静香の病状はまだ初期段階で、各臓器の機能低下もそれほど深刻ではなかったおかげで、中島とそのチームは、静香の体調や病状を総合的に見直し、何度か治療方針を調整した結果、ついに病状を安定させるための治療プランを見つけ出した。その知らせを聞いた瞬間、玲奈と青木おばあさんの張り詰めていた気持ちはようやく解けた。半月の間、青木家に覆いかぶさっていた暗雲はついに晴れたのだった。その晩、感極まって涙を流した青木おばあさんは、自ら台所に立って夕飯を作り、皆でその回復を祝った。夕飯を食べ終えて、玲奈がおばあさんと一緒にリビングに座ったばかりの頃、茜からの電話がかかってきた。玲奈と茜が最後に通話してから、実はすでに一か月以上が経っていた。前回茜から電話があった時、本来なら出るべきだった。でもちょうどその頃、静香の臓器不全が判明したばかりで、彼女は気分が塞いでいて、その電話には出なかったのだ。でも今となっては……青木おばあさんは茜からの着信を見て、こう言った。「出なさい」茜が優里と親しいことに、青木おばあさんは内心気にせずにはいられなかった。最近玲奈が茜を呼ばなかったのも、茜の存在があの頃の限界状態だった自分の心をさらに追い詰めるのではと気遣ってくれていたのだろうと、すでに察していた。優里に近づいた茜のことを、本気で責めたことはなかったが、あの日々の中で本当に茜が目の前に現れたら、憤りや不公平感で心がかき乱されたのは間違いない。だが今、娘の病状に希望が見えた今となっては、やはり玲奈と茜が母娘として向き合うことを願わずにはいられなかった。玲奈はスマホの画面に表示された「茜」という名前を見つめ、数秒の間を置いてから電話を取った。前に電話に出てもらえなかった時、茜は数日おいてからもう一度かけようと思っていた。けれど、以前なら「ママに会いたくなったらいつでも電話していい」と言ってくれていたパパが、今回は「ママはいま忙しいから、しばらくは連絡しない方がいい」と言ってきた。それで茜も、しばらくは我慢していたのだ。でも本当に、もうずっとママに会っていないし、電話もできていなかった。だから今日、我慢できずに玲奈にかけてみた。そしたら、本当にママが出てくれた。玲奈の声が聞こえた瞬間、茜はいつも通り、興奮気味に叫んだ。「ママ!」玲奈が返事をするより先に、最近どれだけ会い
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