All Chapters of (改訂版)夜勤族の妄想物語: Chapter 541 - Chapter 550

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7. 「異世界ほのぼの日記3」㊴

-㊴ 肴を考える人魚と、急ぐ不死の魔法使い- マンションの一室で宝田親子がホークマン・クロンから肉惣菜を受け取り、大家が郷土の味に舌鼓を打ちつつビールを楽しんでいた頃、冷蔵庫の中身に驚きを隠せなかった人魚(ニクシー)は叔父であるゲオルの店へと向かった。ゲオル「ピューアじゃないか、今日は何を持って来てくれたのかな?」 最近、拉麺以外の料理を忘れない為にゲオルに手作りの弁当を渡す様になっていたピューア。ピューア「今日は別件なんです、好美の家の冷蔵庫に何も入ってなかったから食料を調達しに来まして。」ゲオル「そうかい、じゃあ久々にラリーさんの所で買おうかな。」 ピューアの手作り弁当のお陰でラリーの店にあるカレーパンがご無沙汰になっていたゲオル、ただパン屋で働く光からとある情報を聞いていた。ゲオル「最近、サンドイッチを出し始めたみたいだから食べてみようかね。」ピューア「確か・・・、ナルリスさんが作っている豚カツやコロッケを挟んだコラボサンドが人気だって聞いてますよ。」ゲオル「それは聞き捨てならない情報じゃないか、美味い物と美味い物が組み合わさっているから不味い訳が無いよね。こうしちゃおれん、急いで買いに行こう!!」 店の店長は着用していたエプロンを脱ぎ捨てて急ぎラリーの店へと向かった、その様子を偶然その場に居合わせた嫁のイェットが見逃さなかった。イェット「あんたね!!自分で洗濯するならそうしても良いけど、いつもほったらかしにしているだけじゃないか!!パン屋に行くならちゃんと拾ってから行きな!!」 妻は大声で怒鳴ったつもりだったが、夫は既に声の届かない所まで走ってしまっていた。イェット「あの人ったら・・・、仕方が無いね・・・。・・・って、あらま、ピューアちゃんじゃないか。やだよ、恥ずかしい所を見られちまったね。」ピューア「こんにちは、叔母さん。今日お店は大丈夫なんですか?」イェット「ああ、バリスがたまには休めってうるさくてね。仕方ないよ、1週間ずっと働いてたんだもの、好美ちゃんも黙って無くて困ったもんだよ。」 イェットの様子を『察知』したのか、コンビニのオーナーから『念話』が飛んで来た。好美(念話)「何言ってるんですか、バリスさんや私だけじゃなくて皆が心配してたんですからね。私も代わるって何回も言ったのに断り続けて体壊したらどうするんですか、
last updateLast Updated : 2026-01-26
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7. 「異世界ほのぼの日記3」㊵

-㊵ 人魚の思い付き- ピューアは目的地に到着すると買い物カゴを手にして店の中を回り始めた、予定の物は1つ2つ程度だったがショッピングも趣味の1つだったのでニクシーはルンルンしながら歩を進めて行った。ピューア「あれは買ったし・・・、そうだ、もう1品作ってみよう。」 冷蔵ケースの商品を見てふと思い立ったピューアは、ケースから離れた別の売り場へと向かおうとした、しかし・・・。ピューア「具材は必要よね、余ったらメラに食べさせときゃ良いし。」 ピューアは一旦引き返してケースの中の商品を手に取ると、ケースを再び離れて必要とされる商品を2つ取りに行った。 会計をすっかりお馴染みとなっている「貝塚Pay」で済ませるとピューアは直接好美の家へと『瞬間移動』した、しかしかなり遅れを取った様で既に宴は始まっていた。好美「結構時間が掛かったね、沢山作るつもりなの?」ピューア「2品程度なんだけどね、〆のラーメンも楽しめる様にと思ってね。」好美「ラーメン?そんなの店で頼めば良いじゃん。」ピューア「皆で囲んでワイワイ楽しめる物にしたの、キッチン借りるね?」 ピューアは一言告げるとキッチンへと入り、フライパンにバターや小麦粉を入れて炒め始めた。どうやら1品目はホワイトソースを使った物の様だ。ピューア「「あれ」の皿あったかな・・・、好美に「あれ」のイメージ無いのよね。」 ガサゴソとキッチンを漁ると奥の方に目的の物を発見したので底にバターを薄く塗った上にホワイトソースを流し込んで買い物袋からある物を取り出した、パッケージには大きく「5分」と書かれている。ピューア「火を加えるから茹で時間は短い方が良いよね。」 マカロニグラタンでも作るのかと思われたがそれでは普通過ぎる、確か本人は少し変わった物と言っていた様な、いなかった様な・・・。ただよく見てみると、本人が持っていたのは同じパスタでもマカロニではなくスパゲティだった。 ピューアはスパゲティを2分程茹でた後、まだ少し(?)硬い状態でホワイトソースの中へと入れるとシュレッドチーズと粉チーズを振りかけてオーブントースターの中へと入れた。 ピューア「後は焼き上がりを待つだけね、さてと、もう1つ作りますか。」 次にピューアは鍋を取り出して水と買って来たパウチから具材入りの素を入れて加熱し始めた、因みに豚の小間切れ肉やカット
last updateLast Updated : 2026-01-26
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7. 「異世界ほのぼの日記3」㊶

