All Chapters of (改訂版)夜勤族の妄想物語: Chapter 501 - Chapter 510

517 Chapters

6. 「あの日の僕ら2」89

-89 店主の希望- ケデールは先程の質問に対する守の返答を聞くと「そうか」と返事した後、何かを考える素振りをしながら黙々と食事をしていた。きっと夢の中で神が告げていた「お願い」の事なのだろうと察した守は、神との約束通り自ら尋ねようとはしなかった。 その後、豚舎へと向かった守は餌をやりながらだが少し違和感を感じていた。守「どうしてここの餌は緑色が混じっているのかな。」 守は元の世界にいた頃、龍太郎と共に契約している畜産農家へと見学に行った事が有った。そこでは豚の餌にトウモロコシや穀物を使っていたので全体的に黄色いイメージを持っていたのだ。守「まぁ、良いか。余計な詮索はしない方が良いだろう。」 ただ、餌を餌箱に入れる度にほんの少し良い香りがしたのが妙に気になったが。 それから数日後、餌箱を掃除していた守に放牧場から帰って来たケデールが声を掛けた。ケデール「守、ちょっと良いか?」 店主に手招きされた守は一緒に食堂へと向かった。ケデール「取り敢えず、かけてくれ。」 ケデールは守に椅子を勧めると自ら急須でお茶を淹れて守に振舞った。毎朝の食事もそうだが、どうやら目の前のライカンスロープは「和」の物に拘っている様だ。守「う・・・、美味いですね。」 守が一言告げると店主は目を輝かせながら食らいついた。ケデール「そうだろそうだろ、このお茶は隣国の農家と契約して毎日送って貰っているんだ。この香りが良いだろう、実はこの茶葉を少し前からなんだが牛や豚の餌に混ぜていてね。ブランド化出来ないかなって考えているんだ。」守「良いじゃないですか、自分に出来る事が有ったら協力させて下さい。」 守の言葉を聞いたケデールは嬉しそうにお茶を啜った。ケデール「助かるよ。それでなんだが守、この前俺が料理が出来るか聞いたのを覚えているか?」 内心では「遂に来た」と思いつつ、慎重に会話を進めた守。守「確か・・・、朝ごはんを食べている時にですよね。」ケデール「うん、これはまだここだけの話にしておいて欲しいんだが、品種改良が上手く行けばなんだけど、ブランド化した折に地元のレストランや拉麺屋さんの方々を招いて豚肉の試食会をしようと考えているんだ。」守「拉麵屋?!拉麵屋さんがあるんですか?!」 ケデールは守の反応に笑いながら屋外へと案内して市街地の方向を指差した。ケデール「
last updateLast Updated : 2025-12-30
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6. 「あの日の僕ら2」90

-90 涙がくれたもの- 冷蔵庫の中を確認して1人顔をニヤつかせる守を見て怪しそうな表情をする店主は、目の前の従業員が何を言っているのかが分からなかった。ケデール「ん?何にだ?」守「ほら、例の試食会の料理にですよ。俺の得意料理に丁度良いのがあるんです。」 ケデールは守に試食会で出す料理の提案と当日の調理をお願いしていた事を思い出した。ケデール「そういう事か、良いじゃないか。是非、その方向で行ってみてくれ。」 そして迎えた試食会当日、朝早くに起きた守は何度も味見を繰り返して料理に使うタレを作っていた。守「あ、店長。おはようございます。」ケデール「おはよう、朝から気合が入ってんな。」守「店長のお役に立ちたくてつい・・・。」ケデール「それは有難い事だが、朝の餌やりも忘れるなよ。」守「あ、もうやって来ました。」ケデール「嘘だろ・・・、相変わらず凄い奴だな・・・。」 守がタレを作り終えた後に2人は朝食を摂り、ケデールが牛や豚達を放牧場へと誘導する中、守は試食会に向けて調理を進めた。ケデール「おっ・・・、良い匂いじゃないか。これなら皆さんに高評価を貰えるだろう。」守「ですね、では配膳台に乗せておきます。」 守が作業を進める中、食堂へと向かうケデールは踵を返してある事を思い出した。ケデール「そうだ、思い出した。この試食会はお前の紹介も兼ねているから呼んだら来てくれな。」守「わ・・・、分かりました。」 そしてケデールは配膳台を押しながら食堂へと向かった。 遂に試食会の時が来た、ケデールが来客たちと言葉を交わす中で食堂から漏れる数人の声を聞いた守はある事に気付いた。守「聞いた事のある声だ・・・、まさか・・・。」 そして店主に呼ばれた守は食堂へと向かい歓喜した。守「いらっしゃいませ、やはりそうだったか。」 来客達の中に見覚えのある女性達が2人。女性達「守・・・!!」 そう、目の前に好美と真希子がいたのだ。 試食会の後、守と好美は豚舎へと向かった。好美「どうしてここにいるの?!手紙送ったでしょ?!」守「不可抗力だった、毒を盛られたんだ。」 守の事情を知った好美は怒るのをやめた。好美「そうだったんだ、ごめん・・・。そうだ、桃や美麗は元気にしてる?」守「ああ、ただ死んだはずの結愛の出現に驚いていたけどな。」 友の事を聞いた好
last updateLast Updated : 2025-12-30
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7. 「異世界ほのぼの日記3」①

