All Chapters of 交際0日婚のツンデレ御曹司に溺愛されています: Chapter 1551 - Chapter 1560

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第1551話

「唯月さんと陽君も来ていますよ。俺は本当におばあ様に会いに来たんです」隼翔は東屋へと進み、座っておばあさんがラジオ体操を続けるのを見ていた。そして言った。「以前、祖母がまだ生きていた頃、あなたと一緒に体操をしろって言っていたのに、全然聞かなかったんです」彼の祖母は結城おばあさんと同年代だが、健康面ではかなり劣っていた。結城おばあさんのほうは今でも健康的で、誰かに付き添ってもらう必要もなく、飛行機に乗って世界中を飛び回れるくらいだ。それに孫に罠をしかける時には、頭の回転もかなり早い。それと違い隼翔の祖母はもう天国に旅立ってから長年経つ。「あなたのおばあ様こそ正真正銘良家の品格のあるお方よ。私のような落ちぶれた家とは全然違うわ」「なにが落ちぶれた家ですか、結城おばあ様だって良家出身で品格のある方ですよ」おばあさんは笑って言った。「私の曾祖父が生きていた頃は、うちの実家もまあ名家と言えたんだけど、私が生まれた後は衰退していったわ。お宅のおばあ様は死ぬまで優雅だったわ。私みたいな荒くれもののばあさんとは比べられないわよ」彼女は体操を終わらせると、動きを止めた。そして隼翔はサッと駆け寄って彼女の体を支えようとした。おばあさんはそれを断った。そして興味津々な様子で彼に言った。「隼翔君、ちょっと稽古しない?私はかなり長いこと体を動かしてないのよ」隼翔はすぐに勘弁してくれという顔で笑った。「おばあ様、それだけは許してください。そんな、あなたと稽古をつけるだなんてできませんよ」「別に負けたって責めないわよ」「それでも、おばあ様はお年ですから、もし俺が力加減を間違えて怪我させたらどうするんですか。そんなことになれば、俺は結城家にとって大罪人ですよ。今後、結城家には一歩も入れてもらえなくなります。俺にはデメリットしかありません。理仁に稽古つけてやってください」その時、理仁の声が聞こえてきた。「隼翔、俺まで巻き込む気か」彼は陽を抱っこしたまま東屋へとやって来た。「ばあちゃん」おばあさんは理仁に返事した。陽はお利口に挨拶して、おばあさんが笑顔で彼を抱き上げた。「陽ちゃん、会いたかったわ」唯花と唯月の二人は後からやって来た。「おばあちゃん」「おばあ様」おばあさんはとても嬉しそうに笑っ
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第1552話

結城おばあさんは陽の手を繋いで東屋を出ると、理仁に柴尾家の状況について尋ねた。理仁はそれに答えた。「今外で薫子おばさんに会おうと待っている二人は、柴尾さんのことを恩知らずやら何やら罵倒して、さらに柴尾家の財産全てを横取りしようとしている。もっと詳しいことは俺も把握していないよ。それは辰巳のやることだからな」咲は将来、理仁の親戚になる予定だ。咲のほうから助けを求めてこない限り、彼も柴尾家の事情を把握するつもりはなかった。「辰巳も別に何か手助けをしてはいないでしょう。咲さん自身が処理できるはずよ。あの子はただ咲さんの味方になり、後ろ盾になってあげていればいいのよ」おばあさんは自分が選んできた孫の嫁候補にはかなりの信頼を寄せていた。咲が自分の手で柴尾家のビジネスを継ぎ、やっていけると信じている。理仁は返事をしなかった。そしておばあさんもすぐに話題を変えた。辰巳と奏汰のことは、おばあさんも心配する必要はない。ただ相手を選んであげれば、あとは自分たちでどうにかするからだ。四番目の拓真と五番目の朔久の嫁候補に関しては、まだ確定していない。六番目の律以下数名の孫は、もう少し年を取ってからでいいので、焦る必要はなかった。男は女の子よりも精神的に大人になるのが遅い。若くして結婚してしまうと、家庭を持つ重責を担えない。少なくとも仕事で成果を上げてからじゃないと結婚を催促できない。その時には、結城家からの支えがなくとも、自分自身で家庭を支えていける実力をつけているからだ。「最近の天気は寒くも暑くもないから、理仁、みんなを連れてうちの島で数日過ごしたら、いいんじゃないかしら」おばあさんは若者たちにアドバイスした。理仁は「ばあちゃんにまずは会いに帰ってきたんだが、ばあちゃんも行きたいか?」と尋ねた。「私はもう年だもの、行かないわ。あなた達若い人たちで行ってらっしゃいよ。弟たちにも声をかけて、島で数日羽根を伸ばしてきたらいいと思うわ」おばあさんは、拓真と朔久に選んだ嫁候補の相手がどのような人物かをまだ見極める必要がある。もし、問題なければ、彼女たちに決めるつもりだった。拓真と朔久はこの件で戦々恐々としている。理仁はひとこと「うん」と返した。おばあさんは後ろを振り向いて唯花に言った。「唯花ちゃん、理仁がせっかく休みな
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第1553話