-㊶ 誰だって食欲が湧く- 出来立てのグラタンに食らいついた好美はフーフーしなかったので料理の熱さで口をハフハフさせていたが何故か幸せそうに見えた。好美「あっつ・・・、あっつ・・・、でも美味しい・・・。」ピューア「慌てて食べるからよ、ほら水飲んで。」 ピューアがこう言いながら手渡したのはカップ酒だった、この件、守達は身に覚えがある気がしてならなかった。 気を取り直して、好美は「バカ辛鍋」へと目線を向けて箸をつけた。好美「凄い色だけど何が入っているの?」ピューア「フフフ・・・、食べてからのお楽しみ。」 好美はたっぷりの野菜と春雨を一緒に口へと運んだ、ただまたフーフーしなかったので・・・。好美「あっつ・・・、これもあっつ・・・、辛いからビール欲しい。」ピューア「馬鹿ね、さっきもそうだったじゃないの、ほら水。」 そう言って次に渡したのは焼酎、2人が馬鹿なのはお互い様らしい。その様子を見て守は笑っていた。好美「何よ守、馬鹿にしてるでしょ。笑わないでくれる?」守「いやこの光景が滑稽で何処か可愛いなと思ってさ、ただ以前に見た事のあるのは気のせいかなって・・・。」真希子「そんなの気にしても仕方ないじゃないか、折角の料理が冷めるだけだよ。」 確かに真希子の言っている事は間違っていない、しかし何かがおかしい。先程から料理の減りがやたらと早い様な気がする。ただ以前ナルリスの店で見かけた時の犯人である好美は目の前にいるので守は訳が分からなくなっていたがその疑問はすぐに解決した、守は料理のすぐ傍で箸だけが異空間から覗いていたのでその箸の持ち主に小石を掴ませてみた。女性(念話)「痛っ!!何だよ、小石じゃねぇか!!守・・・、やりやがったな!!」守(念話)「やっぱり結愛だったか、お前なら皆大歓迎だから堂々と来いよ。」結愛(念話)「社長の俺が仕事サボって行くわけにもいかねぇだろ、社員たちに示しがつかねぇじゃんかよ。」 つまみ食いをしている時点で十分示しは付いていない気がするが、ただの気のせいだろうか。結愛(念話)「仕方ねぇだろ、毎日資料とにらめっこしてんだから腹も減るんだよ。お前らが羨ましいぜ、俺も酒が呑みてぇよ。」守(念話)「社長だから自由が利くんじゃねぇのか?」結愛(念話)「そういう訳にはいかねぇよ、秘書のヒドゥラが目を光らせてんだぞ!!」 流石
last updateLast Updated : 2026-01-31
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7. 「異世界ほのぼの日記3」㊷

