All Chapters of (改訂版)夜勤族の妄想物語: Chapter 511 - Chapter 520

612 Chapters

7. 「異世界ほのぼの日記3」⑨

-⑨ 物腰が低い上司- 罰金として支払っていた1億円が戻って来た結愛は昔からの夢を叶えようと一旦珠洲田自動車へと向かった、また商人兼商業者ギルドにて新たに事業でも始める様にも見えたが本人曰く別の用事、その上超個人的な物の様だ。結愛「何だってオッサン?!スルサーティーは此処では買えないのかよ!!」珠洲田「メーカーが違うから此処では売って無いんだよ、それに元々ウチは軽自動車が殆どだ。」 結愛の夢とは真希子とお揃いの車に乗って山を走る事だった、しかし本人にとって誤算がもう1つ。真希子(念話)「結愛ちゃんったら忘れたのかい?私ゃもうスルサーティーには乗って無いんだよ、やだねぇ。」 どうやら結愛の好美と共通した忘れっぽい性格がまた出てしまったらしい、ただ店主には気になる点がもう1つあった。珠洲田「なぁ、もし今日買えたとしてどうやって帰るつもりだったんだい?何処からどう考えても結愛ちゃん、呑んでるだろう。」 この世界でも飲酒運転はご法度となっている。結愛「『アイテムボックス』に詰め込むから心配すんなって。」珠洲田「心配なんかしてないし、改めて言わせて貰うけどウチでは買えないからね。」 大企業の社長が意気消沈する頃、好美はずっと吞み続けていた。その場に誰もいない事にも気づかずにずっと独り言を言っていたらしい。好美「だーかーらー、私一人でここまで大きくした訳じゃ無いって言ってんじゃん。光さんと渚さん、そして結愛のお陰だっての!!」 きっと守に今までの自らの経験について語っているつもりだったのだろうが、彼氏はずっと別室で荷解きをしていた。 懐かしき友との再会を喜ぶ間もなく、守が作業の続きをし始めたので光明は仕方なく手伝っていた。そんな中、光明にはずっと聞きたい事が有った様だ。光明「なぁ、守。あれから真帆ちゃんからは何の音沙汰も無いのか?」守「ああ、さっきまでいた神様にも聞いては見たけどやはり管轄外で分からないそうなんだ。でも、幸せに暮らしているみたいだから安心したよ。」 一方、好美がいつの間にか猫耳で一人酒楽しむ横で電話が鳴った。画面を見ると「ニコフ・デランド」とある。そう、好美の夜勤の上司である王城の大将軍(というより将軍長)だ。偶然横を通った守は好美が何処からどう見ても電話に出れる状態では無さそうだと察したので代わりに出て伝言を聞く事にした。
last updateLast Updated : 2026-01-06
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7. 「異世界ほのぼの日記3」⑩

-⑩ 眩い月夜の晩に- 1度別れた恋人の家で初めての夜を迎えた守は落ち着いて過ごせる訳が無かった、眩い月明りが照らす夜、喉が渇いた守は冷蔵庫へと向かった。守「麦茶、麦茶・・・。」 決して夏日の様に暑い訳では無かったのだが、緊張で兎に角喉が渇いて仕方がなかった守は冷えた麦茶が飲みたかった。 好美を起こさぬ様にと足音を殺し、決して電灯を点ける事無くゆっくりと台所へと歩んで行くとほんのりとした真っ白な光が見え、小さくだがガチャガチャと音が聞こえた。守「好・・・、美・・・?」 そう、冷蔵庫の前で好美が酒と肴を物色していたのだ。よく考えてみれば彼女は夜勤族、基本的に夜行性なのでこうなってもおかしくはない。好美「ごめん、起こしちゃった?」守「良いけど、今から呑むのか?」好美「こんな時間に生きる私にとって休みの日の楽しみって言ったらこれしか無いからね。」 好美は王城での夜勤が休みの日、1人夜空の下で露天風呂を楽しみながら酒を吞む事が多かった。まぁ、個人的な趣味なので誰にも意見する権利は無い。と言うより、最上階に住んでいるので正直言ってお構いなしなのだ。守「ずっと露天風呂に入っているつもりか?のぼせるぞ。」好美「ずっとじゃ無いよ、私だってテレビのドラマやアニメ見たいもん。」 一応おさらいなのだがこの世界では日本のテレビ番組が見える、ドラマやアニメも例外では無い。ただ好美がこの世界に来てから数年の間に1点だけ変わった事が有った。守「衛星放送も見えるのか?」好美「うん・・・、一応・・・、無料で・・・。」 何故か少し怪しげな口調や表情で答える好美、その表情を決して守は見逃さなかった。守「何だよ・・・、何かやましい事でもあるのか?」好美「えっとね・・・、実は・・・。」 好美が言うには下の階の住民が契約したのでその電波が好美の家にも入って来てしまっているだけらしい、よく言えば「棚ボタ」、悪く言えば「ズル」だ。守「朝になったら正式に契約しに行こう、流石にそれはダメだ。」好美「はーい・・・。」 ずっと「ラッキー」と思っていた好美は1人しょんぼりとしていた。守「じゃあ、俺は寝るからな。露天に入り過ぎて風邪ひくなよ。」好美「分かってるって、子供じゃないもん。」 昼間かなり呑んでいたはずだが熟睡したお陰ですっかり素面に戻っている。守「じゃあ、また朝
last updateLast Updated : 2026-01-06
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7. 「異世界ほのぼの日記3」⑪