 ある事を理由に俺は望む事を止めた、いや可能な限り望みを言う事を止めた。確か俺がまだ夜勤族になっておらず、また姉が結婚していなかった頃の事だ。あの頃はよく家族で外食に行く事が多かったのだが、大抵は姉が希望する料理を食べに向かうばかりだったと思う(と言うより個人的にこう言った記憶の方が強く根付いてしまっていた)。 ごくたまにだが、母親から・・・。母「院は何が食べたい?」 と聞かれる事は有ったが・・・。院「別に・・・、何でも良い(と言うより俺の希望が叶う事は無いからどうでも良い)。」 希望は言わなかった、いや言えなかった。だから俺は一時的にだが考え方を変えてみた、姉の希望通りの店に入った時にお品書きを眺めて3つまで選んだ後に他の者が注文した物を確認して価格帯を合わせた物を注文していた。あまり目立たないようにする為の方法だ、ただ姉や父は俺が頼んだ料理に関してだけ何故か文句を言って来ていた。その事が嫌になった俺は家族で外食に行った時に可能な限り多く頼まず、最後には水だけを口にしてその店を後にした事が有った(その時はストレス等が原因で肋軟骨を損傷していたので治療の為に酒を我慢していたからと言うのもあったが)。 それから数年後だったか、皆さんも経験していた事もあったかも知れないが俺はアニメを通して遠い異世界に思いを馳せる様になった。剣士や魔法使い等として王国軍の1人となって敵軍と戦ったり、冒険者になってパーティーを組んで共に魔獣を倒したりといった夢の様な場面に憧れていた方もいたかもしれない。ただ俺が初めて想像し、憧れたのは「何も要求されなかったから自由に生きるだけの異世界」だった。 そんな中で俺の昼夜逆転生活が幕を開けた、最初の方は周りの者達があくせく働く昼間から堂々と酒を吞んでも良いのだと嬉しかったのだが今思えばこの生活により全くもって友人と休日が合う事がなくなってしまったが故に誰とも呑みに行けないという悲しい事実に直面していた。その上女性には全くもって出逢う事が無い、出逢った同年代の女性には必ずと言っても良い様に帰る場所があった。周囲の人間(ましてや後輩達)が同棲や結婚による新たな生活を楽しんでいる中で俺は未だに独身だ、何となくだが隣の芝生が青過ぎて辛かった。俺が彼らの様に人生を謳歌する事はきっと一生無い・・・。 ある日、俺は微かな記憶として残っていたとあ
last updateLast Updated : 2026-01-03
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7. 「異世界ほのぼの日記3」②

