All Chapters of 交際0日婚のツンデレ御曹司に溺愛されています: Chapter 2061 - Chapter 2070

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第2061話

理仁は言った。「俺とお前、それから蓮以外のみんなはよそにいるぞ」蓮は今、全寮制の高校に通っていて、一カ月に一回だけ家に帰ってくる。辰巳は一瞬声を詰まらせて、笑って言った。「すっかり忘れてたよ」辰巳より下の従弟たちは仕事の理由で出張していたり、結婚相手の女性を口説くのに忙しい。今は辰巳と理仁だけが星城にいる。二人とも結婚しているか、婚約してしまっているからだ。「ばあちゃんも家にはいないね」辰巳は少し懐かしそうな口ぶりで話した。「ばあちゃんが家にいる時は、何か気に入らないことしちゃって目をつけられて、怒られるんじゃないかっていつも緊張してた。でも、ばあちゃんが他の所に行って家にいないと思うと、なんだか寂しく感じるな」理仁はそれに対して何も言わなかったが、同感だった。兄弟や従兄弟たちの中で、結婚に関しておばあさんが最も頭を悩ませていたのが、ほかでもなく理仁だ。以前、理仁と唯花が喧嘩して、冷戦状態になった時、おばあさんはかなり気苦労があった。それでわざわざ彼らの家に引っ越して暫くの間暮らしていたのだ。そう言えば、かなりの間、トキワ・フラワーガーデンのほうに帰って住んでいない。また日を改めてあの家に行き、少しの間暮らすと良いだろう。「他に何もなかったら、今から出発しよう」理仁は低い声でそう言った。辰巳はそれに頷いた。理仁は立ち上がると、妻の手を繋いで引いた。「明凛と九条さんも行くのよ」唯花はそう言うと、時間を確認した。「そろそろ高校生の下校時間だわ。明凛はもう少しかかるわね」理仁は穏やかに言った。「俺から悟に彼女を迎えにいくよう伝えるよ。本屋は九条家のボディガードに任せればいい。彼らは毎日あそこに滞在しているから、よくわかっているはずだ。あの二人が本屋一つ店番できないわけがない」「じゃ、九条さんに伝えてね」理仁はすぐ悟に電話をかけた。それから少しして、理仁と辰巳はそれぞれパートナーを連れて、琴ヶ丘に向かった。その知らせを受けた麗華は、サプリが書かれた紙を取り出して夫に言った。「あなた、お母さんから頼まれたものよ。唯花さんが妊娠する前に必要な栄養素を調べて、どのサプリを飲んだらいいかお母さんがリストアップしたの。唯花さんは普段とても忙しくて、なかなかこっちに来る時間がとれないわ。さっき理
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第2062話

もちろん麗華は自分の息子に問題があると言われれば、それを全力で否定する。息子は逞しくいたって健康なのに、どうして問題があるだろうか?栄達は妻からそのサプリが書かれたリストを受け取った。彼はこのようなものには詳しくない。書かれているサプリが妊活中の女性にとってなぜ必要なのかもよくわからない。彼は言った。「ここに書かれてるのだって、ネットで調べたものだろう?葉酸なら妊娠前に飲んだほうがいいとよく聞くが、他は唯花さんにどんな栄養が欠けているかなんてわからないじゃないか。それに、私たちだって公に、子供たちの妊娠は焦っていないと言っているし、こんなリストを彼女に渡したら、早く妊娠しろと言われているのだと勘違いして逆にプレッシャーを感じるんじゃないのか。そもそも彼女のプレッシャーは相当なものなのに。これを理仁に渡したら、きっと目の前で破り捨てるぞ。母さんが連れてきた占い師だって言ってただろう。あの二人には秋くらいにおめでたの知らせがあるって。もう少し待ってみようよ。私はあの二人は大丈夫だと思うよ」栄達は続けていった。「あの二人は仕事が忙しいから、そのストレスが原因だろう。だから焦らないほうがいい。世間が何て言おうが、彼らの口を塞ぐことはできない。だけど、私たち家族は絶対に唯花さんの味方でいなくちゃ。彼女のことをもっと気にかけて、プレッシャーを感じさせないようにするんだ。彼女の前では子供の話は禁句だ」麗華はため息をついて言った。「あの占い師の方ね。過去に起きたことならまだしも、未来のことなんてわかりっこないでしょ。もう九月よ、もう秋が近いわ。ここはまだ真夏みたいに暑いから、秋って感じはないけれどね。私だって、子供の催促はしたくないわ。あの二人にプレッシャーを与えたくないもの。ただ、友達と出かけてお茶する時とか、いつも彼女たちに心配されるのよ。何回もこの件を聞いてくるんだから。また同じ質問されると思うと、彼女たちとお茶をするのもためらっちゃうのよね。それから、実家に帰った時も、兄弟とそのお嫁さんたちから聞かれるんだからね。お母さんですらそれを気にしているのよ。唯花さんの子供を見るまでは、お母さんも死んでも死にきれないなんて言い出して」みんな、理仁と唯花が一年経っても妊娠しないのは、主に理仁の性格のせいだと考えていた。彼は唯花への愛が深
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第2063話

