章衡と林鳶の来訪は、まるでちょっとした出来事に過ぎず、喬念と章何の日々を乱すことはなかった。凝霜は侍医から、さらに医学書を二冊受け取ってきた。一冊は章何の足の怪我の今後の治療について、もう一冊のやや厚い方は、侍医が長年書き溜めてきた血と汗の結晶だった。凝霜の話では、医者は喬念に才能があると感じ、もっと多くを学んでほしいと思っているそうだ。おそらく、彼女が成長するのを見守ってきたたからだろうか、喬念はいつも、医者が自分をいくらか目をかけてくれているように感じていた。そうでなければ、医者の正体を暴露する可能性が極めて高いこのような医学書を、自分に与える気になどなれなかっただろう。この好意を無駄にしたくない一心で、喬念は暇を見つけては医学書を取り出して読んでおり、章衡と林鳶のことはすっかり忘れていた。しかし、その日、章母が突然、朝早くに中庭へやって来て、喬念を連れて法華寺へ祈願に行きたいと言い出した。「祈願に?」章何はいぶかしげな顔で、喬念と視線を交わしてから続けて尋ねた。「今日は特に仏様の縁日でもないのに、母上はどうして突然、祈願に行こうと思われたのですか?」章母は笑みを浮かべて言った。「縁日ではないけれど、今日、法華寺では高僧が経を唱え、法を説かれるゆえ。得の高い高僧だと聞いて、母はむろん一度行かねばならぬ。何と衡のために、それぞれ御守りを一つずつ求めてくるのもよかろう」そう言うと、喬念が行きたがらないのではないかと心配したのか、さらに付け加えた。「鳶もついて参るぞ」章母の意図は、嫁は皆行く、ということだった。しかし章何は喬念を見やり、林鳶が行くなら、喬念はなおさら行きたがらないだろうと思った。すぐさま言った。「されど念々はまだ、息子の足の治療をせねばならぬ」彼は、この口実なら喬念を引き止められるかもしれないと思った。しかし、思いがけず、章母の顔色が一気に険しくなった。「どこが足の治療なのじゃ。どうせ、ただそなたが念々をわたくしに付き合わせるのを惜しんでおるだけではないか!」そう言うと、章母は喬念のそばまで歩み寄り、喬念の手を取って、章何に向かって言った。「そなたの足を治すのはむろん大事じゃが、そなたのために御守りをもらうのも、些細なことではない。念々はまだ断っておらぬというのに、そなたときたら、言葉の端
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