-② レベル違いなプレゼント- 早速2人はケデールから送られてきた荷物を好美の家の空き部屋へと入って行った、まさか今でも未開の地があったとは、作者としても驚かされる。好美「すみません、ケデールさん。お忙しいのにお手伝い頂いちゃって。」ケデール「良いんだよ、好美ちゃんにはいつも贔屓にしてもらっているからね。それより守が迷惑をかけていないかい?」好美「昨日の今日で何かトラブルがあったらビックリですよ、大丈夫ですのでご心配なく。それにしても良いんですか?いきなり守を有休にして貰っちゃって、この時期お店お忙しいんでしょう。」ケデール「気にしなくても良いよ、それにちゃんと従業員に有休を与えないとそれこそ法律違反になっちゃうからね。」 どうやらこの世界にも日本の「働き方改革」の様な物が存在する様だ。そんな中で守は1人表情を曇らせていた、目の前の恋人はこっちの世界に来た時も一途に自分の事を想っていてくれたというのに対して自分はどうなんだ。例え軽い気持ちでは無かったとしても、一度好美の事を裏切ってしまった様な気がしてならなかった。 1人浮かない顔をしている守の心情を察したのか、実は事前に真希子から真帆の事を聞いていた好美は守の事をけしかけてみる事にした。好美「ねぇ、守。私が死んでから他の女の子と付き合ったりしたの?」 「まずい・・・」と思った守は言葉を慎重に選びながら答えた、もしも一言でも誤ると大げんかになりかねない。 追い詰められた様な気分だった守は正直に話す事を選んだ。守「実は幼少の頃からの幼馴染と付き合っていたんだ、真帆って言うんだけどね。その子も俺と同時に毒を盛られてこことは別の世界へ飛ばされたらしいんだ、今はあっちの世界で子供がいるらしい。」 好美は数秒の間沈黙した後突然笑い出した。守「な・・・、何?」好美「もう、何真面目な顔で語ってんの?ウケるんですけど!!」 目の前で大爆笑する恋人にどうする事の出来ない守は、1人立ちすくんでいた。好美「あのね、こっちには結愛や真希子さんがいるんだよ。知ってたに決まってんじゃん。」 好美は涙ながらに笑い続けた。守「結愛か、やられた!!」 好美は守が悔しがる中、話し続けた。好美「それにね、真帆は私のはとこなの。全部筒抜けだったんだよ。」 実は守に好美からの手紙を渡す裏ではとこ同士の手紙の受け渡し
last updateLast Updated : 2026-01-03
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7. 「異世界ほのぼの日記3」③

-③ ビビる- 守は好美の家(というより自分の新居)で初めての内線にドキドキしていた、通常ナンバーディスプレイには各々の部屋番号が記されているが最上階のこの部屋の物だけは「好美用」と書かれていた。イャンダ(内線)「引越し蕎麦出来たぞ、エレベーターに乗せて良いか?」 まさか自分の為に忙しい中用意してくれているとは思わなかった守。守「すみません、わざわざありがとうございます。助かります。」イャンダ(内線)「これ位構わないさ、それより・・・。俺らの大切な好美ちゃんを泣かせたら承知しないからな。」 元竜将軍(ドラグーン)のドスの利いた声に守は思わずビビってしまった、もし圭との一件を知ればどう感じるのだろうかと想像しただけで身震いしてしまった。 たとえ一度だけだったとしても守が好美を泣かせてしまったという事実、そして好美の放った言葉は変わらず守の頭にこびりついたままだった。好美(回想)「何よ、守なんてもう知らない。」 過去の記憶に頭を悩ませる守の横で、屈託のない笑みを浮かべる好美。そんな中、守は好美が学生時代にアルバイトをしていた中華居酒屋「松龍」で当時悪名が高かった学生の成樹による暴力事件があった日、店主である龍太郎の言葉を思い出した。龍太郎(回想)「自分から大切な物を失おうとしたんだぞ。」 あの言葉は今でも守の胸の中にずっと残っていた、そしてあの日誓ったはずだ。「好美の笑顔をずっと守る」という事を。 守が一人強く拳を握りしめる中、すぐ隣でただただ笑う恋人が声を掛けた。好美「守、何やってんの。早くしないと折角の蕎麦が伸びちゃうよ。」 好美の言葉を受けた守は空いた口が塞がらなかった、食卓の上には数十人分の物と思われる量の蕎麦が積まれていた。確かに元の世界にいた頃から好美が大食いだった事は今でも鮮明に覚えているが、いくら何でも多すぎやしないだろうか。好美「何言ってんの、麺類は別腹って言うじゃない。」守「いや、考えがほぼデブと同じだから。好美は違うだろう。」 言葉では口喧嘩している風に聞こえても久々に訪れた2人の時間に顔がニヤけついてしまう守。守「じゃあ好美にとってスィーツって何なんだよ。」好美「スィーツねぇ・・・、飲み物だね。」 好美には「食べ物」と言う概念が無いのだろうか、守はただ目の前に重ねられていく空いた容器の量を見て、今度は焦
last updateLast Updated : 2026-01-03
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7. 「異世界ほのぼの日記3」④

