Semua Bab (改訂版)夜勤族の妄想物語: Bab 391 - Bab 400

482 Bab

5. 「あの日の僕ら」69

-69 追憶と真実- 佳代子はお腹を摩りながら記憶を辿った、どう考えてもここ1年で肉体関係を持ったのは同じ職場で働く隆彦しか思い当たらなかった。佳代子「呑んだ時に確かタクシーで家まで連れて帰って貰って、ベッドに寝かせてくれた時に袖を掴んで・・・。ああ・・・、やっぱりあの時だわ。」 同行していた友人の小角 忍(おつの しのぶ)は佳代子の意見に同感していたのですぐに相手が隆彦である事を察した。忍「あの時ってまさか・・・、本当に吉馬さん?!あんたが好きだって言ってた吉馬さんなの?!」佳代子「うん、タクシーで送って貰った時にすぐに帰ろうとしたから袖を掴んでそのままの勢いで・・・。」忍「あんたいくら泥酔してたからってやり過ぎじゃないの、まだ結婚していないのにその子どうするのよ。」 忍は畳みかける様に言葉を追加した。忍「それにどうやって吉馬さん本人に伝える訳?本人はもう工場にいないのよ。」佳代子「分かってるわよ、でも出来ちゃったからしょうがないじゃない。」 2人は病院から工場に戻るとすぐさま工場長に全てを伝えた。工場長「お帰りなさい、お体は大丈夫ですか?」忍「はい、ご覧の通り母子共に健康です。」工場長「そうですか、母子共に健康ですか・・・。母子ですって?!」 何の病気で倒れたかと心配してずっと報告を待っていたのだが、まさかの懐妊の報告を受けるとは思いもしなかった。佳代子「はい、吉馬さんとの子供が出来ちゃったみたいなんです。」工場長「そうですか、これは今年1番のサプライズになりそうですね。吉馬さんはご存知なんですか?」佳代子「私達もさっき知ったばかりなので全く・・・。」工場長「それは大変だ、でしたら吉馬さんが経営するコンビニへの簡易的な地図をお描き致しましょう、早速報告に向かって下さい。」 工場長は胸ポケットに入れていたメモ帳から1枚千切り取ってスラスラと描いて佳代子に渡した、そして母子の健康を最優先してこの日は半ドンで上がる様に指示を出した。工場長「決して無理はしないで下さい、何なら車でお送りしましょうか?」佳代子「それだと折角の地図の意味が無くなるじゃないですか、それに適度な運動をするのもお腹の子に良いって先生から言われてまして。」工場長「なるほどね、差し支えなければですがどこの病院の先生ですか?」佳代子「確か・・・、そこの大学
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-10-13
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5. 「あの日の僕ら」70

-70 意を決した告白- 隆彦が費用の支払いを済ませる数日前、信三が共同オーナー同士で相談できないかと話を持ち掛けて来た。 隆彦はどんな話なのか想像も付かないまま、信三が指定した喫茶店へと向かった。信三「急に来て貰ってすまないね、ちょっと頼みがあるんだが。」隆彦「別に構わんけど詳しく聞かせて貰ってからにして欲しいんだが。お?」 隆彦は普段あまり飲まないブラックコーヒーを1口啜った、ただこの店が使用している豆が特別に良い物らしいので意外と飲みやすかった様だ。信三「どうだ、ここのコーヒー美味いだろう。いつも何か考えたい時に使っているんだ。」 隆彦は今度は1人で来てみるかと思いながら話を戻した。隆彦「俺もリピーターになろうかな・・・、それで頼みって何だよ。」信三「忘れてたよ、実は今度払う費用の事なんだが俺が多めに払おうと思っているんだ。」隆彦「助かるよ、娘の養育費の事もあるから生活費を切り詰めながら費用を用意していたんだ。」信三「文香ちゃんだっけ、今年でいくつだ?」隆彦「今年から小学生だよ、今5歳だ。」 正直前の工場勤務を未だ続けるべきだったかずっと悩んでいた隆彦からすれば願ってもいない話だ、ただ話が上手すぎやしないだろうか。信三「それでどうだろう、お前が店長として店で働くってのは。俺は会社の事もあるから中々店に顔を出せそうにないんだ、そこでお前に店の全権を持って貰おうと思うんだが。」隆彦「最初からやってみようと思っていたから、俺で良いなら構わないけど経営なんてやった事ないから分からないぞ。」信三「おいおい、俺はこう見えて社長だぞ?それに独学でだが経営学も勉強したんだ、俺で良かったらアドバイスという形で色々と教えてやるよ。友人として、何でもさせてくれ。」隆彦「嬉しい事言ってくれるじゃねぇか、じゃあ俺なりにやってみるか。」 こうして今に至るのだが、開店したばかりの店の主は想像以上に苦戦していた。せめて自分も1人の店舗の人間として出来ない事は無いかと駐車場の掃き掃除を始めた、昔から悩み事がある時は必ず掃除をすると決めていたのだ。隆彦「うーん・・・、信三がいなきゃこりゃ上手くいきそうに無いな・・・。本当信三様だな。」 隆彦が頭を悩ませているとアルバイトの1人が箒を横から掴み取った。バイト「店長、掃除くらい自分がしますから奥へ行ってて下
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-10-13
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5. 「あの日の僕ら」71

