白石は一歩ずつ真奈に近づきながら、言葉を重ねた。「あなたが強情なのは知ってるよ。表向きは二度と僕を信じないなんて言いながら、心の中ではずっと僕を庇う言い訳を探して、何か事情があるはずだって思い込もうとしていたんだろ。今だって、僕があなたを本気で傷つけるはずがないって、心のどこかで信じているよな。瀬川さん、あなたは甘すぎる。無理に心を鬼にして誰も信じないように振る舞っても、結局はこの世界に善意が溢れていると信じたいんだ。天真爛漫と言うべきか、それともただの馬鹿と言うべきかな」過去の情景が、次々と真奈の脳裏に浮かんできた。そう、自分は愚かで、馬鹿だった。目の前の男が企みを持っていると分かっていながら、きっと何か深い事情があるはずだと自分に言い聞かせ、どんなことがあっても白石が自分を本気で傷つけるはずがないと信じていたのだ。かつては何でも話し合える友人であり、死線を共にした仲間だったのだから。「私を殺すつもり?それとも捕まえるつもりなの?」「Mグループを差し出すなら、殺さないという選択肢もある。四大家族が光明会のことに首を突っ込まないなら、僕もあなたたちと敵対するのはやめるよ。ただ……あなたがそんな条件を呑むはずがないことも分かっている。だから、無駄な時間を省くために直接手を下すことにしたんだ」白石は薄く微笑んで言った。「知っているだろ。僕は自分自身のことと同じくらい、あなたのことをよく理解しているんだ」真奈は黙り込んだ。「立花は、もう原石をあなたたちに渡したの?」「ああ」白石の肯定的な返事を聞いて、真奈はようやく理解した。なぜ白石が自分たちを捕らえるのではなく、殺すことを選んだのかを。あの立花という男は、自分以上に救いようのない馬鹿だった。あんなにあっさりと、大切なものを渡してしまうなんて。物を手に入れた後に、相手が約束を破って自分を消すかもしれないとは考えなかったのだろうか。「分かったわ。欲しいものは何でもあげる。でも、私の仲間たちは……全員生かして帰しなさい」真奈は、自分たちと光明会の間にある圧倒的な力の差を痛感していた。今回、光明会が自分たちを根こそぎ始末しようとしていないのなら、まだ望みはある。けれど、白石がこれほどの人数を動員している以上、確実に命を狙いに来ているはずだ。自分たちが死ね
続きを読む