1時間以上経った後、華恋は汗だくになって時也の上に伏せながら、執拗に尋ねた。「......つまり、いいってこと?」時也は一秒ほど黙り、そしてうなずいた。華恋は嬉しそうに彼の頬にキスをした。「時也は本当に優しい」時也は華恋を抱きしめ、苦笑いを浮かべた。まったく、また自分で厄介な状況を作り出した。数日以内に、自分の身代わりを用意しなければならない。将来、華恋が自分の正体を知ったときには、このことを忘れていてくれたらいいのに。......賀茂家の旧宅にて。賀茂家当主が亡くなって以来、哲郎は旧宅に引っ越して暮らしている。ここにいれば、賀茂家当主がまだ近くにいるような気がするからだ。「ごめん」哲郎は賀茂家当主が使っていた机を撫でた。「おじいさんの願いを果たせなかった。俺は本当にダメな奴だ。でも安心して、必ず華恋を嫁にしてみせる。おじいさんの願いを叶えるよ!それに......華恋の夫がおじさんかもしれないという件も、ちゃんと調べるよ」葬儀が終わった後、哲郎はわざわざ藤村執事にフライト情報を確認させた。その結果、時也は確かにネパールへ行っていて、現地で彼の姿を撮った写真もあった。写真はぼやけていたが、最も尊敬していた叔父である時也の後ろ姿だということは、一目で分かった。「哲郎様」藤村執事がドアをノックして入ってきた。案の定、哲郎は賀茂家当主の書斎にいた。彼はため息をつきながら言った。「南雲さんが来ました」「華恋が?」哲郎はすぐさま扉に向かって歩き出した。しかし扉にたどり着く前に、そこに立っているのは華名だ。彼の笑顔は瞬時に凍りついた。後から来た藤村執事が気まずそうに言った。「華恋さんではなく、華名さんです」「下がっていい」哲郎はそう言い、華名のもとへ向かった。華名は哲郎を見るなり、可哀そうな表情を浮かべた。「哲郎、ようやく会えた......」哲郎は眉をひそめた。「俺に何の用だ?」「哲郎、私が刑務所でどんな目にあったのか、気にならないの?」華名は泣きそうな顔をした。「私は......」哲郎は彼女の言葉を荒々しく遮った。「それはお前の自業自得だ。自分が何をしたか分かってるのか?もう少しで人を殺しかけたんだぞ!」華名は茫
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