-㊷ 突然やって来た友人と神の手抜き- 大きな水音を上げてプールへと落ち込んだ人間の姿を見て好美は驚愕していた、何処からどう見ても見覚えのある姿・・・、というより友人だったからだ。好美「美麗(メイリー)じゃない、どうしてあんたがここにいるのよ?!しかも私の家のプールに落ちてくるだなんて!!」 好美の家にあるプライベートプールに落ちて来たのはチャイナ服をいつも着ているトリリンガルの友人、そう、学生時代に好美がアルバイトをしていた中華居酒屋「松龍」の1人娘であるハーフの松戸美麗(まつどみれい)だった。きっとこっちの世界に来る際に1歩間違えれば固められた床に激突してしまうが故にプールへ落ちる様にとビクター・ラルーが配慮してくれたのだろう、しかしそれどころでは無い問題が1つ発生していた。好美「美麗!!聞こえてんの?!私が言ってること分かる?!」美麗「え?そこにいるのは好美だよね?いくら私がトリリンガルだからってちゃんと日本語を話してくれないと分からないよ!!」 そう、この世界に来たばかりなので神による『自動翻訳』が『付与』されていないが故に美麗は好美(に見える人物)が全くもって知らない言語を話している様にしか見えなかったのだ。 確かに日本語、(学校で習った程度の)英語、そして普段から母・王麗と話している中国語は話せていたが異世界語についてはずぶの素人と言っても良い。好美(異世界語)「惚けないでよ!!私はちゃんと日本語を話してんじゃん!!」 どうやらすぐ傍にいるピューアに合わせて翻訳されているので美麗からすれば訳の分からない異世界語を話している事になっている様だ、美麗はすぐ近くに守を発見して藁にも縋る思いで声を掛けた。美麗(日本語)「守君もいんじゃん!!守君!!好美がおかしいよ!!何言ってんのか分かんない!!」 しかし、守も好美と同じ状態であった。守(異世界語)「いや、好美はちゃんと日本語を話しているぞ!!」ピューア(異世界語)「待ってよ、2人が話しているのは私と同じ言語でしょ?!」美麗(日本語)「もう、守君まで意地悪しないでよ!!私、どうすれば良いの?!それにその青い髪の人は誰なの?!」 美麗の様子を見てやっと原因が分かった好美は天界へと向かって声高らかに叫んだ。好美(異世界語)「ビクター神様!!どうか美麗(メイリー)に『自動翻訳』を『付与
last updateLast Updated : 2026-01-31
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7. 「異世界ほのぼの日記3」㊸

-㊸ 友にとって初めてばかりの世界- 2~3分程熟考してやっと冷静さを取り戻した美麗は、周囲を見回して自分の置かれた状況をやっと把握した。美麗「取り敢えず上がって良い?このままだと風邪引いちゃうよ。」 水分を含み重たくなったチャイナ服を着たままやっとテラスへと上がった友人を見て、好美は『アイテムボックス』からいざという時の為に(?)貯め込んであったバスタオルを取り出してふんわりと包んだ。好美「びしょ濡れじゃないの、家の中にシャワーがあるからそっち行って!!後で着替え持って行くからね。」 改めて周囲を見回した美麗は好美自慢の「ある場所」を指差して質問した。美麗「ねぇ、あのお風呂に入っちゃ駄目なの?」好美「守がいる前で何馬鹿な事言ってんの、あんた恥じらいってものを知らない訳?」 マンションのオーナーは顔を赤くしながら友人の背中を押して無理矢理脱衣所へと連れて行くと、びしょ濡れになった衣服を脱がせてすぐ近くの洗濯機に放り込んだ(正直、洗濯機にそのまま入れて良いのか分からないままだが)。 数分後、着替え用に用意された服を着た美麗は頭を掻きながらテラスへとやって来た。美麗「これバイト初日にパパが好美に着せようとしたチャイナ服じゃん、何で持ってる訳?」好美「どうやらなんだけど私が火葬される直前に龍さんが棺桶の中に入れたらしくてね、こっちに来た時の荷物に紛れてたのよ。」 好美と美麗は服のサイズが全くもって同じだったので2人は安心していたが、美麗にとって知るべき事はそこでは無い。美麗「それで・・・、ここは何処なの?死んだはずの好美達がいるって事はあの世な訳?」好美「「あの世」というより「異世界」って言った方が良いかも、これに関しては神様から直接説明があると思うから安心して。」美麗「「異世界」ねぇ・・・、だからこの世界では好美みたいに魔法を使ったり髪の青い人間がいてもおかしくない訳だ。」 確かにこの世界では様々な種族が共存しているので髪の色が多種多様ではあるが、ピューアの場合では人間でも無い。好美「そっか・・・、この子に会うのも勿論初めてだもんね。この子は一緒に仕事をしているピューア・チェルド、マー・・・。」ピューア「ニクシーだって言ってんじゃん、いつになったら覚えてくれるの?」 『自動翻訳』にまだ慣れていない所為かこの世界の若者達が同じ言語を
last updateLast Updated : 2026-01-31
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7. 「異世界ほのぼの日記3」㊹