理仁は黙ってしまった。それは唯花が理仁と結婚したことで、必ず向き合い、果たさなければならない責任なのだ。唯花は理仁のほうを見て彼が何も言わないのでこう言った。「なら、この数日理仁が休みなのを利用して、しっかり勉強しなくっちゃ。わからないところはみんなに聞けるし」彼女は結城家長男の妻であるから、しっかりと自分の責任は果たさなければならない。ただ、彼女は結城家の家業についても把握して、管理までしないといけないとは今まで考えたこともなかった。それにまさかこの広大な琴ヶ丘までも管理する必要があるとは。唯花は初めて遥に会った時、彼女が音濱岳を管理しているのを見た。どうやら、唯花も遥同様、結城家の一部を管理する必要があるらしい。遥は今すでにそれに慣れてしまっているようだが、唯花はまだ手もつけていない。遥には元からある程度の力があった。彼女の育った雨宮家は決して大きな名家であるわけではないが、お金には困らないくらいの裕福な家庭である。それに、家族たちからとても大切にされて育ってきて、彼女に自信を与え、ポジティブな性格になったのだ。そして遥の実の両親がわかると、その父親は望鷹の篠崎家の主人であることが判明した。そして篠崎氏の家業を継ぐだけでなく、父親の個人財産だけでも遥には数千億相続される。そうすれば女性の中でトップの富豪となるのだ。お金も地位もあれば、自信は必ず生まれて来る。唯花にはまだその自信が足りない。しかし、理仁も結城家も唯花のことを信頼してくれているので、唯花も自信が湧いてきた。彼女がまだ始めたばかりの時に、何か失敗しても結城家が彼女を責めることはないだろう。失敗から教訓を得て、それをもとに良い方向へと進んでいけばいいのだから。「理仁もあなたも家業には責任を負うのよ。あなたが担うのは細かいところよ。つまり店舗の貸し出しや、チェーン店の運営といった感じなの。そんなにたくさんではないわ。唯花ちゃん、すぐに慣れると信じてるわ」おばあさんは微笑んで唯花にはあまりプレッシャーをかけすぎないように言った。大きなビジネスに関しては理仁に任されている。しかし、唯花も結城家が関わっている各業界やビジネスを把握しておく必要がある。夫婦は運命共同体であり、理仁が知っていることなら、唯花も知っておかなければならない。今後、理仁と
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第1554話