-⑪ 当たってしまった嫌な予感- 朝6:30、守は窓からこぼれる朝日に照らされて起き上がった。今日の朝ごはんは守が作る予定だが材料があるか正直心配だという気持ちがあったので、「もしも」の事が有った時の為に街の中心部にある露店やリッチのゲオルが経営する雑貨屋へと買いに行ける位の時間の余裕が欲しかったのだ。守「朝だからあっさりとした軽い物の方が良いよな・・・、和食と洋食どっちにしようか。」 鼻歌混じりに冷蔵庫を開けると守が予期していた「もしも」が起こってしまった、そう、材料が全くなかったのだ。予想はしていたが冷蔵庫には酒しか入っていなかった。守「やっぱりか・・・、そう言えば本人はどうしてんだ?まさか・・・、な・・・。」 守がノックを数回した後に恐る恐る恋人の部屋を覗いた時、好美はベッドの上で呑んだくれていた。床にはこの日呑んだであろう酒の缶が散らばっていた・・・、はずだった。好美「おはよう、朝早いんだね。」守「おはよう・・・、って今の今まで呑んでたのか?」好美「うん、夜の内に渚さんが来て・・・、ってあれ?」 2人は辺りを見廻したが渚の姿は無かった、どうやら『瞬間移動』で帰った様だ。守「呑んでる割には酒の缶はちゃんと捨てているんだな。」好美「何?守知らないの?」 この世界の酒の缶は中身が無くなった瞬間に消失するので捨てなくても良いのだ、改めて思うがこれは便利。守「それで、冷蔵庫の中身なんだが皆無じゃ無いか。あれじゃ朝飯作れねぇよ、お前は裕孝か。」好美「忘れてたよ、この前冷蔵庫の中身全部ぶち込んで光さんやピューアと鍋してから買い物してなかった。それにしても貢君もそうなの?」守「そうそう、あいつん家の冷蔵庫は香奈子ちゃんが行くまではずっと酒かプロテインしか入って無かったんだよ。多分今頃、結婚して香奈子ちゃん苦労しているだろうな。」好美「大丈夫なんじゃない?香奈子は料理得意だったから。」 元の世界での楽しい思い出に浸る2人、しかし今はそれ所では無い。守「一先ず材料の買い出しに行ってくるよ、何か欲しい物はあるか?」好美「うん、ビール!!」守「却下。」好美「良いじゃん、ここ私の家なんだもん!!」 恋人が駄々をこねる中、守は冷蔵庫の在庫を思い出していた。守「まだ沢山残っているだろう。」 因みにこの時点で冷蔵庫には500mlの缶ビールが
last updateLast Updated : 2026-01-10
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7. 「異世界ほのぼの日記3」⑫