栄達は言った。「やっぱりこの件は理仁と唯花さんには言わないほうがいいだろう。家庭内で大騒ぎになるぞ。「母さんが不在だと、私も息子を管理する力はないぞ。理仁に言い聞かせられるなら、君から彼に言ってくれ。焦っちゃダメだと言っただろう。あの二人は結婚してまだ一年だ。十年も経ってる熟年夫婦じゃないんだから、何を焦る必要があるんだ」麗華は少し黙ってから言った。「実際、心の奥底では、唯花さんが早く妊娠したらいいのにって思ってるの。私たちに孫の顔を早く見せてくれないかなってね。子供を生んでも私たちに任せてくれれば、彼女がお世話する必要はないでしょ。安心して自分の仕事をやってくれていいから。一日でも早く妊娠して生まれないと、その分この事が心につっかかってしまうのよ。その事ばかり考えてしまうわ。でも、早く子供を作ってだなんて催促もできないし」麗華は、他の名家に嫁いだ女性のように、唯花には安心して家で夫を支え、子供の世話をしてほしいと実は望んでいる。若奥様という立場になった女性は、多くて家庭内の事や、結城家の小さな商売に目を向けて、家賃収入などで稼いでいればいいのだ。それに、これらの事も自ら行う必要はない。人を手配して仕事させておけばいいのだから。しかし、唯花は自立心の強い女性だ。それに、実の姉が結婚後仕事を辞めて、離婚してしまうという結末を見ていた。それで、唯花はかなり前から、他の名家の女性のように男の後ろに一歩さがって、家で専業主婦になるのは嫌だと態度をはっきりとさせていた。もし、結婚してから仕事をしてはいけないと理仁に言われるなら、唯花は離婚する気でもいる。しかし、唯花のことを深く愛している理仁が、離婚など絶対に認めるわけがない。当初理仁の正体が彼女にばれてしまった時、唯花は離婚すると言っていた。理仁は彼女をとどめておくために、屋敷に軟禁までしてしまったのだ。それを見ただけでも、彼がいかに狂っていたかがわかる。結城家も、唯花こそが彼の支えであり弱点になっているとわかっている。唯花がいないと、理仁は発狂してしまう。夫から支持され、自分のやりたいように生きていける唯花に対して、周りが余計な口を挟む必要があるだろうか?麗華は息子と嫁がとても愛し合っているのを知っているからこそ、唯花には家で若奥様として過ごしてもらいたいと強く思っていて
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第2064話

