海斗を一目見た瞬間、凛は少し驚いた。学校近くの小さなレストランには、海斗が凛を追っていた頃に二人で来たことはあったが、正式に付き合い始めてからは、彼はもう好んで来なくなっていた。しかし、それはまだいい。凛が目を丸くして信じられない思いになったのは――今、海斗が腕に抱いている女性だった。まさか亜希子?!この親密な様子からして、ほとんど間違いなく恋人同士だ。二人はいったいいつから付き合っていたの?別に凛が未練があって元カレの恋愛事情を探りたいわけではない。ただ……普通の人間なら、こんなゴシップを前にして気にならないはずがない!この状況は海斗に限らず、知り合いの誰であっても、凛なら同じ反応をしただろう。だって……目の前にゴシップのネタが転がっていたら、どんな奴だって飛びつかずにはいられない!亜希子は海斗の視線を追い、その先に凛を見つけると、すぐに笑顔を作って海斗を連れて歩み寄ってきた。「凛、偶然ね。こんなところで会うなんて」「?」凛は少し戸惑った。亜希子とはそこまで親しいわけでもないのに。いきなり下の名前で呼ぶの?とはいえ、笑う顔に刃は立たぬという。凛も軽く微笑んで返した。「そうね」そして――それで終わり?亜希子の笑みが一瞬止まり、すぐに言った。「紹介するわ。私の彼氏、入江海斗」そう言って、亜希子は甘えるように海斗の腕に絡みつき、紹介した。「こちらは私の同級生、雨宮凛よ」「?」凛は心の中で首をかしげた。――私、誰か尋ねたっけ?なんでいきなり紹介が始まってるの?マジで勘弁してほしい。「あの……金田さん、奥の方に空席がいくつかあるよ」つまり――そちらで座ってください、わざわざ私の横に突っ立たなくても。ぷっ――時也はとうとう堪えきれず、吹き出してしまった。海斗が女を抱いて入ってきた瞬間から、彼の目はずっと面白がるように光っていた。もともとは黙ってこの茶番を見物し、立派な観客を演じるつもりだった。だが凛のあまりにストレートすぎる一言に、つい笑ってしまったのだ。「ゴホン!凛、入江社長と新しい彼女に少しは顔を立ててやれよ。一緒に座ろうって誘ったらどうだ?」と時也が言った。凛は口元をひきつらせた。「……本気で言ってるの?」元々は二人掛けのテーブルに椅子を一つ足して、やっと
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