-⑫ 朝はどうする?- 朝から店主による度のきついボケをするっとかわして「朝と言えばやっぱり・・・」と考えながら鮭の切り身を数切れ購入した守を魚屋が引き止めた。魚屋「朝から焼き鮭だなんて、純和風で良い物食うつもりなんだね。」 「純和風」と言う言葉を聞く事になるとは、本当にここは異世界なんだろうか。守「俺の故郷では毎日朝は焼き鮭でしたから結構普通ですよ。」魚屋「普通ね・・・、俺はいつもラリーさんとこのパンばっかりだからな。」守「良いもんですよ、朝に焼き鮭。」 にこにこしながら答える守に、毎日光が働くパン屋のパンばかり食べている店主は気まずそうにしていた。守「あの・・・、どうしたんですか?」魚屋「俺さ・・・、魚食えないんだよ。専ら肉ばっかり。」 守が露店の奥をよく見てみた時、ラリーの店で買ったと思われるソーセージパンが山盛りになっていた事から店主の食の好みが伺えた。 守が引き笑いしていると、パン屋の方向から聞き覚えのある女性の声が。女性「ジューヌさん、追加持って来たよ。」守「あ、光さん。おはようございます。それ店の制服ですよね・・・、似合ってますね。」 元の世界にいた頃から守の憧れの的となっていたダルラン光(旧姓:吉村)だ、どうやらパートの最中にパンを持って来たらしい。光「守君、おはよう。今日は休みなの?」守「はい、好美の家に引っ越してから数日の間は店長が有休にしてくれまして。」光「へぇ、ケデールさんにしては珍しいじゃない。」 2人の会話を聞いていたのか、噂の本人から『念話』だ。ケデール(念話)「光さん、それどう言う意味ですか?」光(念話)「冗談ですって、それより守君っていつまで有休にしているんですか?」ケデール(念話)「一応あと3日の予定にはしていますが、光さんが仰るなら何日でも延ばしますよ。」守(念話)「店長、それだと俺の給料が無くなるじゃないですか。」ケデール(念話)「いやな、経費の削減に丁度良いかなって思ってよ。」光(念話)「やっぱり今もドケチなんですね。」ケデール(念話)「バレましたか、やっぱり光さんには敵わないですね・・・。」 3人が『念話』で談笑している側で1人疎外感を感じている魚屋の店主・ジューヌ。ジューヌ「光ちゃん、そろそろ俺の好物をくれないかい?腹減っちゃってさ。」 ふと露店の奥を見てみると、
last updateLast Updated : 2026-01-10
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7. 「異世界ほのぼの日記3」⑬

-⑬ 異世界を実感する- ジューヌの店で鮭の切り身を購入した守は、家に戻ろうとしたがエレベーターに乗った瞬間に顔を蒼白させた。そう、好美の家に行くための「15階」のボタンが無かったのだ。初めて家に来た時は好美の『瞬間移動』での移動だったのでどうすれば良いのかをちゃんと聞けていなかった。守「俺・・・、『瞬間移動』出来たっけ・・・。」 エレベーターの中心で1人焦りの表情を見せる守の事を『察知』したのか、とても優秀な(?)恋人から『念話』が飛んで来た。好美(念話)「何よ、私がもう既に『瞬間移動』を『付与』したから早く来なさいよ。早くしないと、もう好美ちゃんのビールが無くなりかけてますよー!!」 守より先に転生してから結構な年月が経過してるが故か、やはりスキルの使用に関してはもうお手の物と言えるだろう。最低でもマンションのエレベーターの中で1人オドオドしている野郎よりは。好美「何よ、その言い方!!守は何も悪くないもん!!」 あ・・・、すいません・・・。おかしいな、また俺の声聞こえてたのかよ・・・。 取り敢えず気を取り直して守はどうしているのかなー・・・、って、まだおるんかい!!守「悪かったな!!やった事無いんだよ、『瞬間移動』なんてよ!!元の世界でする事無いだろうがよ!!と言うかお前誰だよ!!」 嘘だろ、守にも聞こえてたのかよ・・・。まさか長編1作目からの(一応)主人公とここで会話をするとは、流石「何でもありの世界」だな。俺の事は良いから早く好美に『念話』を飛ばせよ。守「そうだな、誰か分からんけどありがとうよ。(念話)ごめん好美、『付与』してくれたのは良いけどどうやって使うの?」好美(念話)「行きたい場所を念じれば良いだけよ、「私の家のリビング」って念じてみ。良い?「リビング」よ!!「リビング」だからね!!」 何故好美が「リビング」と連呼しているのだろうかが分からなかった守は「これはフリか?」と思い、好美の家の別の場所を念じて『瞬間移動』した。好美「きゃああああああああああ!!何やってんの、馬鹿!!」守「す・・・、すみません!!」 どうやら守にとって初めての『瞬間移動』はある意味失敗、そしてある意味成功に終わったらしい。守「好美・・・、あの頃から変わって無かったな・・・。」 守は1人リビングで鼻血を垂らしてティッシュを探した。好美「も
last updateLast Updated : 2026-01-10
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7. 「異世界ほのぼの日記3」⑭