麗華はリストの紙を隠した後、背筋を正して立ち、何事もなかったように出て行った。執事は栄達のほうを見ていたが、栄達のほうが先に執事に尋ねた。「陽君は一緒に来ているのかな?」「陽様はお見かけしておりません」栄達はひとこと「そうか」と返事し、新聞紙を取って開いて見始めると、こう言った。「陽君が来てないなら、年寄りの私は出迎えに行くのはやめておこう」執事は思わず笑った。陽は年配世代たちにとっては、とても可愛らしい存在だ。主に、琴ヶ丘邸には小さな子供がいないからだ。毎回陽が叔母と一緒に琴ヶ丘にやって来ると、みんなが陽を奪い合う。一人一人陽と一緒に遊びたいと、「陽争奪戦」が始まる。陽はその状況がよくわかっていて、みんなを喜ばせる話ばかりする。栄達のように孫の顔を早く見たいと思っている、ある程度年がいった人間は、もちろん陽のことが大好きだ。麗華は母屋から出てきたところで、息子と嫁が手を繋いで歩いてくるのが見えた。息子は片方の手にはいくつかの袋を提げている。聞くまでもなく、息子夫婦が両親に買ってきたお土産だ。唯花は手ぶらでここに来たことはない。もちろん、唯花も義父母のところには何か足りない物などないとはわかっている。しかし、嫁として、何か買って持って来るのは、義父母にとって意味があることなのだ。「母さん」「お義母さん、お久しぶりです」理仁夫妻は麗華を見ると挨拶をした。麗華はそれに笑顔で返し、二人の後ろに目線を向けた。理仁たちの後ろには、辰巳と咲がいた。咲は何度かここへ来たことがあるが、琴ヶ丘は非常に広大で、彼女はまだここの感覚が掴めていない。それで歩くときには慎重にゆっくりになる。辰巳と手を繋ぎ一緒にゆっくり歩く必要がある。そして咲に琴ヶ丘をさらに理解してもらうために、辰巳は歩きながらあそこには何があるだの、そこには何があるだの、教えていた。咲に覚えてもらうために周囲にあるものを細かく伝えてあげていた。咲のほうは歩数をしっかり数えて覚えていた。こうしておけば、次に同じルートを歩くときには誰にも付き添ってもらわずに済むからだ。「唯花さん、陽ちゃんは?今日は金曜日で明日は幼稚園はお休みよね。どうして一緒に来てないの?もう長いこと陽ちゃんに会っていないから、とても会いたいわ」麗華は陽の姿が見えなかったので
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第2065話

唯花はそんな麗華の子供を催促する裏の意味には気づいていないようで、微笑んで言った。「それもそうですね。陽ちゃんに会ったことがある人はみんなあの子のファンになっちゃうんです。音濱岳邸に行った時も、年齢問わず全員陽ちゃんのことを気に入ってくれました。私が彼を連れて星城に戻る時は、桐生家のおばあ様は名残惜しそうにしていましたよ」二人は仲良さそうに手を組んで、一緒に中へ入っていった。それを聞いて麗華は笑った。「桐生おばあ様は陽ちゃんと離れるのを恋しがったけど、うちのおばあ様は桐生家の双子の娘さんと離れられなくなったのね。きっと、あの子を連れて帰って、こっちで世話したいと思っているはずよ」「そうなんです。おばあちゃんは芽衣ちゃんに会うと、片時も目を逸らさずに、ベビーベッドの傍で一日中見ていても飽きないんですから」麗華は笑いながら言った。「私でも、きっと同じように一日中眺めていても飽きないわよ」女の子が生まれていない結城家では、みんな女の子が好きだ。他所の家の小さな女の子を見ると、視線を逸らすことができなくなってしまう。それにそこから離れようともしない。結城おばあさんのようになってしまうのは、彼女だけの話ではない。「お義母さんが家で暇なら、街をぶらぶらしてもいいし、私たちのところに引っ越して来てもいいのに。人が多いほうが賑やかですからね」麗華は言った。「いいえ、私も夫も年を取ったせいか、ここでの生活が気持ち良いのよ」やはり、近づきすぎず、離れすぎずが一番だ。嫁姑は互いに一定の距離を保っていたほうが良いに決まっている。それに住む家がないわけではない。彼らには余るほど屋敷があるのだ。麗華は息子夫婦に同居するよう要求することはない。それに、麗華には理仁以外にまだ二人息子がいる。もし、彼女が長男夫婦の家で暮らせば、残り二人の息子が両親と一緒にいたい場合、長男夫婦の家に一緒に住むことになる。いくら兄弟仲が良く、唯花がかなり寛容な嫁だとしても、結局は今住んでいる所で暮らしたほうが気が楽なのだ。人と人は、ある程度の距離を保つべきだ。だから、今のこの状況が一番だ。息子夫婦は定期的に週末遊びに来てくれる。他の息子たちがここへ来るのも、実家に帰るということだから、気楽でいられる。「私は陽ちゃんが恋しいのよ。あの子、幼稚園は慣れたか
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第2066話

