彼が話すのを待たずに、凛はテーブルに目を向け、きれいなお皿を見つけると、清潔な箸で小さなワンタンを2つ取り、それを陽一の前にそっと押し出した。「試してみませんか?」陽一は一瞬ためらったが、それを手に取って口に入れ、ゆっくりと噛みしめた。凛は目を輝かせながら尋ねた。「どうですか?」彼女が期待に満ちた目で見つめるのを見て、陽一は軽く頷いた。「味はいいね」凛は嬉しそうに笑って言った。「そうでしょ?私がすすめるものが美味しくないわけがないんですよ」陽一もそれにつられて笑みを浮かべた。……悟が笑いながら言った。「時也さん、もうすぐ誕生日っすよね?今年はどうやって遊ぶつもりっすか?レースでもやるか?それとも変装ショー?いや、もっと派手に、ストリッパーが飛び交う会場とかどうっすか?ハハハ……」広輝がすぐに同調した。「その案、悪くないね」二人の視線が自然と時也に集まる。遊びに関して言えば、この三人の中で時也が一番アイデアが豊富だった。スーツを着てネクタイを締めた姿はどこから見ても品行方正な紳士に見えるが、その内面には誰よりも大胆で狂気じみた一面が隠されている。「今年は……シンプルに誕生日パーティーでも開こうかと思ってる」悟は驚いたように目を丸くした。「……は?」広輝も思わず声を漏らした。「……え?」時也は軽く眉を上げて二人を見た。「何かおかしいか?」悟は訝しげに時也をじっくり見つめ、頭からつま先まで確認するように目を動かした。「いや、時也さんらしくないっていうか……今日、何か妙な薬でも飲んだんっすか?」広輝も冗談めかして口を挟んだ。「本当にそうだな。誕生日パーティー?なんだ、お前、うちのじいさんにでも感化されたのか?」今の時代じゃまだ誕生日パーティーなんてやる人なんているのか?「まさか……」悟は目を丸くして言った。「そっち系のパーティーじゃないっすかね?」広輝は瞬時に背筋を伸ばし、目を輝かせた。時也は答えた。「何を考えてるんだ?普通のパーティーだよ。金城のプライベートヴィラで開く。数日後に招待状を送る」そう言い終えると、時也はその場を立ち上がり、背を向けて歩き去った。悟と広輝は顔を見合わせ、そして一斉に窓の外を見た。今日の太陽も西から昇ってきたわけじゃないよな?……凛は時也からの
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