このように美咲を殺したら、彼女自身でさえ生きられなくなってしまうだろう! 祖母が亡くなったばかりだ。彼女はこの命できちんと祖母を見送らなければならない。 美咲との決着は、後でゆっくりつければいいだろう。 美咲は乃亜のお腹を見つめた。 平坦で、何の異常も見て取れなかった。 だが彼女は人を雇い、渡辺家系列の病院で乃亜が作成した妊婦健診の記録を調べていた。乃亜の妊娠時期は、彼女の妊娠時期とちょうど1ヶ月差だった。 あの頃、彼女は妊娠したばかりでつわりがひどく、凌央は毎晩遅くまで付き添っていた。あんなに遅く帰ったのに、二人はあんなことをしていたなんて! 凌央は乃亜が嫌いだと言っていた。自ら求めるはずがない。きっと乃亜が凌央を誘惑したに違いない! 二人がベッドで交わる姿を想像するだけで、嫉妬で狂いそうになった。 これまで何度も、彼女は凌央にアプローチをかけた。服まで脱いで誘ったのに、彼は微動だにしなかった。 最初は、信一が亡くなったばかりで遠慮しているのだと思っていた。その後も、彼女が世間の批判を浴びるのを恐れ、彼は離婚してから関係を持とうとしているに違いないと考え込んでいた。あんなに乃亜を嫌っているのだから、きっと肉体関係などないはずだと思い込んでいた。 なのに、実際には彼らは行為に及んだだけではなく、挙句の果てに乃亜は妊娠していた。 幸い、乃亜は妊娠したことを凌央に告げていなかった。だからこそ、今日こそ彼女の腹の中の罪の子を消し去れる! そして乃亜は凌央に言い出せず、泣き寝入りするしかない! ここまで思うと、美咲は突然足を振り上げて乃亜のお腹を蹴ろうとした。 乃亜はとっさに反応し、その蹴りをかわした。 美咲は勢い余って病床から転がり落ち、床に叩きつけられた。 美咲は怒りから金切り声を上げた。「乃亜!あなた、私をわざと転ばせて、流産させようとしたんでしょ!」そう言いだす前に、彼女はすでにこっそりスマホの録音を開始していた。 乃亜は考えた。もしさっきの一蹴りが当たっていたら、お腹の中の娘も息子も今頃は血の海に消えていただろう! 悪寒が走り、体が震えた。そして、頭に浮かんだのはただ一つ。美咲は自分の妊娠を知っているのだ! こっそり赤ん坊を殺そうとした
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