-71 拒絶と屈辱- 佳代子の言葉を聞いて隆彦は思わず困惑した。前妻との時、両親の反対を押し切って半ば強引に結婚したからだ。その時から隆彦はずっと両親と仲違いをしたままでいた。 正直な事を言うと、文香が生まれた事や前妻が亡くなった事を伝える事が出来ていないのに子供が出来たから再婚するなんてどう説明すればいいのだろうか。 隆彦が頭を悩ませていたまま数か月が経過し、香奈子が生まれた。信三「やったな、羨ましいよ。」 信三は友人に娘が生まれた事を自分の事の様に喜んでいた。信三「私も何度か頑張ったが全然でな。」 結婚してから数年間、妻と幾度も幾度も夜を過ごしてはいたのだが夫婦には全く子供が出来ないでいた。隆彦「実はこの子の事もそうなんだが、文香の事も親に言えてないんだ。」 隆彦の事情を知る信三は、隆彦の右頬に残る大きな古傷を眺めながら聞いた。信三「じゃあ、あれから親父さんと話せていないんだな。」隆彦「ああ、お袋ともだ。」 隆彦は高校3年生の頃、ひったくりから女性を助けたという事で警察から感謝状を貰っていた。両親から褒められると鼻歌交じりで家に帰った隆彦に待っていたのはまさかの説教だった。父(隆彦)「そんな大きな傷を付けて、願書の写真はどうするつもりだ。このクソガキめ!!」母(隆彦)「母さんはそんなやんちゃな子に産んだ覚えは無いよ、どんだけ親不孝者なんだい!!」 勿論、こんな傷痕を望んで付けた訳では無い。ひったくり犯との争いの時、切りかかって来た犯人の包丁が深く刺さってしまったのだ。 決して良い物とは思えない思い出で体を震わせていた隆彦、あの時両親に浴びせられた罵声を二度と耳にしたくなかった。勿論娘達にも決して発する者かと堅く決意していた。父親(隆彦)「私には分かるんだぞ、どうせお前の方から殴りかかったんだろ!!」 違う、決してそんな事は無い。隆彦は犯人の右腕を掴んで持ち帰ろうとしたカバンを手から離させただけだった。母親(隆彦)「私ゃ恥ずかしくて仕方が無いよ、早く目の前から消えとくれ。」 次の日、家を出た隆彦は友人の家を転々とした後、前妻と出逢い今に至るのだった。 信三は辛そうにしている目の前の友人を自分の方に抱き寄せ、優しく語り掛けた。信三「お前は決して悪くはない、むしろよくやったと言って良い。少なくとも俺はお前の事を誇りに思って
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5. 「あの日の僕ら」72

