All Chapters of (改訂版)夜勤族の妄想物語: Chapter 531 - Chapter 540

547 Chapters

7. 「異世界ほのぼの日記3」㉙

-㉙ あの日の涙- 好美からの『念話』を受けた3人は、同時に携帯を開いた。時計が守の退勤時間の少し前を示していたが光はある事を考えていた。光「ねぇ、私達が守君を連れて来る事で本人の退勤時間はどうなるんだろう。」 そう、光は現状をケデールが「休憩時間の延長」と捉えて守の退勤時間を延長するか、それとも「接客(仕事)中」と捉えるかを考慮していた。 そんな中、光の思考を『察知』したのか肉屋の店主から『念話』が飛んで来た。ケデール(念話)「守、今日はそんなに忙しくないからこっちに帰って来たらすぐに上がっていいぞ。」 どうやら、ライカンスロープの考えは後者だった様だ。光(念話)「流石ケデールさん、空気読める人だね。今度1杯奢らせてよ。」ケデール(念話)「嬉しい事を言ってくれますね、ではお言葉に甘えましょうか。」 2人が何気ない会話を交わしている横で守は1人肉屋のロッカールームへと『瞬間移動』して荷物を引っ張り出すと好美の待つ家へと向かった、到着した先で恋人が既に顔を赤くしていたので守はある男性へと電話した。守「兄貴、ちょっと良いか?」 生まれてこの方、家族と言えば母・真希子だけでずっと1人っ子だった守の言葉に耳を疑う好美。泥酔しているせいか、腕を大きく振り回しながら守を責めた。好美「守!!誰よ「兄貴」って!!私に秘密しても良いと思ってる訳?!」男性(電話)「あのマモ君、隣の女の子大丈夫なの?」守「大丈夫大丈夫、それより好美のシフトの事なんだけど・・・。」 そう、守の言う「兄貴」とは好美と共に王城で夜勤をするニコフ・デランド将軍長であった。2人は「お風呂山」の銭湯で出逢い、酒を酌み交わした後に連絡先を交換していた。因みに「お風呂山」の正式名称はまだ分かっておらず、「いっその事「お風呂山」を正式名称にしてしまおうか」という議題が王国議会で上がった位だ。 それはさておき、ニコフは守の言葉に驚きを隠せなかったとの事。ニコフ(電話)「どうして好美ちゃんの名前が出るんだ?」 実はまだニコフは、守が好美と同棲している事を知らなかった。守「ビルの最上階にある好美の家に一緒に住んでいるんだ、同棲してて・・・。」 電話の向こうで目を丸くするニコフ、しかし本人にとってはそれどころでは無かった。ニコフ(電話)「という事は俺の娘に手を出したのか?!」 慌てて
last updateLast Updated : 2026-01-18
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7. 「異世界ほのぼの日記3」㉚

-㉚ 大好きが止まらなくて- 昼間から呑んでいたが故の酔いと堰が崩れたかの様に涙となって溢れた会えない間に積もっていた想いが故に、好美は一層顔を赤くして誰にも止める事が出来なくなっていた。それどころか守の袖を掴む手が先程よりも強く、そしてより小刻みに震えていた。好美「ねぇ、会えない間私が守の事を忘れていたとでも思っている訳?!」守「そんな事、一度も考えた事が無い、本当だ!!」 確かに嘘は言っていない、その上真帆と付き合っていた時も守の心の片隅にはいつも好美がいた。好美「私がどれだけ頑張ったと思ってんの?!「1人で」って言えば嘘になるよ、こっちの世界に来て不安だった私を支えてくれた人達のお陰で今の自分がいるのは分かるよ。でもね、たった1人、守だけがいなかったの!!それがどういう意味か分かる?!」 守は恋人が涙ながらに放った言葉の重さを感じていた、好美が袖を掴むのをやめて全力で守の事を抱き始めたからだ。守「俺もだ、一秒でも一瞬でも好美の事を忘れたことは無い。ただ島木さんや結愛から好美の書いた手紙を受け取って読んだ時、どうしようかと思った。「こっちの世界に来るな」って書かれていた時、少し辛かった。」 好美は目を大きく開いた、不器用さが勝ってしまったが故に守に贈る言葉の表現を間違っていた様だ。しかし、今は退く訳にはいかなかった。好美「守に生きていて欲しかったの!!守にずっと笑っていて欲しかったの!!幸せでいて欲しかったの!!」守「俺の幸せに一番欠けてはいけない物が欠けている時点で、俺が幸せでいる事が出来ると思うか?!」 守の言葉は核心を突いていた、しかし未だ好美は退こうとしない。好美「「欠けてはいけない物」って何?!もしそれが「恋人」だったら真帆がいたじゃん!!」 結愛から元の世界での守の事を聞いていたので全てを知っていた好美は涙ながらに想いをぶつけ続けた。好美「いい気味だよね、私の目の前で他の女とキスしたり、私が死んでからすぐに真帆と付き合いだしてさ。2回も裏切っておいて、簡単に許すとでも思ったの?!」 好美が根に持つ気持ちも分からなくはない、ただ「守にとっての1番」が好美である事をずっと理解していたのは他でも無く1番身近にいた真帆だったのだ。ただずっと守が辛い想いをしていた事は結愛を通じて好美に伝わっていたらしい。 そして今度は逆に、守
last updateLast Updated : 2026-01-18
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7. 「異世界ほのぼの日記3」㉛