結婚式もまだ挙げていないのに、結城家は唯花に家業について把握させようとし始めたことで、つまり妹のことを信用してくれているのだと唯月は感じ取っていた。これで唯月も完全に安心できた。妹は自分よりもずっと幸運に恵まれていると思った。当初、妹は唯月を安心させるために騙してまで理仁とスピード結婚することを選んだ。そして愛のなかったその仮面夫婦は今互いに深く愛するようになり、幸せに暮らしている。最も重要なのは、あのトップの財閥家である結城家が、今まで一度も妹の出身を嫌ったことがないのが、唯月にとっては大切なことだった。これは非常に難しいことだ。それで唯月はまるで自分のことのように喜んでいた。唯花は義母に近づき、甘えるように言った。「お義母さん、さっき帰ってきたばかりだから、ちょっとだけ遊んでからじゃだめかしら?」麗華は軽く唯花の額をからかうように突っついた。「まだ遊び足りないのかしら?最近、そこまで忙しくなかったでしょ。お店と、あとは事業の畑の管理をすることでしょ。お店の仕事以外に、別に何もないじゃない。事業の畑はちゃんと管理する人に見てもらってるはずだし、たまに進捗状況を確認しに行けばいいのだから、そこまで忙しくはないはずよ」そして麗華は息子をちらりと見て、からかった。「忙しいと言うなら、理仁といちゃつくのに忙しいくらいかしらね」唯花は義母からからかわれて顔を真っ赤にさせた。「さあ、二階へ行くわよ」麗華は嫁から甘えられてもそれは一切構わず、唯花をさっさと二階へ連れていった。二階には書斎が二つある。大きめの書斎は理仁と父親たちが使用している部屋で、もう一つ小さいほうは麗華が一人で利用している書斎だ。その部屋の鍵は麗華とおばあさんだけが持っている。しかし、麗華が嫁に来てから、家の細かなことは全て麗華に任されている。それでこの小さな書斎には、おばあさんはたまにしか足を踏み入れない。それ以外の人が入りたいなら、必ず麗華かおばあさんの許可が必要だ。辰巳の母である薫子と、奏汰の母である麻実の分家の妻も家業については把握している。しかし、彼女たちは管理する必要はない。二人は分家が自身で行っているビジネスだけ気にしていればいい。本家の大きな家業については必要があれば彼女たちも手伝いに来る。麗華が頼まなければ、二人も勝
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第1555話

「昔の帳簿はもう新しく書き直してあるわ。そのほうが見やすいからね」麗華はそう説明し、デスクの上にあるパソコンを指さして唯花に言った。「帳簿は多すぎるから、いちいち取り出して確認するのは面倒なの。パソコンにも入れてあるから、あれを使って探すほうが早いわよ」唯花はいくつかある本棚を見渡して、驚きをぐっと抑えながら麗華に尋ねた。「お義母さん、ここにあるのは全部結城家のビジネスばかりなんですか?」「ええ」唯花「……おばあちゃんが店舗の貸し出し状況や、チェーン店とかの細かな事業を管理するようにって」山のようにある帳簿を目にして、唯花はここ数日の休みでは結城家の全てのビジネスを確認することは不可能だと思った。こんなにあるとは思っていなかった。唯花も帳簿の管理を学んだことはないから、まったくの素人なのだ。「おばあ様の話は間違いないわ。ここにある細かな事業に関しては、どこで誰がどの事業を担当しているのか把握しておくだけでいいの。毎月黒字なのか赤字なのかとかね。報告書ならまとめて持って来てくれるから。だけど、あなたは裏でよく理解しておく必要があるわよ、誤魔化していないかちゃんと確認できるようにね。彼らがやりすぎない限り、小さなことは目をつぶっておいて。普通の状況なら、みんなもあまり派手なことはできないわ。もし責任を追及することになれば、彼らはもう二度と事業を続けることはできないからよ」結城家は有名すぎて会社をまとめる者たちもふざけた真似はしてこない。そんなことをすれば、終わりだ。それに、結城家はそれぞれの会社の社長たちへの待遇はかなり良いから、真面目にコツコツやっていれば、損することなんてない。麗華は唯花があまりにこだわって真面目になりすぎないように、その点も説明しておいた。唯花は頷いた。「わからないことは、お義母さんに教えてもらいます。あの、ここにある帳簿全てに目を通すんですか?」「とりあえず、それぞれ三ページ目まで目を通してみてちょうだい。一ページ目は各業界のどんな事業がどこで展開されてあるかが書かれているわ。これはあなたがまず先に覚えなければならないことだから。二ページ目と三ページ目はだいたい人事のことが書かれてあるの。そこには彼らの細かい情報と写真があるから、覚えやすいわよ」唯花は内心、これは大変だと舌を巻いていたが
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第1556話

