晴臣は笑いながら佑くんの頬に軽くキスをして、やわらかい声であやした。 「晴臣おじさんは君と遊んでるだけだよ。怒らないでね」 「明日またディズニーに連れて行ってくれたら、許してあげる」 「明日、みんなと一緒に帰らないのか?」 「独り身のおじさんに付き合ってやろうと思ってるんだけど、だめ?」 晴臣は笑いながら佑くんの頭をくしゃっと撫でた。 「お父さんがいいって言うなら、俺は問題ないよ」 佑くんは満面の笑みを咲かせる。 前回ディズニーに行ったとき、まだ遊び足りなかったのだ。 彼は晴臣の首にしがみつきながら言った。 「晴臣おじさん、見た目もカッコよくて心も優しいんだから、絶対奥さん見つかるよ。信じて!」 晴臣が何かを言おうとしたその時、突然携帯が鳴った。 表示された名前を見ると、すぐに通話ボタンを押す。 受話口から聞こえてきたのは、花音の今にも泣き出しそうな声だった。 「晴臣おじさん、すごくつらいの……来てくれる?」 その声を聞いた瞬間、晴臣の眉間がきゅっと寄った。 「どうした、声が枯れてるぞ?」 「熱が出ちゃって……今病院にいるの。同級生が付き添ってくれてたけど、家の用事で帰っちゃって……一人で病院にいられないよ。頭の中お父さんとお母さんが死んだときのことばっかり浮かんできて……晴臣おじさん、怖い……」 「大丈夫だ。住所送って、すぐ行くから」 電話を切ると、晴臣は急いで家の人に伝えた。 「父さん母さん、花音が熱出して一人で病院にいるんだ。俺、見てくる」 「早く行ってやりなさい。彼女一人なんて心細いに決まってるんだから、しっかり面倒見てあげるんだよ」 「わかってる。じゃあ行ってくる」 そう言い残し、慌ただしく駆け出していった。 病院に着き、病室のドアを押し開けると、花音が一人でベッドに横たわっていた。 手の甲には点滴の針が刺さっている。 顔色は真っ青で、やつれた様子が痛々しい。 晴臣の姿を見た瞬間、彼女の黒く澄んだ瞳に涙が溢れる。 唇が小さく震え、詰まった声がこぼれ出た。 「晴臣おじさん……家に帰りたい。おじいちゃんとおばあちゃん、それにお父さんとお母さんに会いたい……」 泣き崩れる花音に、晴臣はすぐに歩み寄り慰めた。 大きな手で優しく頭を撫で、穏やか
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