-㉛ 好美と真希子の新事実- 懐かしい服を着た自分の姿を見て涙する恋人を見て、思わず好美は笑みがこぼれていた。好美「何で泣いてんの、大袈裟だよ。」守「悪い、色々と思い出してな。」 守はこの姿が見たいが為、というより好美に会いたいが為に自分がどれだけの苦労をしたかを思い出していた。好美の事故の後から起きた良かった事も悪かった事も全て含めて。守「生きてて、本当に良かった・・・。」好美「何言ってんの、私達一度死んでるじゃん。」 皮肉を言っている様だが間違ってはいない、死んでなかったらこの世界にいる訳が無い。守「ごめん、言葉が足りなかった。こっちの世界で好美が生きてて良かったと思って。」好美「でも結愛から私の事聞いてたんでしょ、それで安心してたんじゃないの?」 結愛が元の世界に現れた時、テレビで「貝塚財閥代表取締役社長死亡」のニュースが流れていたので結愛の存在すら半信半疑だったというのにその結愛から好美について聞いたところでどう信じろと言うのだろうか。守「誰だって思わないだろう、死んだ先にこんな世界が広がっているだなんて。そりゃあ「あの世って良い所なのかな」って考えた事はあるよ。でもまたこうして好美に会えるとはな、俺って幸せな人間なんだな。」好美「元の世界で結構苦労したって言ってたじゃん、きっとそれが報われたんだよ。」守「そうだな、そう言う事にしておこう。」好美「何それ、やだ。」 こう言いつつもまだ笑っていた好美は、先程の言い争いの間にすっかりぬるくなってしまったビールを掴み取った。好美「あらま、でももう一度冷やせば良いかな。」 そう言うとピューアから教えて貰った『冷却』の能力でキンキンになるまで冷やした。守「お前、そんな事も出来るんだな。」好美「エヘヘ、一緒に働いている人魚(ニクシー)の人に教えて貰って『作成』したんだ。今度守にも紹介してあげるね。」 次の瞬間、好美はある事を忘れていた事に気付いた。好美「不味っ!!忘れてたよ、一度ぬるくなったビールって吞めたもんじゃないのよね。」 すると、好美の様子を『察知』していた先程のニクシーから『念話』が飛んで来た。ピューア(念話)「好美ったら、相も変わらずドジなんだから。」好美(念話)「笑わないでよ、仕方ないじゃん。」 2人の会話が聞こえていたのか、守は首を傾げながら尋ねた。守
last updateLast Updated : 2026-01-24
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7. 「異世界ほのぼの日記3」㉜