-⑭ 弱みを握る者が勝ち- 好美が守の代わりに『瞬間移動』で鮭の切り身を手に入れて来たのでその場は何とか治まったが、守本人には別の問題が浮上していた。守「やらかしちまった・・・。」好美「守、私味噌汁の具材は豆腐と若布、あと油揚げが良いな。」守「お・・・、おう・・・。」 ただ具材以前の問題が発生していた、そう、味噌を買うのを忘れていたのである。守「どうしよう・・・。」 守は自分が買って来た物を含めて冷蔵庫の中を確認して好美にある事を確認しようとしたが時すでに遅し。好美「やっぱり味噌汁と漬物は必須だよね、私カリカリに焼けた鮭の皮が好きなんだ。」守「聞けない・・・、今更洋食メニューにしても良いかなんて絶対に聞けない・・・。」 まずいと思った守は急いで街の中心地にある雑貨屋へと向かった、店主であるゲオルは守の事情の何もかもを知っていたらしい。ゲオル「あはは・・・、好美ちゃんは言い出したら聞きませんからね。私で良かったらご協力させて下さい。」守「すみません、助かります。」ゲオル「宜しければ浅漬けにしてみてはいかがでしょうか、先程露店で白菜が安くなってましたよ。」守「そうですね、じゃあ浅漬けの素と漬物の容器を頂けますか?」ゲオル「ふふふ・・・、その言葉を待ってました。」守「流石店長さん、商売上手ですね。」 上手く雑貨屋の店長に誘導された守は購入した浅漬けの素と容器を持って野菜を売る露店へと向かった、元の世界で見た事のある野菜ばかりが並ぶ露店を経営していたのはまさかの・・・。守「店長!!」 そう、守が働いている肉屋の店主・ケデールだった。ケデール「おはよう、ここで会うとは珍しいじゃねぇか。」守「いや、それよりここで何しているんですか?」ケデール「肉屋だけじゃ食費や生活費が賄えなくてな。」 後頭部を搔きながら笑うケデールにジト目で答える守。守「店長、嘘言わないで下さい。それじゃオオカミ少年ですよ。」ケデール「おっ、お前上手い事言うな。」 ケデール本人がライカンスロープ(狼男)という事にかけたのか、それとも何も知らず自然に出た言葉なのか。 ただ、守は目の前の上司の真実を知っていたのでその事を問い詰めてみる事に。守「知っているんですよ、この前競馬で今月の小遣いと食費が全部飛んでった事。」ケデール「げっ・・・。」 そう、ケデー
last updateLast Updated : 2026-01-10
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7. 「異世界ほのぼの日記3」⑮

-⑮ 狼男の敗北- 好美は露店にある胡瓜と白菜を全て買う様にとは言ったものの、その量をちゃんと把握しているかどうか、守は不安で仕方がなかった。 自分の口から「安くする」と言ったケデールも、正直生活に大きな支障が出ないかと心配になっていた。何故ならこの日、ケデールは卸業者から胡瓜を10ケース、白菜に至っては30ケース仕入れていたからだ。守(念話)「好美、どれだけあるのかちゃんと分かって言ってんのかよ、こんなに全部食える訳がねぇだろう。」 胡瓜は1ケース30本、また白菜は1ケースに4玉なので尚更だ。好美(念話)「全部自分で食べるだなんていつ私が言ったって言うのよ、店で使うから買ったの。」 そう、好美は自らがオーナーを務める1階の拉麵屋「暴徒の鱗」で使用するつもりで全部買い上げたのだ。しかし、こんなに大量の野菜を何にするつもりなのだろうか。好美(念話)「えっと・・・、全部キムチよ!!」 守は「絶対今考えただろ」と思いながら頭を搔いていた。ただ、問題がもう1つ浮上していた事は間違いない。守(念話)「買ったとしてどうやって運ぶんだよ。」 現実世界でだとこういった考えになるが、やはりここは異世界。好美(念話)「『転送』して貰ってよ、店の調理場に。」 この後、『転送』した先で突然大量の野菜が出現した事による騒動が起こった事は言うまでもない。守(念話)「でもまだ支払いもしていないし、そんな金何処にあんだよ。」 守は決められた予算しか持って来てなかったし、ATMのある店は少し離れた所だ。好美(念話)「もう送ったもん、その露店のレジ横に。」 ふと奥の方を見ると札束が大量に積まれていた、どうやら値段を把握していた訳ではなさそうだ。ケデール(念話)「好美ちゃん、こんなには受け取れないよ、殆どチップってのかい?」好美(念話)「そんな訳ないじゃん、御釣りは返してよね!!」 やはりそこはドケチの好美、しっかりとしている。しかし好美はただそれ以上のドケチ力を発揮した。好美(念話)「ねぇ、全部買うんだからもっと安くなんない?」ケデール(念話)「今でも原価ギリだよ、勘弁してよ。」 経営者同士で負ける訳には行かない戦いがそこにあった、好美はライカンスロープをけしかけてみる事に。好美(念話)「良いの?馬の事バラすよ?丁度今、奥さんと一緒にヤンチさんの店に来て
last updateLast Updated : 2026-01-10
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7. 「異世界ほのぼの日記3」⑯

