一行はさらに少し進み、陰気な空気はいっそう濃くなった。「気をつけろ、危険な匂いがする」商治が言い終わらないうちに、紙鳶のような二つの影が、音もなく彼らのそばに降り立った。二人が跳びかかって攻撃しようとしたその瞬間、背後から拓海の声が響いた。「もういい。ここまで来たのなら、哲郎に会わせてやれ。それも、せめてもの情けだ」その二人は顔を見合わせると、そのまま姿を消した。商治はその様子を見ると、時也のそばに寄り、支えながら言った。「力を温存しておけ。中に入ったら、しっかり哲郎を見なきゃいけない。さっきの二人、かなりの腕だった。やっぱり俺の心配は当たってた。今夜、この病院にたくさんの達人がいるはずだ。少しでも体力を残しておくのは、悪いことじゃない」時也は今回は抵抗せず、商治に支えられるまま、最後の部屋へと入っていった。中に入ると、そこには三つの棺が並べられていた。商治は顔色を変え、時也を見た。胸の奥に、嫌な予感が湧き上がった。二人が考えを巡らせる間もなく、拓海が中央の棺の後ろから姿を現した。彼は棺の横に立ち、棺と同じ高さで向き合った。棺の蓋は開いており、中の様子がはっきりと見えた。拓海は一瞥し、淡々と言った。「来たか。まずは哲郎に線香を一本あげてやれ。でないと、これからお前たちが死んだあと、見送る機会もなくなる」商治は時也を支えたまま笑って言った。「ということは、残りの棺は俺と時也のためか?本当に気が利いてるね」拓海は商治を一瞥した。「稲葉先生、考えすぎだ。その棺は確かに時也のためだが、残りの一つは華恋のために用意したものだ」華恋の名を口にした瞬間、拓海は歯ぎしりするような口調になった。時也は目を細めた。「拓海、お前は間違っている。この棺は、お前自身のためのものだ」「ははははは!」拓海は仰向けに笑った。「時也、ここまで来てまだ分からないのか。今夜はお前と俺の命を懸けた勝負なんてものじゃない。あるのはただ一つ、お前が死ぬだけだ」そう言いながら、拓海は彼に銃を投げてよこした。「本当は、お前を哲郎と同じ場所で死なせるつもりだった。だが、そうすればお前は絶対に来なかっただろう。だからこの方法で騙して連れてきた。今、ここに来た以上、哲郎の前で死ね。その銃で抵抗しような
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