-㉜ 師匠との出逢い- 守は目の前にいる2人の言葉に耳を疑い、確認する為に生まれて(若しくは一度死んで)初めて会った人魚(ニクシー)に聞き返した。守「えっと・・・、ピューアさんでしたっけ?貴女の師匠が俺の母親って言うのは本当ですか?」ピューア「何、敬語なんて使わなくていいから普通に話そうよ。それにピューアで良いよ。」好美「そうだよ、この子によそよそしくしなくて良いから。」ピューア「何であんたが答えんのよ。」 台本を用意して練習した漫才の様な会話を交わしていたが、全く答えを聞く事が出来ていない。守「そうか・・・、それでマジな訳?俺の母ちゃんがピューアの師匠なの?」ピューア「そのはずだよ、確か宝田真希子さんって言う人だったと思うんだけど。」守「確かに・・・、母ちゃんだ・・・。」 守は真希子の名前を聞いて安心するどころか少し不安になっていた、確かに元の世界で真希子の作った家庭料理を食べてはいたがスーパーでのパートや株取引、そして王麗との捜査(というより走り屋としてのバトル)で大忙しだった為に松龍のカウンターで龍太郎と2人で食べたり、家で自炊していた事が多かったので守の方が料理の実力はあったのだ。どちらかと言うと守が真希子に料理を教えていた事の方が多かった様な気もした。 好美は守の目が泳いでいた事を不審に思っていた。好美「どうしたの?何かあった?」守「いや・・・、この前和風出汁をブイヨンと勘違いしていたから母ちゃんに料理を習う人なんている訳が無いと思ってさ。」ピューア「それがいるんだな・・・。」 守にはもう1つ気になる事があった。守「そう言えばピューア・・・、は普段好美と一緒に仕事をしているって聞いたけど。」ピューア「そうそう、好美がオーナーをしている拉麵屋でナイトマネージャーをしてんのよ。以前は寿司屋で板前をしてたけどね。」守「板前?!じゃあ、母ちゃんに料理を習う必要なんて無かったんじゃないの?どっちかって言えば逆だと思うけど。」 冷蔵庫の中身を確認して何を作ろうかを考えていたニクシーは自分の答えに驚く守に対し、真希子が自分と出逢った時の事を師匠から聞いたままに話した。 当時、ネフェテルサ王国にある湖の周りを散歩していた真希子は少し離れた所で女性が寝ている事に気付いた。真希子(当時)「あら大変じゃないか、取り敢えず行ってみるかね
last updateLast Updated : 2026-01-24
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7. 「異世界ほのぼの日記3」㉝

-㉝ 人魚の昔の姿- 真希子は言われた通り待っていると驚愕した、目の前にいる人魚(ニクシー)が突然光り出して次第に尾鰭の部分が足へと変化した上に衣服まで出現したでは無いか。ただ次の瞬間、真希子の驚愕は落胆へと変わってしまった。別に悪いと言う訳では無いのだが、ピューアが着ていたのは週末にゲートボールを楽しむお年寄り達が着ている様な小豆色のジャージだったのだ。正直、意外というか何というか・・・。真希子(当時)「あんた・・・、他に服無かったのかい?」ピューア(当時)「私、休みの日はいつもこうなんです。家に籠ってずっと酒吞んでるんで。」真希子(当時)「とは言っても外出用の服位はあるだろう?」ピューア(当時)「あまりお洒落に興味無いからお金かけたくなくて。」真希子(当時)「まぁ、あんたが良いなら良いか。」 それから2人は遊歩道を数分程歩いて広い駐車場へと出た、しかし真希子の物らしき車は1台も無い。ピューア(当時)「あの・・・、お車って聞きましたけど。」真希子(当時)「うん、すぐ出すからね。折角だから今日はこいつにするかね。」 真希子が『アイテムボックス』から愛車・スルサーティーを出すとピューアは顔を赤くしていた、どうやら目の前の車に惚れこんでしまったらしい。真希子(当時)「いつもは軽バンなんだけど偶に乗らなきゃオイルが腐っちまうからね・・・、ってあんたどうしたんだい?突っ立って無いで早くお乗りよ。」ピューア(当時)「いや・・・、こんな格好良い車初めてなんで・・・。」真希子(当時)「はは~ん、さては惚れこんじまったんだね。でも嬉しいよ、ありがとう。」 真希子は笑みを浮かべながら運転席へ乗り込み、クリスタルに魔力を流した。もう既にこっちの世界様に改造を施していた様だ。魔力を得た車がけたたましい排気音を出し始めたのでギアをセカンドへと入れた。ピューア(当時)「マニュアルなんですね、やっぱりスポーツカーはこうでなきゃですね。」真希子(当時)「おや?こういうの好きなのかい?私ゃ普段乗る車もマニュアルって決めているんさ、やっぱり車が好きだからかな。」ピューア(当時)「私もいつかこういうの欲しいんですがね、お金がなかなか貯まらなくて。」真希子(当時)「その様子じゃそうだろうと思ったよ、仕事は何しているんだい?」ピューア(当時)「銀行員です、一応正社員
last updateLast Updated : 2026-01-24
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7. 「異世界ほのぼの日記3」㉞