-⑯ 悩みの種は本鮪- 丁度その頃、好美がオーナーである「暴徒の鱗」ビル下店の調理場では想像通りの騒動が起こっていた。何も無かったはずの厨房に突如現れた大量の胡瓜と白菜をどうするべきかを店長と副店長、そして偶然居合わせたナイトマネージャーが頭を抱えて悩んでいた。イャンダ「デルア、お前これについて何か聞いているか?」デルア「いや、俺は全く。ピューアちゃんは?」ピューア「私も全然。」3人「という事はまさか・・・。」 以前も同様の出来事が起こっていたからか、2人の元竜将軍達とニクシーは犯人が分かっていたので同時にため息をついた。3人「好美ちゃん・・・、だよな・・・。」ピューア「何も考えずに馬鹿な買い物するなって前にも言ったのに。」デルア「確か前は本鮪を丸々だったよな、いくらギャンブルが強いからってやり過ぎだよな。イャン、お前から何とか言ってくれよ。俺、兄貴にまた土下座するのは御免だぜ。」 3人によれば話は数週間前の事、突如暇になった好美は偶然休みだった真希子とぶらっと近所の競艇場にいた。因みにこの頃、まだ2人は守と再会していない。真希子「次は6レースだね、好美ちゃんはいつも通り3連単で行くでしょ?」好美「当たり前ですよ、それ以外あり得ませんもん。」 きっと現実世界にいる守は2人がギャンブルにハマっているだなんて想像も付かなかっただろうに。真希子「何を軸に買うかい?私は断然内枠の②だね。」好美「いや、このレースは外枠の⑤⑥を軸にしても面白いと思います。」 好美は生前、地元・徳島に帰省していた時に父の操と鳴門競艇場へと通っていた事が有ったので知識はあった。真希子「光ちゃんがいたら予想はしやすいんだけどね、あの子強いから。」好美「えー、真希子さん弱気になっているんですか?」真希子「最近連敗中だから不安なんだよ。(念話)光ちゃん、ちょっと良いかい?」光(念話)「やれやれ・・・、言ってくると思いましたよ。私も好美ちゃんの予想に乗ってみても良いと思いますけどね。」真希子(念話)「あらそうかい、光ちゃんが言うなら間違いないね。」 光はこの2日前にも大勝ちして黒毛和牛を1頭買いしたという実績があるので信頼度は高い、当然真希子も好美と光に乗ってみる事にした。 数分後、レースが始まりあっという間に終了した。周囲の住民達が愕然としている中、2人の
last updateLast Updated : 2026-01-12
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7. 「異世界ほのぼの日記3」⑰