「これからわからないことがあったら、何でも私たちに聞いてちょうだい。理仁にでもいいわよ、彼は重要な大きいビジネスを管理しているけど、その他細かい事業のことも把握しているから」唯花は頷いた。理仁がついているのを思い出し、彼女はホッとした。「もう下に行く?それとももう少しここで見ておきたい?」麗華は尋ねた。唯花は少し考えてから言った。「姉と東社長もいらっしゃるので、お客様がいるのだから下に行きます。帳簿はこんなにあるから、すぐには見終わることはできません。夜時間ができてからまた見に来ます」麗華はそれに頷いた。二人は一緒に書斎を出て、麗華はまた扉にしっかり鍵をかけた。そしてまた言った。「この書斎は非常に重要な部屋だから、他の人が入るのは許されないの。部屋の片付けや掃除も自分で行うのよ。あなたがここにいない時は私がやっておくからね。今後、理仁と琴ヶ丘のほうへ引っ越して住むようになった時は、あなたにお願いするわ」「わかりました」それで理仁は早い時期に琴ヶ丘に引っ越して暮らしたくないわけだ。遠くて出勤に不便だというのは二の次の理由だったのだ。主に、唯花がこの結城家の女主人になる重荷をこんなに早い段階で負わせたくなかったのだ。暫くの間はプレッシャーを感じずに楽しく過ごしてもらいたいと思っている。そんな理仁の思いやりをしっかり心に刻んでおこう。理仁は本当に彼女のことを考え、愛してくれている。二人が書斎から出てきた時、理仁の叔母であり、辰巳の母親である薫子が起きていた。そして尾崎夫人と黒川夫人が来ていると聞いても、特に知り合いでもないので薫子には誰かわからなかった。そして執事の天野が説明した。「お二人は、柴尾咲様のおばらしいのです」「咲さんのおば様なのね、それでは、お通ししてちょうだい」薫子はソファに優雅に腰掛けると、天野に琴ヶ丘邸の門番に、あの二人を通すよう通達させた。薫子は咲のおば三人のことはよく知らない。柴尾家は以前、裕福な家庭ではあったが、結城家とは雲泥の差があった。柴尾社長が実の弟を殺害し、柴尾グループを継いでからというもの、真面目に経営し今の富を築き上げてきたのだ。そうであっても、資産数千億と兆超えの家ではやはり雲泥の差だった。朱美と樹里の実家も金持ちと言える。普段、この二人も上流社会
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第1557話

咲は結城おばあさんが辰巳に選んだ花嫁候補である。それで薫子も柴尾家に対する関心は高かった。今、咲のおば二人が突然訪問してきて一体どのような用件だろうと思っていた。咲のおば二人が入ってきた時、薫子はすでに朝食を済ませていた。そしてリビングのソファの上に座り、ファッション誌を見ていた。そこへ天野が二人を連れて入ってきた。「奥様、尾崎夫人と黒川夫人をお連れしました」薫子はひとこと「ええ」と返事すると、雑誌を閉じてローテーブルの上に置き、立ち上がって二人の方へ微笑みかけた。「奥様、はじめまして」朱美と樹里の二人も、よく夫人たちが集まる上流社会の集まりに足を運んでいたが、その世界でも上を行く貴婦人たちの中に混ざることはできない。たとえば結城家の夫人たちの中に混ざろうと思っても、それは叶わぬ夢なのだった。今日朱美と樹里の二人は薫子を訪ねようと約束して来ていた。言うまでもなく、彼女たち二人は琴ヶ丘邸の外に数時間も待たされることになった。それに彼女たちはかなり早くに来ていた。薫子も自分たちと同じように早めに起きて家族みんなの朝食の支度をしていると思っていたのだ。まさか薫子が今この時間にやっと起きるとは考えてもいなかった。それで結局数時間も待たされることになってしまった。「お二人とも、こちらへ」薫子は二人の姉妹を見て、どちらが姉でどちらが妹なのかもわからなかった。朱美は妹の樹里を引っ張って行き、先に自己紹介をした。「結城夫人、私は柴尾咲のおばで、尾崎朱美と申します。こちらは妹の黒川樹里です」薫子は微笑み、二人が自己紹介を終わらせると座るように勧めた。それから使用人に茶菓子とフルーツを持って来るように指示を出した。そして互いに当たり障りのない世間話をして、樹里がこっそりと姉の服を引っ張った。朱美は妹がそうした意味を理解し、薫子に笑顔でこう言った。「結城夫人、私たちが今日急にお邪魔したのは、ある件について少しお話したいと思ったからです」薫子は微笑みを崩さなかった。その様子はとても大らかで落ち着いていた。「尾崎夫人、どうぞおっしゃってください」朱美は結城辰巳が咲のことを好きだということを思い出しただけで、嫉妬で頭がおかしくなってしまいそうだった。目の見えない女が、どうして結城家の御曹司に好かれるのだ?彼
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第1558話

