-89 修羅場の理由- 何も知らない者からすれば先程安正が龍太郎に対して誓った「美麗を守る」という言葉は聞こえが良かったかもしれないが、現状を知る打ち上げのメンバーからすれば決して良い物では無かった。 福来子の幼馴染で同じ学科に通う正は数秒程考えてから立ち上がった。正「俺、ちょっとトイレ・・・。」 そう伝えてトイレの近くの出入口からハンカチ片手に裏庭に出ると福来子は未だに泣いていた、抑えきれない気持ちという物があったのだろう。正「福来ちゃん・・・。」福来子「たーやん、来てくれたんだ・・・。」 幼少の頃からずっと一緒に遊んでいた仲だ、放っておける訳がない。実はその事を理解していた桃がこっそり背中を押したそうだ。桃「あんたが一番、あの子の事を理解しているんでしょ。何となく悔しいけど。」 やはり正にとっての一番でありたいと思う気持ちはあるが、桃も福来子と良き友となりたかったが故に今回の行動を取ったのだという。 数分後、今度は守が立ち上がった。守「俺、チェイサー欲しいから水取って来るよ。」裕孝「あ、俺も。」 何ともあからさまな行動なのだろうか、別に松龍はセルフではないと言うのに。きっと正と同じ行動を取るのだろうと思った好美は少し笑いながら見送った。好美「バカね、早く行きなさいよ。」 守達は店で配っているポケットティッシュをありったけ手に取るとラップトップのある調理場側の出入口から裏庭に出た、その時には福来子は少し落ち着いた様子だった。守「大丈夫か?」福来子「まも・・・、ひろ・・・、うん・・・。」 物心がついた時から4人で毎日の様に外で遊ぶ仲だったが故に安正の事が許せなかったのだという。正「あいつ・・・、とっちめてやろうぜ。」守「そうだな、許せねぇ・・・。」 しかし、座敷に向かおうとした3人を引き止めたのはまさかの福来子だった。福来子「待って!!私がそうさせたの!!」 実はこの騒動は安正に美麗の事を一途に愛して欲しいが故に福来子が美麗と計画して行った事だったのだ、松龍にいたほぼ全員が2人の掌の上で転がされていたのだという。守「お前はそれでいいのかよ!!」 守は騙された事より福来子が安正の事を簡単に諦めた事が許せなかった、しかし福来子は大爆笑していた。福来子「何言ってんの、私他に彼氏がいるんだけど。」守「へ?」 一方、事
Last Updated : 2025-10-27 Read more