深夜0時私のそばのベッドで寝ている佐藤美恵子が、また起き出して髪を洗おうとした。私はイライラしながら寝返りを打ち、布団の中に顔を埋めた。暗闇の中、スマホの画面の弱い光がぼんやりと私の顔を照らしていた。今、私はライブ配信中だ。布団の隙間から、美恵子の姿が見えた。彼女はまるで魂が抜けたように硬直し、冷たい雰囲気をまといながら、ふらふらとトイレへ向かっていく。次の瞬間、真っ暗なトイレの中から、水の流れる音が響いてきた。私は白目を剥きつつ、配信で小声で文句をこぼす。すぐに視聴者たちが、次々と私に同情してくれた。「こんな非常識なルームメイトに当たるなんて、運が悪すぎる」「毎晩真夜中に髪を洗うとか、嫌がらせじゃない?」「わかる、マジで無理」水音はどんどん大きくなっていく。まるで洗面台の蛇口をひねったままにして、溢れた水が床へ落ちているかのようだ。私は好奇心に駆られ、そっと顔を上げた。薄暗い月明かりの下、トイレの床を伝う水が、じわじわと廊下へと広がり始めている。これ、どうやって後始末するつもりなんだろう?そう思った瞬間、水音がピタリと止まった。なんだか嫌な予感がして、私は布団の中へと潜り込み、スマホに視線を戻す。その時だった。突然、赤く目に刺さるような弾幕が画面の中央を横切った。「配信主さん、早く逃げてください。君、もうすぐ死にます」私は思わず眉をひそめる。他の視聴者たちも、「どこかの占い師?」「アンチの悪ふざけ?」と、半ば呆れたようなコメントを送ってくる。私も苦笑しながら適当に流そうとした。その時だった。ピロン。突然、DMの通知音が鳴った。こんな時間に?私は息を呑みながら、そっとDMを開いた。送信者は、先ほどの不吉な弾幕を流した人物だった。「配信主さん、君のルームメイト、皮が剥けるほど髪を洗いたがっていないか? 深夜に髪を洗い、いつも君を川辺に誘わないか?」私は、背筋にゾワリと寒気が走るのを感じた。首の後ろに手を当てる。どうして? どうして、そんなことを知ってるの?もしかして、知り合いがふざけて送ってきたのだろうか?そんな考えが頭をよぎるも、次々と送られてくるメッセージに、私はただ震えるしかなかった。無視して、ライブ配信に集中しよう。
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