実験室で、朝日はもうn回目に陽一を見やる。ついに我慢できずに、彼に近寄って――「陽一、まさか今日来る途中でお金でも拾った?」実験台に上がってから、ずっとニヤニヤしている。陽一の手が止まる。「データは出揃った?三期実験の実現可能性評価レポはいつ提出できる?」朝日は黙って、『まったく縁起でもない』と思う。「そういえば、今朝お前がサンドイッチを食べてるの見かけたけど」陽一は言う。「……だからなに?」「凛が作ったんだろう?俺、知ってるぞ。お前さ、凛と仲直りしたのか?ようやく悩むのやめたんだな?」陽一が考え込んで、二人が付き合っていることを伝えようとする時、ちょうどスマホにLINEの通知音が鳴る。陽一はすぐに取り出して開く――凛からのメッセージだ。【着きましたよ、サンドイッチ美味しかったですか?】陽一即返信する。【美味しかった】凛は返信してくる。【今からホテルでチェックインをします。午後には工場に行きます】【わかった】1分を待っても、向こうからは返信が来ない。陽一は物足りなさを感じる。以前もこんな風にやり取りしていたのに、今はそれだけでは満足できなくなっている……もっと長く、もっとたくさん話したい。その気持ちは……まるで心がむずむずして、軽く掻いても、痒みが全然治まらないようだ。凛に思い切り掻きむしられたい。「誰とメッセージしてるんだ?」朝日が覗き込もうとしてくる。陽一が避ける間もない。「何を隠してるんだよ?凛からのメッセージじゃないか。何を見せられないものがある?」「……」陽一はスマホをしまい、実験台から降りる。「今日の昼食は僕がおごる。何が食べたい?」朝日は数秒間呆然としている。真奈美と博文は顔を見合わせる。「先生、何かおめでたいことでもあるの?急に奢ってくれるなんて?」陽一は口元を上げる。「決まったら朝日に伝えて、彼がレストランを予約するから」朝日は意味が分からないという顔をする。『なんで俺はいきなりそういう役回りを任された?まあいいか、誰かが払ってくれるんだし』と。「昼食を食べるなら、アフタヌーンティーもセットでどう?」朝日はつけあがった。陽一に「ふざけないで」と言われるかと思いきや――「ああ、いいよ、自分たちで決めて。領収書をちゃんと取
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