-㉞ 番号の理由と世間の狭さ- 守は心が温かくなっていた上にモヤモヤが晴れた様子でもいた。守「だからか、車はあるのに母ちゃんがいないからおかしいと思ったんだよ。」ピューア「欲しい車があって買い替えるからってくれたのよ、何処にそんなお金があるんだろうね。」 2人の会話にマンションの大家が口を挟んだ。好美「ピューア、結愛が自分の会社の筆頭株主だって言ってたじゃん。」守「こっちの世界でも貝塚財閥は健在なんだな。」好美「健在どころか貝塚財閥あってのこの世界と言っても過言では無いと思うけどね。」ピューア「皆貝塚学園で勉強して社会に出ている様な物だから、貝塚財閥様様よ。」守「ははは・・・、はぁ・・・。」 決して思い出したくはない高校時代を思い出しかけたので話題を変える事にした守の様子を察した好美、そこで彼氏にとって嬉しくなる様な情報を与える事にした。好美「守、このマンションで真希子さんに会わなかったの?」守「全然見かけなかったけど、いるのか?」 大家として不動産会社と共有している住民リストをめくる好美。好美「確かこの辺のページに・・・、あった。この下の階に住んでるよ、1408号室。」ピューア「あんた、住民の個人情報を他の人に言っても良い訳?」好美「親子だから大丈夫でしょ、それに守だって偶には真希子さんに会いたいだろうし。」守「部屋の番号を知ってたとしても、行き方が分からないよ。」好美「普通にそこから行けばいいじゃん。」 靴箱の横にあるエレベーターを指差す好美、今更だがやはりエレベーターを降りたらすぐ玄関というのはやはり贅沢過ぎでは無いだろうか。まぁマンションのオーナーの特権という事にしておこう、しかし守にとってはそれ以上の問題が浮上していた。守「俺、14階に行けたとしてエレベーターでこの部屋に来るための暗証番号を知らないぞ。」好美「あっ・・・、本当だ。言っておかなきゃ魔力が切れた時に帰って来れないもんね。」 好美は守に4桁の数字を教えた。守「お・・・、おい、それって・・・。」好美「そうだよ、守の誕生日にしてたの。守の事忘れない為に、この部屋に帰って来る度に守の事を思い出せる様にする為に、そしていつか守とここで住めるようにする為に。」ピューア「そう言う意味だったのね、好美の生年月日とかから全く関係無い番号だから何だろうなって思っ
last updateLast Updated : 2026-01-24
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7. 「異世界ほのぼの日記3」㉟

-㉟ 何で呑もうか- 母との会話の中に聞き慣れた名前が並んでいたが故に少し安心感を持った守は、やはり自分が今いるのは異世界なのかどうかを疑ったが目の前に立つ人魚(ニクシー)や職場にいるライカンスロープ、そして自分の初恋の人の結婚相手のヴァンパイアの事を思い出して改めて自分が異世界にいる事を実感した。しかし、やはり元の世界と変わらぬ姿で母親が目の前に佇んでいるので夢を見ているのかと感じた守は頬を抓って現実かどうかを確認した。守「いて・・・、いてて・・・。」真希子「馬鹿だねこの子は、夢でも見ているとでも思ったのかい?」守「だって元の世界じゃ有り得ねえ話だろ、死んで目の前からいなくなった母ちゃんや恋人、そして(普通に人の姿をしているけど)人魚と酒を酌み交わしているなんて夢にも見ない事じゃんかよ。」 こっちの世界に結構経っているはずなのだが、やはり好美や真希子に比べて短いので2人からすればまだまだ初心者に近い存在なのだろう。真希子「言いたい事は分かったから呑むよ、ビールのお代わりはあるんだろう?私も貰っても良いかい?」守「母ちゃん、さっきの酒はどうしたんだよ。」 確かに先程『瞬間移動』してきた時は一升瓶を片手に持っていたはずなのだが・・・。真希子「あんなのただの水じゃないのさ、もう無くなっちまったよ。」守「母ちゃん、いくら女将さんがいないからってこっちの世界で羽目外しすぎていないか?」 元の世界にいた頃、毎日の様に「松龍」に入り浸って呑んでいた真希子は家に帰れなくなってはいけないという配慮から王麗によく酒を制限されることが多かった。真希子「何を言ってんだい、あっちの世界にいた時はずっとあの子の捜査の手伝いをしてやってたんだよ、それなりに礼を貰う権利位はあるはずだけどね。」 2人に関する逸話を知っているが故に否定がしづらかった守、幼少の頃から美麗とよく遊んでいて仲が良かった所以はきっとそこだったのだろうと強く実感した。 そんな中、元の世界での、そして過去の思い出話が続いているのでつまらなくなったマンションの大家や人魚(ニクシー)は少し離れた所で呑み始めていた。好美「何よ、2人だけで盛り上がっちゃってさ。」ピューア「良いじゃないのよ、親子水入らずってやつよ。私達は私達で楽しもうじゃないのよ。」好美「嫌だ!!私は守とピューアの作ったおつまみで酒
last updateLast Updated : 2026-01-24
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7. 「異世界ほのぼの日記3」㊱

