Semua Bab 交際0日婚のツンデレ御曹司に溺愛されています: Bab 1371 - Bab 1380

1936 Bab

第1371話

「おばあさんも言ってたが、うちは女の子を産んだ者は、家庭内の共有財産から百億のお祝い金が支払われるって。それから、私とお母さんからもあるんだぞ。私たち二人合わせた金額はおばあさんのその金額を超えることはないが、それでも合わせて百億はある」栄達夫妻の私的財産は一体何百億あるのかわかったものじゃない。二人合わせて百億のお祝い金は、この二人にとっては大した金額ではないのだ。「そのお祝い金は、まだ誰も手にしたことがない。理仁、お前と唯花さん、頑張るんだぞ」麗華もニコニコして言った。「もしあなた達が女の子を産んだら、私がもってるジュエリーの半分はその子のものね」この時理仁は両親を見つめていた。両親のその嬉しそうな話が終わってから、理仁は沈んだ声で言った。「尿検査をしたら陰性だった」「陰性?」栄達が妻のほうを見てみると、麗華は笑顔を固くし、すぐに口を開いた。「大丈夫、まだ若いんだし、結婚してからまだ半年しかたっていないんだから。それに焦ることはないわ、ゆっくり考えなさい。あなたたち二人が避妊してなければ、いつかは必ず子供を授かるんだから」「妊娠してないのか」栄達はがっかりした様子で言った。「お祝い金の出番が来たのかと、うきうきしてしまったぞ」麗華はすぐに慰めの言葉をかけた。「妊娠してないものはしてないんだから。この子たちはまだ若いから、焦る必要はないわよ。結婚式ですらまだやっていないのよ。今妊娠しちゃったら、結婚式の時にはお腹が出てきてしまって、ウェディングドレスを着たら見栄えがよくないわ。理仁、唯花さんのドレスはもう決めたの?」結城家の若奥様という立場なので、ウェディングドレスはもちろんデザイナーに頼んで、体の寸法も測ってオーダーメイドするのだ。理仁はまだ妻のドレスをオーダーしていない……彼は突然、この時自分が多くのことをまだ準備していないことに気づいた。恐らく、結婚式までまだまだ時間があると思っていたせいだろう。「当時、私たちがハネムーンから戻ってきた時に、理仁を妊娠していることに気づいたんだよな」栄達のこの言葉は別に他意はなかった。しかし、理仁の耳に入ると、その意味は変化してしまった。彼は両親は口では焦っていないと言いながらも、心の中では子供の催促をしているのだと捉えたのだ。それに、彼と唯花が結婚して
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第1372話

理仁「……俺だって別にひどいことは言っていないだろう。先に帰っただけなのに、なんで彼女が辛くて泣くんだよ?」彼は唯花が泣いているところを想像しただけで、胸が締め付けられるように苦しくなった。「もし唯花さんがあなたを病院に置き去りにして、一人で帰ってしまったら、あなたならどう思うの?」麗華は息子に聞き返した。麗華のこの長男は、このような感情に関することには非常に鈍い。だから結城おばあさんが彼に無理やり恩返しのために唯花と結婚させようとしたのも無理はない。このお坊ちゃんのねじ曲がった性格で、もし唯花でなく他の女性だったら、きっと頻繁に関係が硬直状態になっていることだろう。理仁は唇を噛みしめた後、言った。「別に俺には足がないわけでもなし、道がわからないわけでもない。彼女だって俺と一緒じゃなくても、自分で帰って来られるじゃないか」麗華「……」「俺の体は何も問題ないし、検査する必要もないって言ってある。彼女も俺が医者嫌いだとか、検査するって聞いたらしっぽを踏まれた猫みたいに大袈裟に反応するって言ったんだぞ」理仁はそのまま愚痴をこぼした。「俺の話を彼女は信じないんだ。彼女の俺に対する信頼はまだ足りてない。妊娠だって、したいと思ってすぐにできるもんじゃないだろう。妊娠してないものはしてないんだ。俺が彼女と結婚してまだそんなに時間が経ってないし、もし結婚十年くらいしてもまだ妊娠しないってなら、検査に行かないとさ」麗華「……」本当に、もし息子が結婚していなければ、麗華もずっと息子がここまで傲慢な奴だということを知ることはなかっただろう。彼女はもう息子に一発入れてやりたくてたまらなかった。「十年くらいって、あんた達もう結構な年になってるでしょ。検査して何か問題があるようなら長い時間をかけて治療する必要があるのよ。そんな時に唯花さんが妊娠するのは、もう高齢出産になるんだからね。このバカ息子、あんたのその頭はお飾りなわけ?別に検査するくらい、痛くも痒くもないでしょうが」この時、栄達も息子を叱りつけた。「今は検査するしないの問題ではなくて、唯花さんを一人病院に放置して一人でさっさと帰ってきたことが問題なんだぞ。理仁、もしこの件で唯花さんと冷戦に突入して、お前のことを無視するようになっても、私たちのところに訴えに来るんじゃないぞ。私たちは間に
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第1373話