-④ 彼氏の扱い- 学生時代の頃から相も変わらず「鬼の好美」は健在だったが、この世界に来て数年が経ち少し変化があった様だ。イャンダ(内線)「好美ちゃん、別に呑むか呑まないかは勝手だけどまあ引越しの作業が終わって無いんだろ、大丈夫なのかい?」 やはり元竜将軍(ドラグーン)と言えどオーナーである好美には頭が上がらない様だが、イャンダは好美が忘れっぽい性格だった事をしっかりと覚えている様だ。好美「大丈夫だって、あと数箱しか残って無いんから。」 守はその「あと数箱」の事を思い出した、中身は家電等が中心で比較的大きめの物ばかりだった。まさか、全部一人でやらせるつもりなのだろうか。 守の表情を見た好美は恋人が何を考えているのかを察して少し表情を歪ませた。好美「何、女の子に重たい物を持たせるつもり?!」 好美の言葉に守は「まずい」と思ってしまった、このままでは自分が「鬼の好美」の餌食になってしまう。守「い・・・、いえ・・・。何を仰いますやら、自分の荷物なんで自分で行います。」 恐怖からか、つい敬語になってしまう守。ただ、この会話は内線を通してイャンダへと筒抜けだったらしく・・・。イャンダ(内線)「好美ちゃん、あんまり彼氏君を怖がらせちゃ駄目じゃないか。」 イャンダの優しさにじんと来る守の目の前で頬を膨らませた好美。好美「何よ、イャンダも守に味方する訳?!」 今度はイャンダに矛先が向いた様だが、店長は回避する方法を知っていた。イャンダ(内線)「まぁまぁ、落ち着きなよ。ほら、エレベーターに日本酒を載せておいたから。」 しかし今回は方法(というより手順)をあやまったらしい・・・。好美「だれが冷やって言ったのよ?!熱燗でしょ、熱燗!!」 拉麵屋のオーナーは相当ご立腹らしく、イャンダは逃げる様に電話を切った。その様子を見ていた守も逃げる様に荷解きへと戻った。 数秒後、好美の大声が守の新しい部屋へと聞こえて来た。好美「守、何やってんの?!1人で寂しいんですけど!!」 今まで1人にさせていた分、「寂しい」という言葉にどうしても反応してしまう守。守「はいはい、今行きます・・・。」好美「「はい」は1回でいいの!!」守「はーい・・・。」 日本でもよくある光景に守が安心しながら食卓へと戻ると既に肴は消えてしまっていた、よく見ると好美は真っ赤だった上に
last updateLast Updated : 2026-01-03
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7. 「異世界ほのぼの日記3」⑤

-⑤ 冷静な対処- 内線の声の主は吉村 光の旦那であるナルリスの弟で、吸血鬼の家系に生まれた元黒竜将軍(ブラック・ドラグーン)である「暴徒の鱗」副店長のデルア・ダルランであった。デルア(内線)「ごめんごめん、イャンダが面白がって言うもんだから俺もついいじりたくなってさ。気を悪くしないでおくれ、後でサービスさせて貰うから。」守「気にしてませんよ、元の世界でも結構「変態」って呼ばれていましたし。」 確かに光や好美による「プロレスごっこ」の被害(?)を受けていた時、顔がニヤケついていたので変態であるという事は否めない。デルア(内線)「そうか、それなら良かったんだ。それはそうと好美ちゃんいるかい?」守「いますけど・・・。」 つい後ろを振り返る守、目線の先では食卓で好美が未だに手酌酒をしている。顔は先程以上に赤くなっていた。デルア(内線)「いるけどどうしたんだよ。」守「すみません、先程から日本酒呑んで陽気になっていまして。」 好美が気を悪くしてはいけないと表現を変え、好美が泥酔しているという事を伝えたのを察したデルアが今度は守に気を遣い始めた。デルア(内線)「なるほどな・・・、そりゃまずい事になったかも知れないな・・・。」 重苦しい雰囲気を醸し出す副店長に少し焦る守。守「まずいってどういう事ですか・・・?」デルア(内線)「ごめん、確か好美ちゃんって今夜夜勤だったんじゃなかったかなー・・・、って。」守「確かにあの状態だと起きても夜勤には行けそうにありませんね、ちょっと本人に確認してみます。」 守は刺身を肴に5本目の熱燗を楽しむ好美の肩をそっと叩いて尋ねた。守「こ、好美・・・。今夜、もしかして夜勤じゃないのか?デルアさんって人が心配してるんだけど。」 すっかり泥酔した好美は上手く呂律が回りそうになかった。好美「なぁにぃ?デルア?内線来てんのぉ~?」 ふらつきながらもデルアからの内線に出た好美。好美「2人して何?お楽しみ中のオーナーを呼び出しても良いと思っている訳?」デルア(内線)「何ってこっちが言いたいよ、今夜夜勤じゃないの?呑み過ぎは禁物だって。」 デルアの心配とは裏腹に好美には何の問題も無い様だ。好美「有給取ったから大丈夫だって・・・、折角守と住むことになったのにクリスマスに仕事なんてしたくないもん。」 どうやら好美は「恋人
last updateLast Updated : 2026-01-03
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7. 「異世界ほのぼの日記3」⑥