-㊱ 母の目的と隣人- 自分の予感が当たらない事を願う守はエレベーターに乗り込もうとする真希子について行く事にした、理由は簡単な事だ。守「母ちゃん、千鳥足じゃんかよ。危ないって、『瞬間移動』で行こうよ。」真希子「良いんだよ、外の空気に当たって少し酔いを醒ますのに丁度良いからね。」 確かに真希子の意見は正しい、しかし守は思い出してしまったのだ。何気ない一言を最後に母が自分の下からいなくなってしまった事を。確かに『察知』を使えば母がどういう状況なのかを簡単に把握する事が出来る、しかし問題はそこでは無い。守「あの日、母ちゃんがいなくなってから俺も皆も辛かったんだぞ。好美もそうだけど、また俺の下からいなくなるつもりかよ。また辛い想いをさせるつもりかよ。」真希子「何だいあんた、大袈裟すぎやしないかい?」守「特に母ちゃんは俺がガキだった頃から無茶してばっかじゃねぇか、何でもかんでも軽く思ってんじゃねぇよ。」好美「そんなに心配なら、守がしっかりとついて行けばいいじゃん。」 好美の意見はシンプルだったが、現状の解決に1番適したものだった。好美「確かに真希子さんはここに来るまで結構呑んでるみたいだから心配になるのは分かるよ、そりゃあ親子だもんね。だったらすぐ傍で介抱すれば良いだけだよ。」 好美の言葉は的を得ていた、顔を赤くしていた割にはまともな事を言う奴だ。好美「何よ、私だって冷静に考える時くらいあるもん!!」 すんません、失礼しました・・・。 さてと、気を取り直して・・・。 守は好美に言われた通り、真希子と一緒にエレベーターに乗り込み14階へと向かった。どうやら好美の言動は正解だった様だ、真希子はエレベーターの中で足をふらつかせていたのだ。バランスを崩していたのか、それとも酔いからか、しかし守には分かっていた。守「両方だな・・・。」真希子「何さ、何か言ったかい?」守「母ちゃん、一度水か烏龍茶でも挟めって。呑み過ぎてフラフラだぞ。」真希子「それもそうだね、あんたの言う通りにさせてもらうよ。」 守は何処からどう見ても正常とは思えない母に質問した。守「そんな状態で何を持ってこようとしたんだよ。」真希子「行けば分かる事さね、ほら着いたよ。」 2人が来たのは「1407号室」、真希子の隣の部屋だ。守「母ちゃん、数字も分からなくなってんじゃんか。
last updateLast Updated : 2026-01-26
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7. 「異世界ほのぼの日記3」㊲