理仁はこの時、もはや邪悪なオーラを放つほど暗い顔をしていた。「父さんと母さんだって、孫を期待してるんだろ?」麗華は言った。「そりゃもちろんよ、だけど子供を産めと催促はしてないでしょ。今回の件を私たちのせいにすり替えようとしないでちょうだい。私たちは一度だって唯花さんの前で子供を急かしたりしてないんだからね」「唯花さんのプレッシャーは大きいんだ」理仁は自分が唯花に体の検査をすると言われた時、敏感になりすぎていたとわかっていた。唯花の子供へのプレッシャーが大きいと感じたのだ。「唯花さんのプレッシャーが大きいと思うなら、彼女に言いなさい。子供っていうものは自然にできるものであって、私たちも催促しないから。彼女のプレッシャーが大きくなるともっと妊娠しにくくなるわよ。彼女にはもっとリラックスするよう言っておいて。あなた達が一緒にいた時間は長くないし、もし数年経ってもできないようなら、検査に行ったらいいわよ」「まったくその通りだよ。だから俺は検査はしなくていいって言ったんだ。俺と唯花さんの体は何も問題ないんだよ。ただ彼女のプレッシャーが大きいだけだ。俺だって彼女に言ったんだよ、悟と牧野さんの婚約パーティーが終わってから、気分転換に旅行に連れて行くって」麗華はふいに息子が実際は自分たちに注意喚起したいのではないかと気づいた。唯花が結婚して一年や二年経っても妊娠しなくても子供を催促するんじゃない、プレッシャーをかけるなと言いたいのだ。このクソガキはなかなか腹黒だ。彼らは唯花の義父母として、本当に子供の催促はしたことがない。それは、夫婦が結婚式すらもまだ挙げていないからだ。そんなに焦って子供のことを話す必要はないと考えているのだ。「わかったわ、あなた達夫婦の事だから、自分たちで解決しなさいね。お母さんは十年は子供を期待してるだなんて言わないから。子供のことはあなた達が決めることだし」理仁の顔は穏やかになり、母親にお礼を言った。「母さん、ありがとう」「なによ、よそよそしいわね。さっさと唯花さんのところに戻って謝りなさい。今後はカッとなって、突き放して自分だけ帰ってこないのよ。もし、唯花さんがあなたにそんなことしたら、きっとあんたは発狂するでしょうが。唯花さんの性格がいいから、許されてる身だってこと覚えてなさいよ」麗華は不機嫌そうにそう
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第1374話