樹里も朱美に加勢した。「そうですよ、うちの咲は結城辰巳さんには全く相応しくありません。それに、結城家の方々も目の見えない咲なんて受け入れられないでしょう。あの子ったら実の母親ですら告発するような親不孝者なんです。人として恥ずかしいことをするような人間はもっとお宅の息子さんには似合いませんよ」この二人はこの件で今日ここへ来たというわけか。これで薫子は二人が訪ねてきた理由を理解した。辰巳が咲に良くしているのに耐えきれなくなり、わざわざここへやって来て騒いで、薫子の目の前で咲の評判を落とし、辰巳と咲の関係を壊してもらおうという企みだ。この二人は本当に咲と血の繋がりのあるおばなのか?ここまで咲が幸せになるのを拒むのか。「あなた方の姪御さんである咲さんとうちの辰巳のことを、お二人はどう見ていらっしゃるのですか?」この時、薫子の笑みは消えてしまった。「つまり、咲さんはうちの辰巳には相応しくないと?彼女が人として恥ずかしいことをしたって?実の母親を告訴した件は私も耳にしております。もし、咲さんの父親が本当に彼女に殺害されたのだとしたら、家族であっても正義を貫き通したということでしょう。それは咲さんにかなり精神的なショックを与えたのではないのですか。あなた達は、咲さんのおばとして彼女の味方になるべきじゃないのです?それに咲さんの父親はあなた達の実の弟なのでしょう。同じお母様から生まれた血を分けた姉弟同士ではないのですか?」朱美と樹里は黙ってしまった。「まさか、義妹があなた達の弟を殺害したのは、そうなって当たり前のことだったとでも思っているのですか?柴尾家の次男さんが神の怒りに触れ死ななければならないほどの大罪を犯したとは一度も聞いたことがございませんけど。それに、子供として父親が母親の手で殺されたと知ったら、全く何も感じずにいられますか?黙って父親の死を見過ごす?確かに家族が犯したことを世間に知られるのは気が引けることですわ。だけど、家族であっても罪は罪として償わせるべきだとした人を支持するべきでしょう。法はどんな人間であっても等しく裁くために存在しているのですからね」二人はひとことも言葉が出せなくなってしまった。そして暫くしてから朱美が口を開いた。「咲が心を鬼にして実の母親を告訴したのは確かに辛いことだったと思います。それは
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第1559話

