「結城副社長、俺たちはそれほど多くの現金を持ち歩いていませんが」祐一がこう言った。「LINEで送金してもよろしいでしょうか」「向かいに銀行があるから、カードは持ってるだろう?現金を引き出しに行け。咲は現金がいいと言ってるから、現金で弁償するんだ」辰巳の勢いに押され、祐一はやむを得ず黒川家のいとこに頼み、向かいの銀行から四十万の現金を引き出させた。それから兄弟たちは財布の中の現金をすべて出し合い、なんとか456000円を揃えた。「咲、壊したものの弁償だ」祐一は札束を咲の前に差し出した。咲はその札束を受け取り、素早く数え始めた。しばらくして、彼女は言った。「金額は合っています。まだ他に用事はありますか?なければ、どうぞお帰りください」彼らは互いに顔を見合わせた。最後に全員の視線は祐一に集まった。祐一は彼らの中で最年長だから、全て頼りきっていた。「咲、俺たちはなんたっていとこだろう。おじさんもおばさんも捕まっちゃったが、どんなことがあっても、おじさんはお前と血の繋がった親戚だ。お父さんの件については……おばさんはお前の実の母親だ。あんまり冷たくしないでくれよ。あまりひどいことをしないで、ほどほどにするんだ。どうせまた会うこともあるから。お前は柴尾グループを引き継いだが、目が見えないじゃないか。たとえ来栖副社長が手伝ってくれても、所詮他人だ。俺たちとお前はいとこ同士で、何かあったら俺たちも手助けできるだろう。親戚だし、家族同然だと思うんだ。俺たちを柴尾グループから追い出すと、副社長が会社のすべてを手に入れてやるって思いながら陰で笑っているかもしれないぞ。咲、俺たちが柴尾グループに入ったのは、お前が会社を引き継ぐよりずっと前だ。俺たちの方がよく知っているよ。副社長は普段からおじさんにへこへこして、その信頼を得ていた。そして今、おじさんがいなくなったとたん、彼はきっと会社を乗っ取ろうとしてるはずだ。彼はお前を利用しているだけだよ」尾崎家と黒川家の兄弟が店を壊しに来たのは、主に鬱憤を晴らすためでもあり、咲に自分たちを会社に戻すよう迫りたいからでもあった。辰巳が立ち会っていたため、咲へ弁償するのを余儀なくされたが、彼らはやはりなぜ来たのかをはっきりと伝えなければならないと思っていた。「そうだよ。俺たちは何があってもいと
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