牧野家もさっき夕食を終えたばかりだった。唯花の機嫌が悪いので、食後は明凛が彼女に付き合って、近くをぶらぶらしていた。「唯花、旦那さん側の家族からは子供の催促はされてないって言ってたじゃない。どうしてそんなに自分で自分にプレッシャーかけるのよ」二人はとても親密な関係である。唯花と理仁が今までどうやってここまで来たのか、明凛はそれを一部始終見てきた人間だ。彼女は唯花から夫側に子供を産め産めと言われているのを聞いたことがなかった。「確かに向こうの家族からは催促されてないけど、こんなに時間が経ったのにまだ妊娠しないから、自分の体のどこか悪いんじゃないかって気になったの」唯花はため息をついて言った。「誰も私にプレッシャーなんてかけてきてないわ。だけど、私はなんだかプレッシャーが大きく感じるのよ。名家の人と結婚したからっていうんじゃなくて、一般家庭の人と結婚してたとしても、結婚してだいぶ経つのに妊娠の兆候もなくて不安になるのよ。私と彼が避妊してるんだったら、妊娠しなくても当たり前だろうけど」明凛は周りの家庭のことを考えてみた。普通、結婚してからすぐにおめでたの知らせを受け取るし、今では出来ちゃった結婚する人だっている。結婚して半年経ち、避妊もしていないのであれば、誰かしら裏でひそひそと何かを言うだろう。彼女は親友のそのプレッシャーが理解できた。「唯花、私まだ結婚したことないから、そういうことは経験ないんだけど、でもあまりプレッシャーに感じるのも良くないってのはわかるわ。あまりに気にしすぎると、逆に妊娠しにくくなるものよ。あなたはきっと大丈夫よ、そんなに変な方向に考えすぎないほうがいいってば。悩みすぎも体によくないしね」唯花はまたため息をついた。「明凛、今は妊娠できなくて辛いわけじゃないのよ。彼と喧嘩しちゃったの。理仁さんったら私一人残して帰っていったわ。彼、去り際は不機嫌そうで話し方も厳しかったし、すごい悲しくなる」明凛は親友の肩に手を回して、慰めの言葉をかけた。「結城さんの態度は確かに聞いてるだけでもイライラするわ。こっちも腹が立ってくるって。今夜はうちに泊まっていけばいい。もし結城さんが迎えに来ても、すぐに彼と一緒に帰らないのよ。あの人を焦らせてやりましょ。私からお父さんたちに言っておくから、外で何かあっても構わないでって」「彼、
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第1375話

「プルプルプル……」明凛の携帯が鳴った。彼女は着信を見た後、唯花に言った。「悟からだわ、きっとお宅の結城さんが悟に助けを求めたんでしょ。悟があなたの行方を知りたくてかけてきたのよ」唯花は淡々とした口調で返した。「そうだったとしても、構わないで。あの人、自分が怒ってるって?私だって同じく怒ってるのよ」明凛はもちろんこの親友の味方であるし、そもそも唯花は間違っていないと思っている。唯花はとても自信を持ち明るい性格の持ち主だ。今はただ自分が不妊症なのではないかと不安になっているだけだ。このようなプレッシャーは彼女が結城理仁という男と結婚したからこそ、無意識についてきているのだ。明凛はそんな親友のことに心を痛めていた。それで、親友と一緒に理仁を懲らしめてやりたいと思っているのだ。「プルプルプル……」携帯は止まることなく鳴り続いている。明凛は電話に出るしかなかった。「明凛、今忙しかった?俺のこと恋しくないわけ?やっと電話に出てくれたね。俺のほうが君のこと考えすぎて頭おかしくなるところだったよ。これ以上電話に出ないようなら、すぐに車を君の家まで走らせて会いに行くところだったぞ」悟は笑いながらそう話していた。明凛にとってそれはキュンとくる甘い言葉だった。悟は彼女のことを本当に大切にしていた。二人の性格も合うし、あのお見合いをした日から今婚約パーティーの準備をするまで一度も喧嘩をしたことがない。たまに、明凛は自分と悟の関係があまりにもうまくいき過ぎていると感じることがある。しかし、今唯花と理仁がいつも小さな喧嘩をし、毎回唯花が不機嫌になり辛そうにしているのを見ていると、悟とのこのような浮き沈みのない関係もとても良いものだと感じていた。「手元に携帯がなかったのよ、お風呂に入るところだったから。電話が鳴ったからすぐにお風呂場からまた出てきて電話に出たの。だからちょっと時間かかっちゃったのよ」明凛は嘘をついて笑って言った。「もちろんあなたのこと思っていたわよ。毎日二十四時間ずっとあなたのことばかり考えてるもの。寝る時には夢の中にも見るくらいね」悟は電話の向こうで、歯を出してニヤニヤと笑っていた。唯花は親友と悟の電話を聞いていて、何か悟ったようだ。彼女と理仁は互いに愛し合っている。しかし、夫婦はどちらも甘い言葉を出すの
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第1376話