薫子が言い終わると、朱美と樹里の二人を見つめた。この姉妹はこの時すでに何を言えばいいのかわからない様子だった。いくら馬鹿だったとしても、薫子が咲の目が不自由なことを一切気にしないというのがわかった。確かに結城家の年配者世代はみんな現代的な考え方を持っていると聞いたことがある。まさかそれがここまで何でも受け入れられるほどだとは考えてもいなかった。結城辰巳はあんなに優秀な男なのに、目の見えない女を好きになったのだ。母親である薫子はそのことを全く毛嫌いしていない。名家の夫人たちは付き合いづらい人たちではなかったのか?「尾崎夫人に黒川夫人、他に何かおっしゃりたいことでもございますか?」薫子は遠慮なく尋ねた。「もしそれだけでしたら、お帰りいただけますか。私はこれから用事がありますので」さっさと帰れということだ。すると朱美が慌てて答えた。「いいえ、夫人が目の見えない咲を嫌わないのでしたら、私たちもこれ以上余計な口は出しませんわ。それでは失礼いたします」そう言い終わると、彼女は立ち上がって、妹も立たせた。二人は薫子に挨拶を済ませると、天野に案内されて豪華なリビングから出て行った。薫子は二人が去ってから、表情を暗くさせた。そしてすぐに天野が戻ってきた。「警備に伝えてちょうだい。今後あの二人が来ても私に知らせる必要はないわ。もう二度と顔も見たくない」天野は恭しくそれに応えた。「辰巳はまだ帰って来てないの?」「まだでございます。他のお坊ちゃま方は続々お戻りになられています」薫子は頷き、雑誌を手に取ると数ページ開いて、またローテーブルの上に放り投げた。そして携帯を取り出して辰巳に電話をかけた。天野は薫子が電話をかけているので、静かに下がった。辰巳はすぐに母親からの電話に出た。「母さん」辰巳は母親から電話がかかってきてとても意外そうにしていた。両親は滅多に彼に電話をかけてくることはない。何か重要な用事がなければ、両親は辰巳のことに口を挟まないからだ。「理仁さんたちも琴ヶ丘に帰ってきているのよ。あなたは帰ってこないの?」「その予定はないけど、何か用だった?」薫子は少し黙ってから言った。「別に大した用はないわ。ただ休みだから他の子たちも帰って来てるのよ。天野に尋ねたらあなたは帰ってきてないって言
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第1560話

辰巳は返事した。「当ててみただけ。あの二人は昨日の夜、咲の家で騒いでいったんだ。咲がボディーガードに指示して追い出された。俺は彼女についていたんだけど、あいつら咲の目の前で、彼女は目が見えないから一緒にならないほうがいいって、言っていたぞ。それから、琴ヶ丘まで行って母さんに会うって言ったんだ。そんなことがあったから、あの二人が母さんに会いに行ったって全く意外と思わないよ。母さん、あの二人に何て言われたんだ?」「口を開けば咲さんはあなたに相応しくないだの、彼女は目が見えないだの、それに母親を告訴して継父にひどい真似をしたとかも言ってたかしらね。恩知らずで、あくどい人間だと思っていて、私からあなた達の仲を割くようにさせたかったみたいよ」辰巳は咲のおば達が琴ヶ丘まで行くのは予想していたが、母親の口からそれを聞いて、やはり不機嫌そうに顔を曇らせた。辰巳でさえも咲の目が見えないことをどうこう言ったりしていない。それなのにあの二人は何かにつけ目が見えないめくらだの、咲を貶している。次またあの二人に出くわしたら、紳士ぶるのはやめて、直接ボディーガードに追い出させてやる。辰巳は母親に尋ねた。「母さん、それにどう返したんだ?」辰巳は母親があの二人の話を真に受けるとは思っていない。薫子は言った。「教えてあげたわ、我が結城家の者は年を取っている人間であっても非常に開放的な考え方を持っているってね。あなたが咲さんのことを好きになったのであれば、私もお父さんも口を挟んだりしないって。それに、咲さんの目が見えないからって別に問題はないとも言っておいたわよ。我が結城家に入り、あなたの奥さんになっても別に何かしろってこともないし。ただお金を使っていてくれるだけでいいってね」それを聞いて辰巳は笑った。「さすが母さん、最強だな!」薫子は鼻で冷たく笑った。「まだ咲さんからはオッケーもらってないのでしょうけど、あなたが追いかけているのだから、いずれはうちのお嫁さんとして来てくれるでしょう。私は彼女のことを嫌わないのに、あの二人は何様のつもりよ。しかも二人は咲さんのおばなんですって、実のおばのくせに姪っ子が幸せになるのが面白くないのよ。あんなおばなんて捨ててしまえばいいわ」「咲にはおばさんが三人いるんだ。一番下のおばさんがお父様と仲が良かったらしくて、
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