-㊲ 転生者達の好物と作ってる人間- 漫才の様な親子の会話を目の前で見たクロンは、声高らかに笑っていた。クロン「明るくて羨ましいね、あたしゃこれから毎日の生活が楽しみだよ。」真希子「悪くは無いだろう、私ゃ暗くてシリアスな雰囲気が苦手でね。やっぱり笑っている方が楽しいもんさ、次第に周りの人達をも楽しくすることができるしね。」 笑いが和やかに溢れる中、真希子はクロンからビニール袋を受け取った。真希子「ありがとうね、この味を知ってしまったからもう他の店で買う気にはならないよ。ほら守、あんたもお礼しな!!」守「ど・・・、どうも・・・。」真希子「何だい、素っ気無いね。そんなんだとあんたに分けてやんないよ、それにしてもいつもより重いけど何でだい?」クロン「大家さんの所に行くんだろ?あの子が大食いって事はマンションでも有名だからね、今から対策を練っておかないと。」真希子「「備えあれば患いなし」ってやつかい、あんたも流石だね。」 3人の様子を『察知』したのか、うわさの大家から『念話』だ。好美(念話)「あのお3人さん、全部聞こえてましたけど・・・。」 好美の様子を察したのか、少し慌て気味の真希子。真希子(念話)「何言ってんのさ好美ちゃん、皆いっぱい食べるあんたが好きって言ってんだよ。」好美(念話)「真希子さん、何処かで聞いた事のあるセリフで誤魔化していません?」真希子(念話)「そんな事無いよ、ねぇ、守?」守(念話)「お・・・、俺に振るなって!!」 『念話』が『付与』されていないクロンは目の前の転生者達がどうしてピクリとも動かず、ずっと直立不動でいるのか不思議で仕方がなかった。クロン「あんた達、さっきから何してんだい?」真希子「ごめんごめん、ちょっと考え事していたんだよ、ねぇ守?」守「おいおい、こっちでもか?何で俺に振るんだよ!!」真希子「あんた以外誰がいるってのさ、上の階にいる好美ちゃんにでも振れってのかい?」 守がどうして「こっちでも」と言ったのか全く分からなかったクロンからビニール袋を受け取った2人は、エレベーターで15階へと向かった。真希子「まだ温かいね、嬉しくなっちゃうよ。」守「母ちゃん、そろそろ中身教えてくれよ。」真希子「後で分かる事さね、無くならなければの話だけどね。」 頭の中が「?」で満たされている守を連れて、真希子
last updateLast Updated : 2026-01-26
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7. 「異世界ほのぼの日記3」㊳

-㊳ 郷土の味と株主の大好物- 宝田親子がクロンの部屋に行っている頃、好美は自分も何か用意しないとと思い「暴徒の鱗」に注文する為、内線電話の受話器を手に取った時にふとある事を思い出した。好美「そうだ、ビールのアテにはあれよね。」 好美は『アイテムボックス』から薄くて白いトレーを取り出してラップを破り、円形の中身をまな板の上に乗せて細長く切っていき、アルミホイルを敷いたオーブントースターで焼き始めた。好美「これこれ、良い匂いがしてきた。」 好美が学生の頃、母・瑠璃が仕送りとして送って来ていた荷物の1つを『転送』と『複製』を繰り返して酒の肴にしていた。勿論、元の世界で夜勤をしていた頃の様にゲオルの店で割引になった惣菜を肴にする事も多かった。 そうこうしている内に部屋全体にカレーの香りが漂って来た、正直この香りだけでご飯や酒が進むと言っても過言ではない。好美「まだまだ、少し焦げ付く位が一番なんだから。」 オーブンの中身は未だ色を変えずにアルミホイルの上に佇んでいた、好美はふと窓の外を見て有る事を思いついた。好美「折角の天気だから外で楽しもうかな。」 好美は1人テラスを向かうと、3人分のテーブルとチェアーを用意して先に始める事にした。そろそろだろうと思い、キッチンへ引き返すとオーブンの中身は良い具合に焦げ付いていた。好美「よし、食べ頃になったね。」 サクサクに焼けた中身を手にテラスへと向かい、1人着席して缶ビールを開けた好美は勢いよくかぶりついた。お世辞にも決して厚みがあるとは言えないが、徳島の人間が愛してやまない郷土の味に好美は箸が止まらなかった。好美「そうそう、ビールにはフィッシュかつよね。」 口の中にカレーの風味が広がるこのフィッシュかつはスーパーで売られている時はフニャフニャの状態になってしまっているので、一度この様にオーブンで焼くと美味しいのだ。 因みに名前の通り中身は練った魚で、「揚げ物」ではなく「練り物」の分類される。徳島県内では「谷ちくわ」や「津久司蒲鉾」の物が有名となっていて、必ずスーパーに並んでいる。好美「あ・・・、やっちゃった・・・。」 どうやら美味すぎたのか、好美は親子の残しておくつもりだった分も全て平らげてしまった様だ。『複製』をしているのでバレない内にまた作れば全く問題はない・・・、はずだった。真希子「ただい
last updateLast Updated : 2026-01-26
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