唯花もただそこに座っているわけにはいかず、バッグを置くと立ち上がって義母に続いてキッチンに行った。理仁も父親に挨拶すると、持って来た物をローテーブルの上に置いて言った。「父さん、これは唯花が父さんと母さんにって買ってきたものだ」そう言いながら、彼は父親の隣に座り、新聞をちらりと見て尋ねた。「何の新聞を読んでいるんだ?」「時間つぶしに適当にそこらへんにあったものを見てるだけだ。なんで陽君も一緒じゃないんだ?陽君が来たら、父さんだって退屈しないのに」小さな子供がいると苦労するし疲れるが、それでも栄達は好きなのだ。陽が来ると、彼はいつも陽の後を追いかけ回している。「陽君の父親が目を覚ましたんだ。義姉さんが明日陽君を連れて父親のお見舞いに行くんだよ」栄達はひとこと「そうか」と答えた。「なるほどな、あの佐々木とかいう男が目を覚ましたんだな?」彼は、俊介が以前唯月に対してやってきた事を知っていて、佐々木俊介という男は因果応報だ、ざまあみろと思っていた。俊介が目を覚まさなければいいのにという考えすらあった。「ああ、目を覚まして食べられるようになっている」理仁は低い声で言った。「しぶとい野郎だ」莉奈にナイフで刺され、出血多量だったため、医者も命の保証はできないと言っていたのだが、結局彼は持ちこたえた。栄達は新聞紙を閉じると、それを元の場所に戻して言った。「でも結局は陽君の実の父親だからな。彼が生きているかぎり、陽君が父親を失うことはない」理仁は少し黙ってから、ひとことだけ「そうだな」と言った。この時、辰巳が咲の手を引いて入ってきた。「伯父さん、お久しぶりです」辰巳が笑顔で栄達に挨拶をした。「よく来たね」栄達は若者世代みんなに優しい。甥っ子の婚約者は耳に頼って生活していると知っていて、しっかりとした声で辰巳の挨拶に返事をした。咲は栄達の声が聞こえて、その声がしたほうへ顔を向けると、同じように挨拶をした。辰巳は咲の手を繋いだまま一人掛けソファに一緒に座った。どうせソファは大きいので、二人で座るとちょうど良い。「麗華おばさんは?」辰巳は流れでそう尋ねた。「唯花さんと一緒にキッチンにいるよ」理仁は片手をローテーブルにつけ、もう片方の手で果物が入った器を辰巳たちのほうへ近づけた。二人に食べろという
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第2067話

栄達は言葉を失った。まずい!息子にあの妊活用サプリがリストアップされた紙を見られては、彼はどうやって妻のフォローに回ればいいのだ?「誰がテーブルの下に紙切れを挟んだんだ?」理仁はぶつくさと言っていた。理仁はその紙を拾い上げて、そのままゴミ箱に突っ込もうと思っていたが、何か字が書かれてあるのに気づき、好奇心に駆られて、思わずその紙を開いて見てみた。この時、麗華が唯花とちょうどキッチンから出てきた。麗華は息子があの紙を広げて見ているのに気づいた。テーブルの位置も少しずれている気がする……麗華はその瞬間、顔色を真っ青にした。まずい、終わりだ!どうして見つかってしまったのだ?あの紙はローテーブルの底に下敷きにしていたのに、まさか息子に見つかってしまうとは。夫が息子に密告したのか?いや、それはないはずだ。夫が裏切るはずがない。麗華はなんとか自分を冷静に保ち、慌てず自分を落ち着かせた。その時は断固として認めなければ済む話だ。理仁がその紙を広げてみると、何かの栄養サプリがリストされていた。彼は自分が服用しないので、いまいちよく知らない。そこに書かれているものが一体どんな効果があるのかさっぱりだ。しかし、テーブルの下に挟まっていたものだから、きっと家族の誰かのものだろう。父親?それとも母親か、はたまた祖母のものか。祖母は今不在で、あちこち放浪しているから、きっと彼女ではないだろう。では、両親のどちらかか?理仁はそれを見終わると、父親のほうを見た。この時、母親も近いところに立っていて、どうやら緊張した面持ちをしている。すると理仁は心の中で、きっと両親は栄養が足りずどこか体調が悪いのかもしれないと思った。「父さん、このサプリが書かれた紙がテーブルの下にあったけど、どこか調子が悪くて栄養を補う必要があるとかなのか?」理仁はこのまま紙の存在を無視することはない。そして父親に尋ねた。栄達はとぼけたふりをして言った。「別に調子が悪いところなんてないぞ。それは何かのリストか?見せてみなさい」そう言うと、彼は息子から紙を受け取った。辰巳は伯母と伯父の二人をたて続けに見た。彼はビジネスの世界という荒波に揉まれた人間で眼光は鋭い。伯父と伯母が明らかに不自然であることに瞬時に気がついた。それは理仁は言
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第2068話