「調べてないわけ?」悟は慌てて言った。「調べてないよ、君が言ってただろ、俺が何でもかんでも把握しているのに、君は何も知らない状況でいるのが嫌だって。だから、君に直接尋ねるしかないよ、人脈は使っていないんだ。ただ社長夫人が君のところにいるんじゃないかって予想しただけだよ。君たちは仲の良い親友同士だし、彼女が気が塞いだ時には、普通君に相談するじゃないか」「確かに唯花は私のところにいるわよ。結城さんに伝えて、彼女はここに泊まるから、暫く家には帰らないって」悟はそれに応えた。「わかったよ、後であいつに伝えとく。明凛、他に俺に何か言いたいことってある?」「あなたのところの社長さんを反面教師にして、あなたは彼に学ばないようにしなさい」悟は笑って言った。「そこは安心してくれ、ちゃんとあいつを反面教師にしてるからさ。あいつが社長夫人を怒らせたことは、俺は絶対にしないよ」「まあ、あなたのことは私も別に心配してないけどね。悟、大好きよ、愛してるわ」「俺もだよ」明凛は言った。「先に結城さんに連絡して。タラタラしてたらきっと発狂しちゃうでしょ。唯花のことをここまで愛してるってのに、また些細な事で二人の仲をかき乱すんだもの。私はお風呂に行ってくるわね」悟は名残惜しそうに電話を切った。そしてすぐに理仁に電話をかけ、繋がるとこう言った。「君んちの奥さんはまた俺の明凛が奪ってしまったようだ。また、俺の明凛を取られちゃったな」「今すぐ唯花さんを迎えに行くから、牧野さんの隣の席はすぐに空くぞ」理仁も唯花が牧野家にいるだろうと予想していた。彼は義姉に尋ねてみて、唯花が姉の家にはいないことがわかったので、きっと牧野家に行ったのだろうと思ったのだ。姫華のところには尋ねていない。緊急事態でない限り、理仁は姫華に尋ねたくはないのだ。「うちの明凛が君に伝えてくれって、お宅の奥さんは彼女のところに数日泊まってくってよ。特に用がないなら、奥さんの邪魔をしないほうがいいと思うぞ」理仁は顔をこわばらせた。「俺の妻だぞ、俺の家こそが彼女の居場所だ。今から迎えに行く」そう言い終わると、彼は悟の電話を切ってしまった。悟は彼に、牧野家には二匹の狂暴な犬がいると注意しようと思っていた。わざわざその犬たちにちょっかいを出さなければ、吠えたりすることはないが、もし
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第1377話

唯花は身を翻して明凛に近づくと、彼女を軽くつねった。「いろいろ考えずにもう寝るわ」明凛は彼女を軽く抱きしめて、慰めの言葉をかけた。「二人はもう立派な夫婦なのよ。結城さんはあなたのことを心から愛しているし、ちょっとの喧嘩くらいなんだってないわよ。安心して寝なさい。しっかり寝たら、この人生の荒波に立ち向かえる元気が湧いてくるのよ」「明凛、あなたがいてくれてよかったわ。私が落ち込んでる時に、気持ちを吐き出せる相手がいるんだもの」「もう昔からの友達でしょ、私が気分が塞いでる時だって、あなたにいろいろ話を聞いてもらってるじゃないの。さあ、早く寝て、あまり考えすぎちゃダメよ」唯花はひとこと「うん」と返事をした。親友から慰められて、唯花はゆっくりと夢の世界に入っていった。理仁が牧野家に到着した頃には、みんな就寝してしまい、辺りはすっかり静まり返っていた。彼は牧野家の門の前に車を止めた。駐車した後、彼は再び唯花に電話をかけてみた。この時、唯花はすでに夢の中で、さらに携帯はマナーモードに設定していたため、まったく彼からの電話に気づかなかったのだ。どうしようもなくなり、理仁は厚かましくも明凛に電話をかけるしかなかった。明凛は携帯の呼び出し音で目を覚まし、着信相手を確認することもなくそのまま電話に出た。「誰よ?今何時だと思ってんの?こんな夜中に電話かけてくるやつがいる?あんたが寝なくたって、私は寝てるのよ。本当に常識の欠片もない野郎ね」理仁「……牧野さん、俺です」「誰よ、あ……結城さん?」理仁は低い声でひとこと「うん、俺です」と答えた。明凛はすぐに隣で寝ている親友のほうへ顔を向けてみた。唯花はすでにぐっすり寝入っていたので、明凛はすぐに起き上がり、窓の前まで行ってカーテンを開け下を確認した。するとそこには本当に理仁の車が家の前に止まっていたのだ。「結城さん、こんな夜更けに休まず、電話をかけてきてどうしたんです?」「今お宅の前にいます」「あら」「牧野さん、唯花は寝てるんですか?彼女を起こしてもらえませんか?迎えに来たんです」明凛は彼に言った。「時間を見てみてくださいよ、今何時ですか。この子もう寝てしまっていますよ。数日してから迎えに来てください。唯花はここに数日泊まるって言ってたんです。私の婚約パーティーが
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第1378話

