぐに慰めの言葉をかけた。「妊娠してないものはしてないんだから。この子たちはまだ若いから、焦る必要はないわよ。結婚式ですらまだやっていないのよ。今妊娠しちゃったら、結婚式の時にはお腹が出てきてしまって、ウェディングドレスを着たら見栄えがよくないわ。理仁、唯花さんのドレスはもう決めたの?」結城家の若奥様という立場なので、ウェディングドレスはもちろんデザイナーに頼んで、体の寸法も測ってオーダーメイドするのだ。理仁はまだ妻のドレスをオーダーしていない……彼は突然、この時自分が多くのことをまだ準備していないことに気づいた。恐らく、結婚式までまだまだ時間があると思っていたせいだろう。「当時、私たちがハネムーンから戻ってきた時に、理仁を妊娠していることに気づいたんだよな」栄達のこの言葉は別に他意はなかった。しかし、理仁の耳に入ると、その意味は変化してしまった。彼は両親は口では焦っていないと言いながらも、心の中では子供の催促をしているのだと捉えたのだ。それに、彼と唯花が結婚して
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