-72 不利過ぎる契約- 隆彦は熟考していた、居住スペースが完成すれば今住んでいる部屋を解約して文香と2人で住もうと。しかし、まさか4人暮らしになるとは思わなかった。 工場で働いていた当時は住んでいる部屋の家賃を払っていると生活費が殆ど無く、文香におもちゃの1つも買ってあげる事が全く出来なかった状態だった。窓の外を見てずっと1人で遊ぶ文香を見て不憫に思っていたのだが、コンビニのオーナー経営者として働き、居住スペースが出来上がると少しは楽になると思っていた。 佳代子は苦労していた、妊娠している為今は無理な話だが、実は工場での給料だけでは全くもって食べてはいけなかったので近くの居酒屋でのアルバイトを掛け持ちしていた。 信三は2人が生きるか死ぬかを彷徨っていた事に本人達よりも早く気づいていた、それが故に2人の負担を少しでも浮かせることが出来たらと思っていた。信三「隆彦、ちょっと提案があるんだが。」 流石に今の2人の稼ぎでは子供2人を育てるのは無理な話だろうと考えた信三らしい提案だった。信三「香奈子ちゃんを成人するまで私が自分の娘として育てるってのはどうだろうか。」 この提案は佳代子にとって少し辛くなる話になるだろうが最善策と思っていた、それに信三は妻との間に子供がどうしても欲しかったのでこの表現はあまり良くない気がするが一石二鳥と言えよう。佳代子「ねぇ・・・、たまには会っても良いの?」信三「止めておいた方が良いだろう、今は赤ん坊だから大丈夫でも成長した香奈子ちゃんが困惑するはずだ。」隆彦「一生・・・、会えないという事なのか?」信三「名乗らなければ、会っても良いとは思うがやはり本人を困惑させない為にも会わない方が良いかも知れないな。」隆彦「信三・・・、お前。そんな悲しい事、よく平気で言えるな。」信三「成人してから会えばいい話だ、長い様で意外と短いぞ。それと養育費の為に私が受け取る店の利益の比率を少し上げさせて貰うぞ。」隆彦「待て!!金の問題じゃないだろう!!」佳代子「ねぇ、少し2人で考えてもいいかしら?」信三「分かった、簡単な物だが契約書を作成しながら待っていよう。」 信三はコピー機からA4用紙を取り出して慣れたような手つきで契約書の様な物を描き始めた、その横で再婚を許されない2人はじっくりと考えていた。隆彦「うん・・・、それで行こう
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5. 「あの日の僕ら」73

-73 余りにも残酷な項目- 隆彦はペンを握る手を震わせながら契約書に追加項目を書き加えた、あくまでも自分が香奈子の父親だと主張するための物だった。五、 甲は定期的に乙に香奈子の成長を記録した手紙を送らなければならない。六、 甲は上記の手紙に必ず香奈子の成長した姿を記録した写真を添付しなければならない。信三「お・・・、おい。追加項目が2つになっているぞ。」隆彦「親として娘の成長を見守りたいと思うのは当然だろ、これじゃ足りない位だ。」 当然の事だ、隆彦があまりにも真剣な目をしていたので信三は少したじろいでしまった。信三「分かった、約束しよう。お前が言っている事は間違っていないからな。」 しかしこの契約が交わされてから数年後、隆彦が書き加えた項目だけ守られなくなった。香奈子に関するイベントの度に写した写真を焼き増しして何処かへと送っている事を怪しんだ妻が無理矢理旦那を止めたからであった、実は信三は契約の詳細を妻に上手く話せてはいなかった。 理由はもう1つあった、香奈子を預かってから数年後、2人の間に男の子が生まれた。夫婦は実の子であるその子ばかりを可愛がり、香奈子の事を蔑ろにしてしまっていた。金銭面での援助は変わらず続けていたし中学高校時代によくある進路相談には乗る様にしていたのだが、やはり香奈子は何処か寂しさを覚えていた様だ。その事が香奈子の脳内に焼き付けられていたらしく、ずっと無視され続けていたという悲しい思い出が植え付けられていた様だ。 そして現在に至る、長々と昔の話をした様子から隆彦が嘘をついている様には見えなかったので裕孝は信用する事にした。しかし、納得できなかった点があった。裕孝「店長さん・・・、いや吉馬さん・・・、いや親父さん!!悪かった、あんたの事は信用できる!!でも納得させて欲しい、契約書があったからってどうして香奈子を助けに行かなかったんだ!!」隆彦「行きたかった、でも行けなかったんだ!!契約を交わした時、隣には専属の弁護士がいた上に信三の家には多数の警備員がいたんだぞ。そりゃ何度か警備をくぐり抜けて山板邸に忍び込んだ事はあったがその度に信三が家を引っ越していたから最終的には行方不明になってしまったんだ。」裕孝「そう・・・、だったのか・・・。」 隆彦は常に懐に入れていた例の契約書を取り出して裕孝に見せた、裕孝は食い入る様
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5. 「あの日の僕ら」74

