こんな朝早くに、一体誰だろうか?唯花が下におりて、玄関のドアを開けて外に出ると、家の遠くの門のところに人が立っていた。両手には何か袋をぶら下げていて、見た感じ出前のようだった。「内海さん、おはようございます」スカイロイヤルの日高マネージャーがニコニコしながら挨拶をしてきた。「日高さんだったんですね、おはようございます」唯花はスカイロイヤルホテルのロビー責任者が来るとは思ってもいなかった。日高は両手に下げている袋を上にあげて笑って言った。「結城さんから昨晩電話をいただきまして、二人分の朝食を予約なさっていたんです。私にこの時間帯に届けるようおっしゃっていて、こんな朝から内海さんのお邪魔をしてしまいましてすみません」唯花は心の中で、一晩中ずっと理仁と一緒にいたのに、一体彼がいつ日高マネージャーに朝食を持ってくるように連絡していたのだろうと思った。いつもいつもスカイロイヤルホテルのデリバリーだ。確かに彼は結城グループで働いているから、スカイロイヤルで買う時には社割がきくだろうが、それでもそんなに頻繁にあそこで消費するわけにはいかない。しかし表面的には唯花は笑って、庭の門を開けて日高にお礼をし、二人分の朝食を受け取った。そして「日高さん、いくらですか?私がお支払いします」と言った。理仁はこの家は頭金を払っただけで、毎月ローンを返さなければならないのだ。彼が後からまた貯金をしていたとしても、トキワ・フラワーガーデンも購入したのだから、恐らく今は家に使えるお金はそんなにないだろう。しかも節約することもせず、朝食にスカイロイヤルホテルを選び、それをまた従業員に持ってこさせるのだ。以前はずっと彼女が近くのコンビニで買ってきたり、自分で作って食べていたのだ。「結城さんからお代金はいただきますので」日高は唯花からお金をとるようなことはできなかった。「私と結城さんは夫婦で家族なんです。彼のお金は私のお金でもあるし、私が払ったって同じことですよ。日高さん、私たちも知り合ってからだいぶ経つし遠慮しないでください。いくらですか?教えてくださいね、全額お支払いします。大きく割り引いてもらう必要なんてないですから」日高は唯花がどうしても支払うというので、適当な値段を考えて教えたのだった。その適当に付けた値段は持ってきた朝食二人
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