-㊹ やらかしてしまった古龍- 顎が外れる位の驚きをずっと隠せずにいる美麗を横目に龍から『人化』した女性はゆっくりとテラスへと降り立った、好美達にとって見覚えのある全体的にピンクの装い。好美「まさか貴女様の方からお越し下さるとは思いませんでした、わざわざすみません。」女性「こちらこそ色々と申し訳ございません、父はフィーバー中で手が離せないと申しておりますので代理で来ましたの。」美麗「ねぇ、聞き覚えのある声だけどこの人誰なの?」好美「美麗(メイリー)、何とんでもない事言ってんのよ!!こちらの方はさっきお声をかけて下さった女神様じゃない!!」 そう、テラスへと降り立ったのは「一柱の神」と称されるセリー・ラルーだったのだ。セリー「好美さん、美麗(みれい)さんの事を怒らないであげて下さいませ。この世界に来て初めての事ばかりだから動揺するのは仕方ない事じゃないですか、実際貴女もこちらの世界に来た時全く動揺してなかった訳ではないでしょう?」好美「確かにあの時「死んだ」かと思った時にはこの世界にいて、何が何だか分かりませんでした。」 古龍(エンシェント・ドラゴン)・・・、いや女神様に正論を言われて反省する好美の横で未だに驚きと動揺を隠せない美麗。美麗「人が人魚で・・・、龍が人になって・・・、どういう事ー?!」 訳が分からなくなった美麗はその場に倒れてしまった。セリー「あら、何か悪い事をしちゃいましたわね・・・。」 頬を掻く女神を背に急いでキッチンへと向かう好美。好美「水持ってきます!!」セリー「すみません、恐れ入ります。」 数分後、美麗は守に見守られ、そして女神に膝枕されながらゆっくりと目を覚ました。正直、この世界ではかなり貴重な経験と言えるだろう。セリー「だ・・・、大丈夫ですか・・・?」美麗「わ・・・、私・・・。」セリー「無理をなさらないで下さい、今好美さんがお水を持って来て下さいますので。」 好美から水の入ったグラスを受け取った美麗は一気に煽って冷静さを取り戻した。セリー「驚かせたお詫びと言ってはなんですが、治癒魔法をかけさせて頂きますね。」 セリーが右手を美麗の額に添えると、美麗の全身がゆっくりと光り出した。セリー「美麗さん、恐れ入りますが深呼吸をしてくださいまし。」 言われた通りに深呼吸をした美麗は全身の力や緊張が抜け、自
last updateLast Updated : 2026-01-31
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7. 「異世界ほのぼの日記3」㊺

-㊺ きっかけは一服- 恐れながら女神(というより古龍)に質問した好美には気になる事があった。好美「あのセリー神様、どうして美麗(メイリー)はこの世界に来ることになったんでしょうか?」 今までの転生者達のパターンでは、映像付きで説明がされていたが、神々の世界でも親子の間で違いがあるらしく・・・。セリー「そうですね・・・、美麗(みれい)さんは覚えてらっしゃいますか?」美麗「えっと確か・・・。」 美麗が言うには降雪は無かったものの、コート等を羽織らなければ外を歩けない2月の事だった。 この日美麗は会社の会議で使う資料を自室に忘れたのでランチついでに家(というか店)へと取りに帰っていた、恥ずかしかったのか、親子はずっと中国語で話していた。王麗(回想)「あんたも相変わらずな子だね、いくら会社が家に近いからって習慣(クセ)になっていないかい?」美麗(回想)「仕方ないでしょ、昨日だって遅くまで部屋で仕事してたんだもん。資料纏めるの大変なの。」王麗(回想)「よく言うよ、ただ飯目的で帰ってきているクセにちゃんと小遣いから引いておくからね。」美麗(回想)「何よ、ケチ!!」 そんな中、2人にはある違和感があった。王麗(回想)「何か焦げ臭いね・・・。」美麗(回想)「そうだね、1号棟の方かな。」 するとその「1号棟の方」から男性の叫び声が。男性「火事だー!!」 どうやら1号棟1階のコンビニの店員がフライヤーの電源を切らずに煙草へと向かった為に強すぎたガスの火が油に引火して火事が起こった様だ、至って冷静だった親子2人はすぐ近くにあった消火器を手にコンビニに向かった。王麗(回想・日本語)「皆さん、下がって下さい!!」美麗(回想・日本語)「誰か、消防車と救急車の手配をお願いします!!」 こういう現場に慣れているのか、流石は飲食店及び警官の親子だと言える位の手際で消火を始めた。 数分後、必死の思いで火を弱くした2人の耳にまさかの一言が入って来た。女性「中に・・・、子供が・・・!!」 店内が未だに燃えている中、親子連れで来ていた母親が涙ながらに訴えて来た。その声を聞いた美麗はダッシュで店内へと向かった。王麗(回想)「美麗!!」 母の呼び声を背に果敢に救出に向かう美麗は、火により崩れていく瓦礫の中を進んで行った。美麗(回想)「おーい、大丈夫?!返事
last updateLast Updated : 2026-01-31
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7. 「異世界ほのぼの日記3」㊻