母親からそう言われるまでもなく、理仁はすぐに結城家の訪問医に電話をかけて尋ねた。「もしもし、うちの祖母と両親は最近どこか不調を訴えたりしていましたか?」「いいえ、おばあ様と旦那様、それから奥様はみなさん健康です。若旦那様、どうしてそのようなことを聞かれるのですか?おばあ様に何かありましたか?」医者はおばあさんが結構な年なので、何かあったのではないかと思ってしまった。結城家の健康診断を担当しているのは彼ではないが、病院で働いしてる同僚や大学の昔の同級生に聞けば結果はわかる。結城家は誰も何か体の調子が悪い人はいないはずだ。結城家は全員健康には気をつけているので、みなそれぞれとても元気だ。きっとこの一族は神から愛されていて、運が非常に良いのだろう。若者世代は誰もが優秀で、すでに引退している世代はみんな食生活が良く、健康体そのものだった。健康こそ、最大の財産なのである。そして、結城家は健康という財産だけでなく、実際に金銭的な富も持ち合わせている。星城一の財閥家とは、まがいもない事実なのだ。「祖母は今星城にはいません。彼女はあちこち走り回っていますから、大丈夫です。うちの両親を心配しているんです。さっき、テーブルの下にあるリストがあって、何やら色んな栄養素のサプリが並んでいるんですが、この写真を送って見てもらってもいいでしょうか?」「ええ、若旦那様、そのリストを送って見せてください」「理仁、言ったでしょ、私たちはなんともないんだってば。見る必要はないから。これは誰かがテーブルの下に挟んだのよ。捨ててしまいましょ」麗華はその紙をさっさと捨ててしまいたかった。しかし、理仁がそれを許さなかった。「母さん、二人ともなんともないって言うわりに、なんでそんなに焦ってるんだよ?ただ先生に見てもらって、別になんでもないってわかってから捨てても遅くないだろ」辰巳もその紙を受け取って見てみた。咲は見えないので、耳を澄ましてよく聞いていた。唯花は義父母が少し慌てた様子だと思っていた。きっとこの紙はあの二人がローテーブルの下に挟んだのだろう。唯花は言った。「お義父さん、お義母さん、先生にちょっと見てもらうくらいなんでもないですよ。うちの誰かのものじゃないなら、家政婦さんたちの誰かのものなのか探して、必要なら何かしてあげれ
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第2069話