-74 母親が駆り立てた娘- 佳代子は久々に会う娘の姿に涙した、まさか大学生になった香奈子の姿を見えるなんて夢にまで見た事だったからだ。 病院から渡された衣服で全体が上手く見えなかった母親は、娘に近付く様に促した。佳代子「顔をよく見せて・・・。」 無菌室の為、マスクを外す訳にはいかなかったのでギリギリ見えていたのが両目だけだったが佳代子は嬉しそうにしていた。 涙を流しそうになるも佳代子は至って冷静であった。佳代子「ねぇ、私は良いとしても貴方は香奈子に会っちゃいけなかったんじゃないの?それに両親だって名乗って良かった訳?」 隆彦は佳代子に、今回香奈子が遭遇した爆破事件について話した。佳代子「嘘でしょ、あんた大丈夫だったの?!」香奈子「入院したばかりの時、一時(いっとき)記憶喪失になってたみたいなんだけど今は平気だよ。」佳代子「そう・・・、あんたが助け出されて本当に嬉しいよ。」 安堵する佳代子の表情を確認すると、隆彦は話し出した。隆彦「こんな事態になったんだ、契約もクソもあるか。それに・・・。」佳代子「それに?」 隆彦は懐から例の契約書を取り出して破り捨てた。隆彦「もう・・・、良いんだ・・・。」 山板家の専属弁護士が夫婦の契約違反と香奈子に対する不当な対応を認めた為、契約の破棄が許諾されたのだった。隆彦「香奈子、もうお前を無視する人間はいない。安心して帰って来なさい。」香奈子「お父さん・・・、お母さん・・・。」 香奈子は吉馬夫婦に、いや本当の両親に抱かれながら泣き崩れた。 帰り際、香奈子は佳代子に1つ聞きたい事があった。香奈子「お母さん、また来ても良いかな?」佳代子「勿論、いつでも大歓迎よ。」 それから数分後、帰りのエレベーターで隆彦が重い口を開いて語りだした。隆彦「今のうちに香奈子を母さんに会わせることが出来て良かったよ、母さんは数か月前に急性の白血病を患って今の様になったんだ。本人には言ってないんだが医者の方からもって半年と言われていてね、いつ何が起きてもおかしくないんだよ。」 改めて父親から聞いた事実に涙ぐむ香奈子、折角の想いで、そしてやっとの想いで出逢えたというのにそれは香奈子でなくても辛すぎるものであった。裕孝「今は優しく見守ろう、俺達にはそれしか出来ないんじゃないかな。」 裕孝は香奈子を優しく抱いて囁い
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-10-19
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5. 「あの日の僕ら」75

-75 突然の宣言- 数日後、医者の許可が下りたので退院日が早まった香奈子が長い間過ごした病室で1人家に帰る準備を行っていると担当の看護師だった光江が見守りに入って来た。光江「本当に退院日が早まったんだね、今朝もそうだけど毎日の様にお櫃のご飯を食べまくっていたらそうなるわ。調理場の人達も残飯の処理に困っていたから助かるって言ってたよ。」香奈子「お義母さんにも調理場の方々にも本当にお世話になりました、また通院した時にお会いするかもしれないのでその時はよろしくお願いします。」 2人が明るい雰囲気で会話をしていると車で迎えに来た隆彦が病室に入って来た。隆彦「先にお母さんの所に行こうと思うんだけど、お前はどうする?」香奈子「勿論行く、それとお父さん、後でお願いがあるんだけど。」隆彦「俺に出来る事なら、何でも構わないよ。」 2人は佳代子が過ごしている無菌室へと向かった、受付で渡される衣服に着替えるのも慣れっこになっていた。佳代子「いらっしゃい、今日退院するんだってね。羨ましいよ。」香奈子「お櫃のご飯が食べれなくなるのは寂しいけど、まぁ嬉しいかな。」佳代子「そうらしいね、あんたを担当していた光江から聞いたよ。」 佳代子と光江は高校時代の同級生で、仕事を終えた光江がよく佳代子の様子を見に無菌室を訪れていた。昨日の訪問時に光江から香奈子の食事に、いや爆発的な食欲について聞いた佳代子は大爆笑していたという。 無菌室で数分程過ごした後、自らの病室から荷物を運び出してエレベーターを降りた香奈子は隆彦に声をかけた。香奈子「お父さん、行きたいところがあるんだけど。」隆彦「さっきの「お願い」ってやつか、どうした?」香奈子「松龍に行きたいんだけど、いいかな?」隆彦「丁度ランチの時間帯だから行こうか、そろそろ昼休みだと思うから文香に連絡を入れてみるよ。それにしても病み上がりで中華なんか入るのか?」香奈子「余裕だよ、入院中どれだけ食べたと思ってんの?」 隆彦は病室で食事中だった時の香奈子の卓上のお櫃の大きさを思い出した、入院中で酒が呑めない分ご飯を馬鹿食いしていたので十分納得した。これは先程光江に聞いた事なのだが、昨日の夕飯時に至っては茶碗を使わずお櫃から直接、しかも杓文字で食べていたらしい。香奈子「でもさ、目的はランチだけじゃないんだ。」隆彦「ふーん・・
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5. 「あの日の僕ら」76

