「唯花さんが気にして怒らなくて良かった。それに理仁をなだめてくれたしね。そうじゃなかったら、理仁からの説教がいつまで続いていたことやら。まるで理仁のほうが親で私たちが子供みたいになるぞ、かなり恥ずかしい」麗華は笑いながら夫の腕に手を回した。「ご飯を食べる時は好きな物を私の分もたくさん食べてね。あなたが私の代わりに理仁の怒りを受けてくれたんだから」あのリストは麗華が実家から持って帰ってきたものだし、彼女があれをローテーブルの下に挟んだのだから、責任がある。しかし、夫も一緒に息子から怒られてしまい、巻き込む形になってしまった。「さあ、ご飯を食べに行きましょう」この時、悟が明凛を連れて入ってきた。「お邪魔します」悟たちはきちんと二人に挨拶をした。麗華と栄達の二人は気さくな態度で彼らに一緒に食事をしようと言った。悟と明凛は琴ヶ丘邸で週末の休みを過ごすつもりで、よく遊びに来ているのだから、全く遠慮はせず、麗華夫妻と一緒にダイニングへ向かった。理仁はこの時、まだ機嫌がなおっていなかったが、親友夫婦もいるし、妻からずっとおかずを取ってもらい、おとなしく食事をしていた。それでこれ以上怒りのオーラを出すことはなかった。食後、三十分ほど休んでから、理仁は唯花を連れて散歩に出かけた。悟と明凛は理仁の機嫌が悪いことを察し、彼は明凛を連れてすぐに外に出ることはしなかった。部屋の中で栄達夫妻とおしゃべりをしたり、世間話をしたり、また噂話に花を咲かせた。辰巳のほうは咲を連れて自分の実家に帰った。辰巳の両親と弟たちは家にいなかった。執事が辰巳が婚約者を連れて帰ってきたのを見て、すぐに彼の両親に連絡した。すると少しして、辰巳の両親が急いで帰ってきた。両親が帰ってきてから、辰巳は母親の薫子に部屋の隅の方へ追いやられた。薫子は息子の婚約者である咲のことを、まるで実の娘のように大事にしている。もはや、薫子にとって辰巳のほうがおまけなのだ。「咲さん、せっかく来てくれたんだし、数日いて、私のお話相手になってくれない?」薫子は咲の手を握りしめて離そうとしなかった。咲を見つめる薫子の眼差しは非常に優しかった。そして薫子は息子を叱った。「帰ってくるなら事前に連絡しなさいよね。わかっていたらキッチンに咲さんの好きな料理を用意させておいたのに」
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