-㊻ 母からの最期の言葉- 好美は自分の命を賭して未来ある子供を救った友人を褒め称えた。好美「あんた凄いじゃん、人の為に命張るなんてなかなか出来ないよ。」セリー「きっと美麗さんの姿に惚れた父が、子供を救った美麗さんに新たな人生を与えたんでしょう。」美麗「そうですかね・・・、あんまり実感が湧かないですけど。」 照れつつも辺りを見廻しながら答えた美麗は職場に戻る必要が無くなった、いや戻る事が出来なくなったので一段と落ち着こうと一言放った。美麗「ねぇ好美、私もビール貰って良い?」好美「勿論良いよ、英雄に祝杯を与えないとね。」 しかしテーブルには1本もビールは残っていなかった、どうやら美麗の話を肴に大家たちがずっと呑んでいたらしい。 そんな2人に女神が一言、声をかけた。セリー「あの・・・、お2人は美麗さんのご葬儀の様子は気になりませんの?」好美「セリー神様、えっと・・・、見えるんですか?」セリー「勿論です、父が今まで転生者の方々にして来たようにご覧頂けますよ。」 美麗は固唾を飲んで「イエス」と答えた、咄嗟の行動による自分の死により涙する両親の姿を見るのが怖かったからだ。 本人の返事を聞いた古龍は空中に映像を映し出した、母・王麗が涙を流しながら参列者に言葉を述べるシーンが映し出されていた。よく見ると葬儀の現場では警察の人間が多数を占めていた、やはり警視総監と警視の娘だからだろうか。王麗(映像)「本日はお忙しい中、私達家族の為にお越し頂きありがとうございます。亡くなった娘はきっと生前に亡くした幼馴染に似て勇敢だったと思います、あの子が勇気を出さなければ決して救う事が出来なかった命があったからです。 正直、私は反省する事しか出来ませんでした。「本来は美麗ではなく自分が飛び込むべきだったのではないか」と、「何も出来なかった自分は警視、いや母親失格だ」と。 今思えばその幼馴染も勇敢にも我々の店を救ってくれた記憶があり、その幼馴染の心臓を元々病弱だった娘に移植した時に勇敢さも一緒に受け継いだのでしょう。 もう2度と娘の笑う顔には会えませんが、「さよなら」は言わない事にしておきます。 その代わり、満面の笑顔で2人に「救ってくれてありがとう」と伝えたいと思います。 かんちゃん、美麗に人生をくれてありがとう・・・。 美麗、あんたのお陰で楽しかったよ
last updateLast Updated : 2026-02-03
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7. 「異世界ほのぼの日記3」㊼