-76 気遣いの甘味と小皿- 香奈子の目的は改めて友人から従姉妹になった好美を含めた親戚一同に挨拶をする事、そして佳代子から密かに聞いていた「美恵」という人物に会う事だった。腹違いの姉だと分かった文香が美恵と先輩後輩の関係で本当に助かっていた。 美恵は自分の姉である佳代子は昔、地域一のおてんば娘で病気知らずな人だったと語っていたのだが、香奈子から佳代子が白血病で入院していると聞くと好美と一緒に開いた口が塞がらないでいた。美恵「本当にあの佳代子姉ちゃんがこっちで入院してるってのかい?」香奈子「はい、担当医師の方によると半年もつかどうかとの事でして・・・。」好美「昔徳島で会った時は毎日の様にそこら辺を走り回っていたのに?」香奈子「昔の事は全然知らないけど、父さんがすっかり瘦せ細っちゃったって言ってた。」美恵「今度お見舞いに行って良いか・・・、いや、良いわ。」 美恵が佳代子のお見舞いに対して少し抵抗をしていたので香奈子は母から聞いた過去の事を思い出した、香奈子の傍らでは文香がお手洗いへと向かっていた。佳代子「母さんには今こっちの方で刑事をしている美恵っていう妹がいるんだけど、両親に結婚を反対されて家を出る直前にあの子のプリンを食べちゃってね。それで喧嘩したままでいるのよ、今となってはちょっと悪い事をしちゃったなって反省しているんだよね。」 そして香奈子はこの昔話を聞いた時に母からお使いを頼まれていた事を思い出した、そのお使いとは病院の近くにあるケーキ屋で一番の人気商品になっているプリンを買って渡すという物だった。香奈子「美麗(メイリー)、ここで開けて良い?」美麗「ちょっと待ってね、ママに聞いて来るから。」 美麗は許可を取る為に調理場にいる王麗の元へと向かった。美麗(中国語)「ママ、香奈子がここでケーキ食べたいんだって。」王麗(中国語)「じゃあそこの小皿持って行ってあげな、というかあんたわざわざ中国語にしなくても良いんじゃないのかい?」美麗(中国語)「いや、たまに話していないと忘れちゃうからさ。」王麗(中国語)「そこまで身についてたら嫌でも忘れないよ、それより早く持って行ってあげな。」 美麗は急いで香奈子と待つ席へと小皿を持って行った。美麗「良いってさ、良かったらこの小皿使ってね。」美恵「香奈子ちゃんのお友達かい、小皿持って来るなん
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-10-20
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5. 「あの日の僕ら」77