彼が牧野家へ侵入してしまえば、牧野家の人たちの眠りを妨げないように、唯花はきっと彼と一緒に帰ってくれると考えたのだった。この結城家の坊ちゃんは一度決めたらやる人間だ。しかし、この時牧野家で飼われている、鳴りを潜めた二匹の犬が隅のほうで彼をじっと見ていることなど知らなかったのだ。理仁が門の上によじ登り、跨いで手を放し下に飛び降りようとした瞬間、後ろを振り向くと二匹の大きなシェパードが上を見上げてじっと彼を睨みつけていた。それに驚いて危うく下に落ちてしまうところだった。付近の人が犬を飼っていることは、彼も知っていた。彼が車で周りの家の前を通り過ぎる時に、他所の家で飼われている犬が、ワンワンと吠えてきたのだ。しかし、牧野家も犬を飼っていることを彼は知らなかった。彼が車を牧野家の前に駐車した時、他の家の犬は吠えなくなったが、牧野家の犬は全く吠えることはなかった。まさか二匹はじっと声を出さない犬だったとは。このようにじっと獲物を狙うようなタイプの犬は、人に噛みつくと死ぬまで放したりしない。彼がもし後ろを振り返らずに、直接下に降りていたら、二匹にこっぴどく噛みつかれて悲惨なことになっていただろう。「ワンワン--」二匹は理仁が下に降りる意思がないのを見て取り、ひっきりなしに彼に向かって吠え続けた。理仁は牧野家の部屋の中に明りが灯ったのに気づき、慌ててまた門を跨ぎ直して下に飛び降りた。自分の車まで戻ると、車体によりかかり何事もなかったかのように、すました顔をしていた。この時タバコを取り出して一服したくなったが、今タバコを持っていないことに気づいた。唯花がタバコの匂いを嫌がるので、彼はあまり吸わないようにしているのだ。それにタバコも持ってきてない。「ラッキー、誰か来たの?」すると、明凛の母親の莉子の声がした。彼女は玄関のドアを開けて外に出てくると、庭の電気をつけた。そして二匹の飼い犬が門の外に向かって激しく吠えているのを見て、段差を降りて様子を見に行こうとした。理仁はこの時やっと庭の門の前まで来て、莉子に向かって言った。「おば様、俺です。結城です」莉子は彼の姿が見えた。「あら、結城さんじゃないですか。こんな夜遅くに、どうしてここに?」「おば様、うちの唯花さんを迎えに来たんです」莉子は近くに
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第1379話