理仁が父親のそんなでたらめ話を信じるわけはない。それは理仁だけでなく、その場にいるみんなが信じていなかった。唯花は再び夫からそのリストを受け取ろうと思っていたが、理仁はすぐにそれを破いてしまった。粉々にして、キッチンに行くと、ダストボックスの中に捨ててしまった。そしてキッチンから出てくると、彼は不機嫌そうに顔を歪めていた。「理仁、お父さんが言ったのは本当だ。あれは別に唯花さんに用意したものじゃなくて、昔母さんにあげたものなんだよ」この時もまだ栄達は、ほらを吹き続けていた。理仁は我慢できず、父親の嘘を見破った。「ばあちゃんから聞いたが、父さんと母さんは結婚してから三か月以内に妊娠したって。どうして父さんの話ではしばらく経っても妊娠しなかったことになってるんだ?ばあちゃんがぼけて記憶を間違えたのか、それとも父さんが嘘をついているのか。ばあちゃんから聞いただけじゃなく、母さんからもすぐに妊娠したって話を聞いたぞ」栄達は黙ってしまった。「母さん、さっきのリストは母さんの母親からもらったものじゃないか?おばあ様が俺と唯花にはずっと子供がいないから、あれを渡したとか?それで、書いてあったサプリを買いに行くつもりだった?俺たちが帰ってきた声を聞いて、急いで紙をテーブルの下に置いたんじゃないのか?」自分の両親だ。理仁がわからないわけないだろう。絶対にその予想が当たっているはずだ。「何度も言ったはずだぞ。俺も唯花も二人っきりの世界をまだ楽しみたいから、子供はすぐには考えていないって。この前、唯花と検査するしないで揉めてから、ずっと俺は避妊していたんだ。それなのに唯花がどうやって妊娠するんだよ?」この時、栄達と麗華はずっと黙っていた。辰巳と咲はただ聞いているだけで、声を出すことはできなかった。今理仁は怒りで相当いら立っている。理仁のその言葉を聞いて、唯花は心の中で理仁も嘘をついているくせにと文句を言っていた。二人は一度も避妊なんてしたことはない。彼女が音濱岳から戻ってきてからというもの、彼は夜、超絶しつこい。「母さん、明日実家に戻って、おばあ様とそれから他の家族たちにも言ってくれよ。これからは唯花がいつ妊娠するかなんて心配するなって。俺たちが二人きりの生活を満喫し終わったら、自然と子供のことを考えるからさ。
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第2070話

唯花も実際よくわかっていた。夫側の家族はみんな彼女が妊娠することを期待している。結城家だけでなく、姉も伯母もみんな唯花に早く妊娠してほしいと思っている。「サプリったって、乱用はよくないだろ。それにどんな栄養が足りてないかわからないし、偏って摂りすぎるのもよくない。摂るなら摂るで医者に尋ねてからでいいんだから」栄達が気まずそうに笑って言った。「理仁、私も母さんもわかっているよ。私だって母さんにその話はしたんだ。母さんだって唯花さんに本当に買ってきたわけじゃないんだ。ただ白鳥家のおばあ様が母さんに渡しただけで、母さんだって向こうが良かれと思って作ったこのリストを受け取らないわけにいかないだろう。それで紙は持って帰ってきただけだよ」麗華は息子が自分の母親を責めるのではないかと心配し、代弁した。「理仁、私たちだってあなたと唯花さんの状況は知らなかったのよ。それにおばあ様を責めないであげて、私の母親はいつもこうなの。心配性なのよ。お母さんはあなたの事をとっても可愛がって、大事に思ってるのよ。いつもいつもあなたの子供に会いたいって言ってるんだから」そして麗華は唯花に言った。「唯花さん、私は本当に子供を催促してるわけじゃないのよ。あなたと理仁のタイミングで子供を作ったらいいんだから。どうせ、あなた達はまだ若いし、結婚してまだ一年しか経っていないわ。今は結婚式のことだけ考えておけばいいから」「お義母さん、わかっています」唯花は答えた。麗華は彼女に理仁をなだめてほしいと目配せした。理仁が、二人は親であるにも関わらず、そんなことは無視して容赦なく説教してくるだろう?という目だ。唯花はそんな麗華の意味を理解し、理仁を引っ張って優しい声で言った。「あなた、二人も別に実際に買ってきて飲ませようとしてないんだから、そんなに怒らないでよ。白鳥家のおばあ様だって、あれこれ心配しちゃう年なのよ。だから、もう怒らないでね。ほら、辰巳君と咲さんだってここにいるんだし、あなたがこんなふうに怒ってたら、咲さんが驚いちゃうでしょ」咲は何も言わずに微笑んだ。「ほら、もうおしまい。そろそろ食事の時間だし、まずはご飯にしましょ」麗華はそれに付随した。「そうよ、そうよ。食事はもうできるわ。まずはご飯を食べましょう。辰巳君、咲さん、食事に行って」理仁は雷を落と
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