-⑰ 試作品は出来る?- 好美が本鮪を買ってから数週間後、つまり現在なのだがビルの1番下の拉麵屋で先日と同じ3人が頭を抱える中、副店長のデルアが一大決心をした。デルア「仕方がない、また兄貴を頼るか。」 デルアはため息をつきながら『念話』を飛ばした、先日の鮪の件があるので少し抵抗してしまうからだ。デルア(念話)「兄貴、ちょっと良いか?」ナルリス(念話)「また好美ちゃんが馬鹿みたいな買い物したのか?俺に押し付けるの本当に勘弁して欲しいんだが・・・。一応、食材は何か聞いておこうか。」 ただ2人の『念話』は好美にがっつりと聞こえていたらしい、噂の本人から少し強めの口調での『念話』が飛んで来た。好美(念話)「何?2人して私に文句でもある訳?」 吸血鬼たちは「鬼の好美」の事を知っているので慎重に言葉を選んで答えた。デルア(念話)「何言ってんの好美ちゃん、よく言う「お裾分け」ってやつだよ。」ナルリス(念話)「いやぁ、いつも悪いなと思ってさ。それにしても今回もこんなに貰って良いのかい?」 ギャンブルで大勝ちしたからか、気持ちが大きくなっている様子の好美。好美(念話)「良いの良いの、何なら追加で持って行こうか?」 これ以上押し付けるのは流石に図々しい様な、そうでも無い様な・・・。デルア(念話)「もう大丈夫だよな、兄貴。普段は光さんの作った野菜を使っているから多すぎる位じゃないのか?」ナルリス(念話)「実は今、試作品を作っている途中でさ。量的にはこれ位が丁度良いか多い位だよ。いつも本当にありがとうね。」 嘘だ、店が忙しくて試作なんて作っている場合ではない。好美(念話)「何?楽しみなんだけど。」 まさか食いついて来るとは思わなかったので少し焦りだすナルリス。ナルリス(念話)「最近、光の畑でキャベツがなかなか採れなくてね。ロールキャベツならぬロール白菜で行こうと思っていたんだ。」 これは半分が本当で半分は嘘、確かに最近パン屋の仕事が忙しくて光がなかなか収穫の作業をする事が出来ないのは事実だがロール白菜なんて考えてもいない。 そんなレストランのオーナーに想定外の事が起きた。好美「ねぇ、私も食べて良い?」 そう、好美が『瞬間移動』で店に来たのだ。ナルリス「ごめん、今ここには店の料理分の材料しか置いてなくてね。それに試作は1人で行う事が多いんだ。
last updateLast Updated : 2026-01-12
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7. 「異世界ほのぼの日記3」⑱

-⑱ 守られた秘密と明かされた秘密- 副店長の行動に疑問を抱くオーナーシェフをよそに、真希子は鼻歌交じりでロッカールームへと向かいロッカーを開けた。真希子「さてと・・・、いつも通り『複製』で守が作っておいてくれたブイヨンを・・・、ってあれ?」 いつもロッカーの最下層に鍋にいれて隠しているはずなのだが、鍋が見つからない。インスタントラーメンを食べる様な小さく浅い物では無く、パスタを茹でる様な深い物を使用しているので目立つはずだったのだが・・・。真希子「どうして・・・?」 真希子は腕を組んで必死に思い出した、確か数日前の事だったか。その日は閉店時間まで客足が途絶えなかったので疲労が溜まった真希子は、ナルリスを含めた従業員を全員集めて店中のワインを吞みまくっていた。ナルリス(当時)「大丈夫ですか、真希子さん。これ一応、店の奴ですけど。」真希子(当時)「気にしなくても良いわよ、ちゃんと発注しているから明日の朝には酒屋から届く手筈になってるわ。」ナルリス(当時)「でもこれ、店で一番度のきつい酒ですよね。そんなに呑んで大丈夫ですか?」真希子(当時)「心配しないの、もしもの時は好美ちゃんか守に迎えに来てもらうから。」ナルリス(当時)「確か、守君って真希子さんの息子さんで好美ちゃんの彼氏君でしたね。」真希子(当時)「そう、あの2人なら『念話』一発で飛んで来るわよ。」 因みにこの時守は疲弊して熟睡中、そして好美は渚と家の露天風呂でお楽しみ中だった。 数時間後、周囲の者達と同様に真希子も顔を真っ赤にして酔っていた。真希子(当時)「何かあっさりとしたスープかお茶が欲しくなって来たわね、何かチェイサーになる物はあったかね・・・。」 フラフラになりながらロッカーの中全体を探した真希子、無事にお茶かジュースが見つかれば良かったのだがやはり泥酔しているので・・・。真希子(当時)「うん、これで良いわね・・・。」 こう言って一際目立つ奥底の鍋を取り出して火にかけた後に皆の下に持って行くと、他の者も同じ気持ちだったらしく、全員で大切なブイヨンを飲んでしまったのだ。真希子「まずい事になっちゃったわね、守に直接聞いてみるしかないか・・・。」 実は未だにブイヨンの作り方を知らない事を、まだナルリスに伝えていなかった真希子は急いで守に『念話』を飛ばした。真希子(念話)
last updateLast Updated : 2026-01-12
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