-⑥ 社長登場- つい最近、元の世界で英検3級をやっと取得した女性社長の口調や性格はこちらの世界に来ても一環として変わることは無かった。守(念話)「結愛か、お前は相変わらずな奴だな。」結愛(念話)「何だよ、俺は「あの頃」からずっと変わらないぜ。」 「あの頃」とは勿論、結愛の父親である義弘が西野町学園を買い取り「貝塚学園」とし、理事長として独裁政治を行っていた頃の事だ。2人にとって「最悪の高校時代」と言っても過言ではない。 守は決して脳から離れない黒歴史を1人思い出していたつもりだったが、大企業の社長には筒抜けだった様だ。結愛(念話)「おいおい、親父の事を思い出させんじゃねぇよ。あいつと血が繋がっているという事を思い出すだけで今でも吐き気がすんだから勘弁してくれ。」守(念話)「悪かったよ、俺も思い出したくて思い出した訳じゃねぇよ。」 2人にとって良い時代とは言えない物だったが、この「最悪の高校時代」が無かったら結愛が社長に就任する事も光明と出逢い結婚する事も無かっただろう。 そんな中、守は好美から聞いた事を思い出した。守(念話)「そう言えば結愛、こっちの世界で俺の事好美に話してたんだって?」結愛(念話)「そりゃあな、あいつはこの世界に来てからずっと「守!!守!!」って言いまくってたからよ。」 2人の『念話』が聞こえていたのか、噂の本人が横入りして来た。好美(念話)「言ってないもん!!一言も言ってないもん!!」結愛(念話)「頭の中でずっと叫んでいたくせによく言うぜ。」 どうやらこのネクロマンサーにはあらゆる人物の思考が筒抜けになってしまう様だ、この世界では下手な事を考えてはいけない事が納得出来る。結愛(念話)「確か夜に至っては「守の・・・」って言いながら・・・。」好美(念話)「分かった!!認めるからそれ以上言わないで!!」 かなり焦った様子の好美の顔は先程以上に赤くなっていた。守「好美・・・、お前そんな事考えてたのか?」好美「仕方ないじゃん、ずっと寂しかったしご無沙汰だったんだもん・・・。」 酔いからかそれとも本心からなのか、少しぐずりだした好美を慰めながら守は結愛に『念話』を飛ばしなおした。守(念話)「それで・・・、今日は何か用かよ。」結愛(念話)「おいおい、用って言ったら今日に至っては1つに決まってんだろうが。」 次
last updateLast Updated : 2026-01-06
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7. 「異世界ほのぼの日記3」⑦

