-69 追憶と真実- 佳代子はお腹を摩りながら記憶を辿った、どう考えてもここ1年で肉体関係を持ったのは同じ職場で働く隆彦しか思い当たらなかった。佳代子「呑んだ時に確かタクシーで家まで連れて帰って貰って、ベッドに寝かせてくれた時に袖を掴んで・・・。ああ・・・、やっぱりあの時だわ。」 同行していた友人の小角 忍(おつの しのぶ)は佳代子の意見に同感していたのですぐに相手が隆彦である事を察した。忍「あの時ってまさか・・・、本当に吉馬さん?!あんたが好きだって言ってた吉馬さんなの?!」佳代子「うん、タクシーで送って貰った時にすぐに帰ろうとしたから袖を掴んでそのままの勢いで・・・。」忍「あんたいくら泥酔してたからってやり過ぎじゃないの、まだ結婚していないのにその子どうするのよ。」 忍は畳みかける様に言葉を追加した。忍「それにどうやって吉馬さん本人に伝える訳?本人はもう工場にいないのよ。」佳代子「分かってるわよ、でも出来ちゃったからしょうがないじゃない。」 2人は病院から工場に戻るとすぐさま工場長に全てを伝えた。工場長「お帰りなさい、お体は大丈夫ですか?」忍「はい、ご覧の通り母子共に健康です。」工場長「そうですか、母子共に健康ですか・・・。母子ですって?!」 何の病気で倒れたかと心配してずっと報告を待っていたのだが、まさかの懐妊の報告を受けるとは思いもしなかった。佳代子「はい、吉馬さんとの子供が出来ちゃったみたいなんです。」工場長「そうですか、これは今年1番のサプライズになりそうですね。吉馬さんはご存知なんですか?」佳代子「私達もさっき知ったばかりなので全く・・・。」工場長「それは大変だ、でしたら吉馬さんが経営するコンビニへの簡易的な地図をお描き致しましょう、早速報告に向かって下さい。」 工場長は胸ポケットに入れていたメモ帳から1枚千切り取ってスラスラと描いて佳代子に渡した、そして母子の健康を最優先してこの日は半ドンで上がる様に指示を出した。工場長「決して無理はしないで下さい、何なら車でお送りしましょうか?」佳代子「それだと折角の地図の意味が無くなるじゃないですか、それに適度な運動をするのもお腹の子に良いって先生から言われてまして。」工場長「なるほどね、差し支えなければですがどこの病院の先生ですか?」佳代子「確か・・・、そこの大学
Terakhir Diperbarui : 2025-10-13 Baca selengkapnya