-77 難事を解決する友情-  松龍で美恵と文香が王麗の中国人らしくない位、もはや日本人だろうと思えてしまう位ペラペラな日本語に驚愕したランチタイムの後、香奈子は隆彦の車で自宅へと戻った。荷物を置く為に中に入った隆彦は驚いた、とてもじゃないが女子大生が住んでいるとは思えない位物の無い質素な部屋、どうやら山板家から殆ど物を持ち出せなかったらしい。お世辞にも綺麗だとは言えない家具類は中古の物をこっちに引っ越してから可能な限り買い集めたのだろう。隆彦「私の所為で、苦労させて本当にすまない。」香奈子「良いの、気にしないで。過去は振り返らないって決めているから。」隆彦「出来るだけ近い内に、香奈子にはウチに引っ越して貰える様に手配しようと考えているから安心してくれ。文香を含めて皆で楽しく呑もうじゃないか。」香奈子「嬉しい、でも私そんなにお金無いよ。」 隆彦は熟考した、この部屋にある家具類を運べる大きさのトラックを用意すればいいだけだと思っていたのだが、それ以上に必要そうなのは人手みたいだ。 しかし、隆彦や信三の友人が経営している引越し専門の会社のトラックと従業員は香奈子の引越し当日として考えている次の日曜日に予約がいっぱいで出払っている様な状態だった。 これは隆彦が黄色く分厚い電話帳で会社の所在地を調べて直接お願いに出向いた時の事だ、社長は本人拘りの緑茶を飲みながらこう話していた。社長「すまんな、隆彦。その日はうちを贔屓にしてくれている大手ゼネコン会社の御曹司の引っ越しでな、何せ家が途轍もなく大きいからトラックや人手が全く足らない状態でまさに猫の手も借りたい位なんだ。それでお前含めて他からの予約は、申し訳ないけど受け付けない事にしているんだよ。ちょっと失礼・・・、あちっ・・・!!」 お茶に拘りがある割には幼少の頃からずっと猫舌だという社長。隆彦「お前も変わらないな、それなら冷たい水出しで飲めよ。」社長「いや、俺は80℃位の熱いお茶が一番好きなんだよ。」隆彦「それにしても小型のトラック1台と数人だけでも駄目か?近所で1人暮らししてる香奈子の家具を運びたいんだよ。」社長「香奈子ちゃんか・・・、赤ん坊の時に病院で1度会って以来だな。もう大学生だっけか?俺達も歳を取る訳だな。」隆彦「自慢じゃないが久々に会った時自分の目を疑う位綺麗に育っていたよ、あまり言
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-10-20
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5. 「あの日の僕ら」78

-78 2人の英雄- 香奈子が言うには、どうやら桃の幼馴染である「やっさん」こと桐生安正が自分も加わりたいと名乗り出て来たらしい。ただそれを聞いて隆彦は安堵していた。隆彦「助かるよ、やっぱり力仕事になるからどうしても男手が欲しかったんだ。」 人手は何とかなりそうだがやはり問題はトラックだった、しかし香奈子からすれば想定の範囲内であった。香奈子「大丈夫、私に任せてよ。」 娘はそう言うと改めてグループチャットにメッセージを残した。香奈子(メッセージ)「ごめん、トラックが必要なんだけど誰か手配出来ないかな・・・。」 数日後、遂に引っ越し当日を迎えた。集合時間が近づいて来たので金目当ての学生達が香奈子のアパートに段々と集まって来た。隆彦「皆今日はありがとう、でも香奈子、あと2人来るんじゃないのか?それに任せておいたトラックも来てないぞ。」 すると遠くから聞き覚えのある女の子の声がした。女の子①「お待たせー。」 アパートの前に停車したトラックの運転席から降りてきたのはまさかの桃だった。好美「あんた、よくトラックなんて手配出来たね。」 桃「言ってなかったっけ?うちレンタカー屋だから。」 数年前から桃の叔母である芳江が副業として始めたレンタカー屋で借りて来たらしい。好美「本当だ、よく見たら「わ」ナンバーだわ。」 桃「いや、苦労したよ。丁度良いのがなかなか見つからなくてさ。」 好美「立派なもんよ、十分じゃない?」 そんな会話を交わしていると遠くから別の女の子の声が聞こえて来た。女の子②「ごめん、待った?」 目を凝らしてよく見てみると美麗が運転席から手を振っていた。美麗「ママが渋ってなかなか貸してくれなくてね。」 好美「それ女将さんの車なの?」 美麗「流石にパパの保冷車で来れないじゃん、2人の68に乗る訳にも行かないし。」 愛知県に本社を置くあの有名な大企業が1980年代に発売した車を結婚する際に一緒に買って今でも大切に乗っているらしい(これで権利的な物は大丈夫だよな・・・)、ただその車に関して好美はやらかしてしまっていた。好美「ああ、端っこに止めてあるあれね。違法駐車と思って何度か貼り紙しちゃったのよね、というかあんたん家車何台あんのよ。」 ただ問題はそこでは無いと好美が気付いた。好美「というか免許とか大丈夫な訳?」 する
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-10-20
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