-⑦ 異世界でも存在する物- 守は知らなかった、自分が結愛にツッコミを入れた時には既に遅かったという事を。目の前の社長は2人の家に来る前に既に市街地の居酒屋で1杯引っ掛けていたというのだ。それを知るきっかけは貝塚財閥副社長、つまり光明からの『念話』だった。光明(念話)「守か、まさかお前もこっちの世界に来るとはな。」守(念話)「確かにな、毒殺された時はどうなるか分からなかったけどまさか俺が異世界に転生できるとは思わなかったよ。」光明(念話)「それでよ、結愛が迷惑かけてねぇか?あいつ、そっちに行く前に裏路地の店でかなり呑んでたってそこの店主から電話があったんだよ。」守(念話)「迷惑はしてないけど・・・、今日は無事に家に帰れるかどうか。俺個人は泊めても良いけど。」 すると光明は「旦那」としてではなく「副社長」として答えた。光明(念話)「それがそういう訳には行かないんだよ、今日もそうなんだけど隣国にある支社や施設の見回りに行く予定なのに結愛がいなきゃ成り立たないんだ。今も呑んでるって聞いて汗が噴き出ているんだよ、何とかできないか?」 2人の『念話』をしっかりと聞いていたのか、すっかり顔を赤くしたネクロマンサーが横から入って来た。結愛(念話)「お前な、副社長なんだから俺抜きでも見回り位は出来るだろう。それに今日まで数カ月の間ずっと休みが無かったんだぜ、今日くらい好きなだけ呑ませろよ。」 社長の言う事は最もだが副社長も引き下がらない。光明(念話)「何言ってんだよ、支社の見回りはお前が言い出した事だしお前のサインが無いと承認されない事案がどれだけ山積みになっていると思っているんだ。それと、お前と一緒で俺もずっと休み無しなんだぞ。飯だって最近ずっとカップ麺ばっかりだし・・・、俺の事も考慮に入れてくれないか。」結愛(念話)「飯の事に関してはお前の所為だろ、機械は得意なくせに料理が出来ないからってずっとカップ麺にしているのは誰だよ!!」光明(念話)「お前が家に帰ってすぐに馬鹿みたいに呑むのが原因だろうが、せめておつまみやおかずを作ってから呑め!!」 ずっと夫婦喧嘩を聞かされている恋人達は頭痛がしてきた。好美(念話)「お前らな・・・、折角の酒と肴が不味くなるから喧嘩はやめろや!!」 久々の「鬼の好美」の出現にビビってしまう貝塚夫妻。結愛(念話)「好美・
last updateLast Updated : 2026-01-06
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7. 「異世界ほのぼの日記3」⑧

-⑧ 神々も人と変わらない- 突然のオーダーストップにしゅんとするマンションのオーナーに朗報がやって来た、どうやらビールだけでは楽しめないかと考慮した貝塚夫妻が肴として色々と用意していた様だ。結愛「好美、ホッケ焼きたいんだけどグリル使っても良いか?」 守は目を疑った、日本と同様な食材がどうしてこの異世界で手に入るのだろうかと不思議で仕方がなかった。正直、目の前の転生して来た日本人達が平然としているのが不自然に思えて仕方がなかった。守「なぁ、さっきの料理もそうだけどさ、この世界ってどうなってんだよ。ずっと肉屋で籠っていたから中々言えなかったんだけど、日本に近すぎやしないか?」好美「えっ?!守、神様から聞いてないの?色々と作り替えてくれているって。」結愛「そうだぞ、俺達のクレジットカードやキャッシュカードが使えるのもあいつのお陰なんだぜ。」 すると全員の脳内にある男性の声が直接流れ込んで来た。男性「こら、貝塚結愛。「あいつ」とは何だ「あいつ」とは。禁忌を破ったお前の罪を許してやったのは誰だと思っているのだ。」 声の正体は「神様」ことビクター・ラルー、上級古龍だ。結愛「おいおい、今になって聞くけど金渡したら許される禁忌って何なんだよ。」 「金が物を言う」というやつだろうか、この世界では何事も金で解決出来るらしい。ビクター「あ、あれは特別措置ってやつだ。ほら、犯罪にも罰金ってのは付き物だろう。」 ビクターが好美の部屋に出現した後、別の声が流れて来た、今度は女性の声だ。女性「どうせ競艇で擦ったから金が欲しかっただけだろうが。」ビクター「お、お前はトゥーチ!!何故ここに!!」トゥーチ「連続有給を取ってから毎日の様に朝早くから出かけているから怪しいと思って父ちゃんの事を尾行してたんだよ、予想はしてたけどやっぱりモーニングレースを見に行ってたんだな。金が無いからって「禁忌を破った」と言って下界の人間から取るなんてどういうつもりだ!!」 続けて出現した三女が言うには神様の間にも決まりはあるとの事で、罰金を取るのはご法度とされている様だ。好美「トゥーチ神様、今仰っていた事は本当ですか?」トゥーチ「ああ、俺は親父と違って嘘はつかねぇ。魔力を使って元の世界に戻る事は許されない訳じゃ無いから安心してくれ、勿論結愛からくすねた金も返させるからな。もしも禁
last updateLast Updated : 2026-01-06
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