おばあさんにそう言われて、唯花は安心できた。そうでなければ、家族の誕生日パーティーも知らないなんて、結城家を取りまとめる女主人となる自分は資格がないと思ってしまうところだった。「唯花ちゃん、明凛ちゃん、お仕事してちょうだいね。私は晴を連れて他のお家を回って招待状を渡してくるから」おばあさんは少しだけいて、立ち上がり店を出て行こうとした。唯花と明凛も立ち上がった。「おばあちゃん、昼はご飯食べに来る?」「いいえ、お昼は玲さんと食事するつもりなの。うちのホテルで奏汰にも付き合ってもらうわ」おばあさんはその言葉を出した瞬間、子供っぽい視線を唯花に向けていた。唯花はどういうことかわかり、笑って言った。「おばあちゃん、時間がある時はここに遊びに来てね。うちに引っ越して来てくれるのが一番いいんだけど、都合がいいし」唯花が「都合がいい」という言葉を出す時、おばあさんを意味深な目つきで見つめていた。おばあさんも同じくどういうことか理解した。「晴の誕生日が終わってから、そっちに引っ越すわ。もし、理仁が不機嫌になったら、代わりにあの子をなだめてちょうだいね。あら、そういえば久しく理仁をからかってないわ。あの頃が懐かしいわね」その言葉に全員が笑い出した。「唯花さん、牧野さん、これで失礼します」晴は笑顔でおばあさんの体を支えた。しかし、おばあさんからその手を払い除けられてしまった。「私はまだあなた達に支えられないと歩けないほど衰えていないわよ。おじいさんのところに行くのはまだまだ早いの」そして長年連れ添ってきたパートナーのことを思い、おばあさんは思わずため息をついた。「まるで昨日まで彼と一緒にいた感じがするのに、あっという間にあの人が亡くなってもう十年近く経ってしまったわね」「おばあちゃん」家族たちは、おばあさんが亡くなった夫のことを思い出すのをいつも心配している。するとおばあさんはすぐに現実に戻り言った。「こんなに長い時間が経ったのだから、私ももうそれをしっかり受け入れられるようになったわ。人というものはみんないつか死んでしまうもの。それはただ早いか遅いかの違いなだけ。おじいさんは私よりも先に天国に旅立ったわ。私が彼のところに行った時には、あの世界に慣れていて私を連れて案内してくれるから、慌てる必要がないわね」「おばあ
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