辰巳は少しも考えることなく即答した。「本気だ。咲のことが本当に好きなんだ。神に誓うよ!」初めから、辰巳は咲のことを自分の妻だと思って見ていた。彼ら結城家の男たちは、妻のことをこれでもかと愛し、大切にしている。それは親や祖父母世代、そして理仁夫婦を見ても明らかなことだ。一人として例外なく誰もが妻を溺愛している。両親の仲が良すぎて、たまに子供たちの前でそのラブラブっぷりを見せつけられることもある。父親にとって妻がこの世で最も大切な存在だ。辰巳やその他の兄弟たちはおまけみたいな存在なのである。彼らが父親を怒らせても、少し叱られるくらいだが、もし、母親を怒らせてしまえば、父親が棒でも持って追いかけてくる。どうして怒らせたのか理由も聞いてはくれない。父親が言うには、妻が結城家に嫁いできてから自分でさえも妻を怒らせるような真似はできないというのに、子供たちが妻を怒らせてしまったら、それは当然おしおきするしかない、ということらしい。結城家にお嫁に来た女性たちは皆、夫から大事に守られて、まるで娘のように可愛がられるのだ。この世で妻を最も愛している男性は、妻のことを箱入り娘のように大切にするという。「この間の出張は、本当にお仕事で出張していたの?それとも、A市に名医に会わせてほしいって頼みに行っていたの?」辰巳は一瞬驚き、正直に答えた。「A市に行ってたんだ。桐生家の弘毅さんが酒見先生を連れて帰ってきて、名医も一緒に来てるって聞いたから、急いで君の目の治療を頼みに行ったんだよ。あの名医に頼めなくても、酒見先生にお願いできればいいと思ってさ。でも、彼女は今お腹が大きくてもうすぐ出産する時期だから、彼女が治療を快く引き受けてくれても、弘毅さんのほうが同意しなかった。俺が毎日音濱岳の邸宅に頼みに行ったら、彼は俺に会った瞬間に噛みついてきそうなくらい凶悪な顔つきをしていたよ。酒見先生はもうすぐ子供が生まれるから、彼女に診てもらうのはすぐには無理だろうってわかってたんだ。毎日あそこに訪ねていったのは、やっぱりあの名医に頼めないかと思ってなんだ。彼はあちこち動き回っていて、その行方ははっきりしなかった。俺が数日滞在していても、一度も彼に会うことができなかったよ。それでも、酒見先生からは約束をもらってある。出産してから一カ月十分休養して、それか
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