「善君、少し考えさせて」姫華は善の告白を断ることはなかったが、瞬時に受け入れることもなかった。彼女には考える時間が必要だった。善はそれを理解して言った。「もちろんです。ゆっくり考えてください。僕も焦っているわけではありません。僕のことを受け入れられなかったとしても、いつまでも待つつもりです。いつかきっと僕のことを好きになってくれると信じています」その言葉を聞き、姫華は笑った。「私はただ、ちょっと急に告白されたものだから」「確かに唐突でした」善は申し訳なさそうにそう言った。彼は、周りのみんなが彼の姫華に対する気持ちに気づいているので、これ以上告白せずにもたもたしていては駄目だと思った。そして姫華にも聞かれたことだし、いっそのことこの場で告白してしまったのだ。彼女のことを愛しているのだから、その気持ちをきちんと伝えなければ。ちゃんと言葉にしなければ、愛というものは伝わらないこともあるのだ。この時、二人の間には静寂が流れた。少しの間座っていて、姫華は立ち上がり言った。「もう帰りましょうか」「ええ」散歩に出かける時には、二人は楽しそうに話していた。そして帰りには何も話さなかった。姫華が話す気がなかったのだ。神崎家に到着すると、善は長居はせず、隣の内装途中の家に帰っていった。それから五分も経たずに、姫華は車で出かけた。唯花の店に向かったのだ。もちろん、親友二人に会うためだ。そして本屋に到着してみると、明凛しかいなかった。「唯花は今いないの?」姫華は店に入って明凛を見てすぐに尋ねた。「ブルームインスプリングに行ったのよ。たぶんもうすぐ帰ってくるよ。唯花に用だった?」明凛は今オレンジを絞ってジュースにして飲もうとしていて、姫華に尋ねた。「あなたも飲む?いるなら、もう一杯作るけど」「じゃあ、お願いしようかな。毎回お茶ってのも味気ないしね」明凛は笑って言った。「まあ、お茶はね。もし飽きたならいつでも私たちに言ってよ。紅茶にお砂糖入れてあげるから。本屋には本ばっかりで他にめぼしい物なんてないし」姫華レジの奥にある椅子に座った。「飽きたとは言えないけど、ジュースを今日はもらうわ」「ちょっと待っててね」明凛は段ボールからまたオレンジを取り出した。「姫華、唯花に用があったんじゃ
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