理仁は莉子が家に戻り玄関のドアを閉めるのを見ながら、家の前でまた暫くの間静かに立っていた。そしてやっと車に戻っていった。さらに車の中で数分間静かに座っていて、結局車を出して去っていった。そして翌日の朝早く、理仁は急いで牧野家にやって来た。牧野家の庭の門はすでに開いていて、二匹のシェパードはリードに繋がれていた。この時理仁は少し嫌な予感がした。来るのが遅すぎたと思ったのだ。彼は車を止めて、車から降りるまえに、庭掃除をしていた莉子が箒を持ったまま近づいてきた。「結城さん、明凛と唯花ちゃんはもう出かけてしまったんです。二人で唯月さんのところに行くとかなんとか」理仁「……おば様、彼女たちが出かけてどのくらい経ちましたか?」「だいたい二十分くらいですね。唯花ちゃんが起きてから、お姉さんのところに甥っ子さんを迎えに行くとか言って、早めに出かけてしまったんです」理仁は莉子にお礼を言った。「では、今から義姉さんの店へ行ってみます」莉子はひとこと「ええ」と返した。すると、理仁はさっさと牧野家を後にした。彼は道の途中で唯月に電話をかけた。唯月が電話に出た。「義姉さん、おはようございます」「結城さんね、おはようございます。どうしたんですか?唯花ですか?唯花なら明凛ちゃんと一緒にうちでご飯を食べていますよ」唯月は妹夫婦がまた喧嘩したことを知らなかった。彼女は忙しいので携帯を妹に渡した。「結城さんからよ」その携帯を唯花に押し付けると、急いで仕事に戻っていった。唯花は電話を切ってしまいたかったが、彼が焦った様子で唯花を呼ぶ声が聞こえてきた。「唯花、切らないでくれないか?俺が間違っていたよ。悪かった。君を一人あんなところに置き去りにして自分だけさっさと帰るなんて、本当に頭がどうかしていたよ」唯花は聞いていたが、返事をしなかった。「唯花、無視しないで俺に会ってくれないだろうか?店にそのままいてくれ、後でゆっくり話し合おう。君が故郷に戻って、事業の進み具合を確認しに行くなら、俺も付き合うから」すると唯花はようやく口を開き、淡々とした口調で言った。「結城社長はお忙しい方ですから、一緒に来ていただくなんてそんな恐れ多いです」「唯花、俺が悪かったよ」妻から皮肉を言われてしまい、理仁は謝罪にさらなる謝罪を重ねた。
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第1380話

咲は理仁のほうへ向いて、相手が誰なのか確認するように挨拶をした。「結城社長でしょうか?」その時、理仁は驚いた目をした。この女性は足音を聞いただけで、その相手が誰なのか判断できるのか。「柴尾さん」理仁は低い声で挨拶をした。「柴尾さんは、辰巳に花を届けに来られたのですか?」咲は微笑んで頷いた。「結城副社長から、店に花束の注文が入って、すぐに届けてほしいと言われたんです」理仁は彼女に尋ねた。「一人で来られたんですか?」「ええ」理仁はこの瞬間、辰巳は自ら墓穴を掘っているのではないかと思った。咲がまだ目が見えないことを知っているくせに、また彼女に一人で花を届けさせに来たのだ。しかし、彼はそれに関して一切何も言わなかった。これは辰巳自身の事だから、彼は黙って見ているだけでいい。「誰かに案内させましょうか?」「社長、ありがとうございます。ですが、結構です」彼女がここに来るのは二度目なので、行き方はすでに把握している。誰かに案内してもらわずとも、彼女は辰巳のオフィスまで辿り着けるのだ。理仁は会話を続けることなく、先にビルの中へ入っていった。彼の足音が遠ざかっていくのを聞いて、咲もゆっくりと中に進んでいった。受付にいる二人が咲に挨拶をすると、彼女も微笑み返した。そして十分後。咲は辰巳のオフィスの前に立ち、ドアをノックした。しかし、辰巳からは返事がなかった。彼女は少しの間静かに黙っていて、再びノックしてみた。すると、ドアが開いた。この時辰巳が彼女の目の前に立っていて、彼女を見つめていた。「結城さん」咲は花束を辰巳のほうへ差し出すと微笑んでこう言った。「注文いただいた花束です。六千円です」しかし辰巳は花束を受け取ることなく、体の向きを変えてオフィスの中へ戻り、咲に声をかけた。「どうぞ、お入りください」咲は少し黙っていてから、やっと中へと歩いていった。「ドアを閉められるなら、閉めてもらってもいいですか」咲は言われた通りに、ドアノブを手探りで探し、ドアを閉めた。「こちらに座ってください」辰巳はソファの前まで来て腰を下ろし、彼女に呼びかけた。彼の声がした方を向き、咲はゆっくりと近づいていった。ソファの背もたれに手をつき、またゆっくりとソファを手探りで触って歩いていった。そうし
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