理仁が確認するように唯月のほうを向くと、唯月が頷いたので、退院できるのは本当だとわかり、隼翔に祝福する言葉をかけた。「隼翔、怪我が治って退院できることになったんだな、良かったな。じゃあ、タイミングよかったよ、ちょうどお前を連れて帰れるから」隼翔は言った。「横になっているだけならどこででもできるだろう。今は点滴もする必要はないんだから、家に帰って横になっていたほうが気分が少しはマシだ」できることなら一生、入院したくないと彼は思った。「あずまおじたん、良くなった?」陽は隼翔のそばに近寄り、心配そうに尋ねた。「おじさんは今日退院できるよ」隼翔は陽の手を引いて抱き上げ、膝の上に座らせようと思ったが、陽は状況をよく理解しているので下におりようともがいた。「おじたんは足がいたいでしょ、座っちゃダメだよ」母親からおじさんは足を怪我して、暫くしないと良くならないから、膝に乗ってはいけないと言われていたのだ。陽はそのことをしっかりと覚えていた。隼翔は笑って言った。「陽君がじっと座っているなら、大丈夫なんだよ」確かに痛いのは痛いが、事故にあった直後のあの激痛と比べれば、かなりマシになっている。そして隼翔は再び陽を抱き上げて、膝の上に座らせた。陽は膝の上でおとなしくじっとしていて、頻繁に尋ねた。「おじたん、足痛くない?痛いなら、ぼく下におりるよ」「わかった」状況をよく理解している陽を見て、隼翔はかなり心が癒され、笑顔を取り戻していた。理仁は傍でその二人がおしゃべりしている様子を見守っていた。唯月は隼翔の荷物を片付ける手伝いをしていた。たまに隼翔はそんな彼女の様子を見て、瞳の奥に彼女への愛しさを漂わせたが、すぐに視線を彼女からそらした。「理仁、俺の会社は今どうなってる?」東グループは今隼翔の兄が臨時で社長代理を務めている。恐らく仕事を引き継いであまり慣れないせいか、息つく暇もないくらい、かなり忙しそうにしていた。しかしまだ要領を完全に掴んでいないようだ。隼翔はたまにそんな兄に会社の状況を尋ねていた。兄からの返事に隼翔はいつも言葉を失っていた。だから、理仁に聞いたほうがもっとはっきりわかるはずだ。結城グループと東グループは互いに重要な取引相手だからだ。「通常どおりにやってるよ、隼翔の兄さんも今は少し慣れて
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