-㊼ 親子と龍- 美麗の願いを聞き入れたセリーは、もう一度人の姿に戻り地上へと降り立った。セリー「1つ、お聞きしたい事があるのですが。」 神に改めて何を聞かれるだろうかと身構えていた美麗、意外にも古龍が尋ねたのはまるでウェデイングプランナーがよく聞くようなものだった。セリー「ご両親との思い出の品はございますか?」美麗「思い出の品ですか・・・、これかな。」 美麗は好美と出逢った時から肌身離さず大切に使っていた古い髪留めを頭から外してセリーに渡した。好美「それって・・・。」美麗「これね、高校に入る前私が店を手伝う様になった時にママがくれた物なの。」 美麗はこう語っていた、当時から髪の長かった本人がそのまま手伝いに入ろうとしたのを見た王麗は呆れ顔をしながら娘を裏へと呼び出した。王麗(当時)「あんたも世話の焼ける子だね、うち飲食業だよ?ほら、これ使いな。」 そう言って渡された髪留めを美麗はずっと大切に使っていた、きっと教訓の証として残してあったのだろう。セリー「お預かりしても宜しいでしょうか?」美麗「どうするんですか?」セリー「まぁ、見ててください。」 セリーは美麗に向かって微笑むと、再び龍の姿に戻り飛び立った。 数分後、映像では美麗の火葬の時が迫っていた。王麗(映像)「これで、この子の顔を見るのも最後なんだね。」 大粒の涙を流す妻の肩に手をやった龍太郎、大切な娘の死にずっとその手が震えていた。龍太郎(映像)「ああ・・・、天国で幸せになってくれると良いな。」 棺桶に火が点けられてから数秒後、涙を堪えきれない王麗はその場から離れる事にした。王麗(映像)「ちょっと、外の空気を吸ってくるよ。」龍太郎(映像)「ああ、そうすると良い。俺も行こう。」 夫婦は火葬場の外へ出て空を見上げていた、人気も無くとても静かでただ煙突から煙がでているだけだった。王麗(映像)「あの煙の様に美麗も逝っちゃったんだね、向こうってどんな所なんだろね。」龍太郎(映像)「さぁな、あいつしか分からない事だ。」 それから暫くして、2人の目には遠くから何かが迫って来ているのが映っていた。王麗(映像)「あれは何だい、飛行機かい?それにしてはえらく低飛行だね。」 ずっと眺めていたかったがそういう訳にはいかなかった、ゆっくりとだが2人の元に近付いてきている事に気付い
last updateLast Updated : 2026-02-03
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7. 「異世界ほのぼの日記3」㊽

-㊽ 誇りに思って良いんだ、そして変わらないんだ- 女性の姿で松戸夫婦の前に現れた古龍は、額に汗を滲ませながら2人の前に現れた。女性(映像)「大変失礼致しました、私セリー・ラルーという者です。実は美麗さんからお預かりしている物がありまして。」 セリーは先程の髪留めを王麗に手渡した。龍太郎(映像)「これ・・・。」王麗(映像)「間違いないよ、私があの子にあげたやつだ。どうして貴女がこれを?!あの子はどうしているんです?!」セリー(映像)「ご安心ください、美麗さんは好美さん達と同じ世界で元気でいますよ。」龍太郎(映像)「という事は、娘は寂しい想いをしなくて良いんですね?」セリー(映像)「はい、そして皆様に幸せに暮らして欲しいと仰っていました。」 女神の言葉を聞いた王麗は、涙を流しながら笑っていた。王麗(映像)「バカだね・・・、あんた無しでどう幸せになれってんだい・・・。」 美麗は映像に映る母親につられる様に涙を流していた、自分が死んだ事により両親を悲しませてしまった事を何よりも悔いていたからだ。美麗「好美・・・、私って大罪人だね。親不孝者だね!!どうやって謝罪すべきだと思う?!」好美「どうして謝罪する必要がある訳?!あんたは勇敢な姿と共に亡くなった訳でしょ?!さっき女将さんだって誇りに思っている様に言ってたじゃん!!本当はあの時自分が行くべきだったのにって言ってたじゃん!!」美麗「じゃあ私はこの世界で堂々としていたらいいのかな?」好美「当たり前でしょ?!堂々と生きて欲しいって意味でこの世界に送られたと思うよ!!気になるなら神様に聞いてみなよ!!」美麗「どうやって聞くの?!セリーさんはあっちの世界に行っちゃったじゃん!!」 確かに美麗が言っている事は間違っていない、その言葉に好美は頭を悩ましていた。確かにセリーは好美達が元々いた世界にいる上にビクターは(多分)まだパチンコ屋だ、両方共声が届くような状況だとは言えない。好美「大丈夫だから、安心してよ。」美麗「どうするつもり?!」 好美は懐から携帯を取り出して電話をかけた。好美「ねぇ、今から来れない?場所?私の家だよ・・・。あれ?来た事あったでしょ・・・。分かったけど・・・、今午前中だから家にいるんだよね・・・、じゃあ迎えに行くからね。え?何もしなくて良いの?じゃあ、このまま待ってたら
last updateLast Updated : 2026-02-03
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