Semua Bab クズ男と初恋を成就させた二川さん、まさか他の男と電撃結婚！: Bab 421 - Bab 426

安東母は思わず目をひそめて呟いた。まあ、結婚が早まらないのも悪くない。この緒莉って女、ようやく分かってきたけど、どうも一筋縄ではいかないタイプだ。嫁いできたら、何をしでかすか分かったもんじゃない。自分も年なんだから、そんな面倒ごとはもう御免だ。その言葉を聞いた安東父は、怒りが一気に爆発した。「それどういう意味だ？辰琉は俺だけの息子なのか？」安東母は目を見開き、言い返した。「私そんなこと言っていないわよ。あなたが勝手に言ってることじゃない」その返しに安東父はますます苛立ち、部屋の中を行ったり来たりしながら怒鳴った。「俺がここまでして、結婚を急がせたのも、全部この家のためだろうが！」「うちの会社の今の状況、少しは分かってるのか？」「このままじゃ会社が潰れるかもしれないって時に、お前はどこでエステするつもりだ？今みたいに悠々と麻雀してられるか？ほんとに恵まれてることが分かってないんだな」安東父は冷たく鼻で笑って、怒りのまま家を出ていった。女なんて話してるだけ無駄だ、どこまで言っても通じない。安東父はようやく悟った。緒莉、あの女はまだ結婚したくないようだ。ということは......まだ他に誰か見てるってことか？息子にだって何一つ非はないのに、いったいどういうつもりなんだ。うちの安東家はな、そんな優柔不断な女なんて要らない！もし本当にあの女が嫁いできたら、自分がしっかり教育してやる。そうでもしなきゃ、あいつはきっと自分の立場も弁えないまま好き放題するだろう。だが、そんな裏の話は、すでに家を出た緒莉の耳には届いていなかった。彼女はまさか、自分がまだ嫁ぐ前から、すでにしつけるだの教育するだのと考えられていたなんて、想像すらしていない。安東家に嫁いるする前から「家のルール」を学べと言われるような扱い。どこに置いても、それは異常な話だった。その頃、辰琉が外へ追いかけてきたときには、緒莉はもう車に乗り込んで、今にも出発しようとしていた。彼は咄嗟に両腕を広げ、車の前に立ちはだかった。緒莉は目を細め、ウィンドウを下ろしたが、エンジンは切らなかった。「何のつもり？死にたいの？」その鋭い眼差しに、辰琉はびくっと身をすくませた。ついさっきまで、あんなに仲睦まじくしていたのに.

辰琉はどこか陰のある笑みを浮かべながら、ゆっくりと地下室へと歩を進めた。地下室にいる女性は、当初はぼんやりとした表情をしていたが、辰琉の姿を目にした瞬間、はっと正気に戻った。身体に巻きつけられた鎖が、カシャンカシャンと鈍い音を立てる。彼女の口は布で塞がれており、声を発することはできなかった。ただ、わずかに動く瞳だけが、彼女の意識がはっきりしていることを物語っていた。身にはわずかな布切れしか身につけておらず、極端に無防備な状態だった。その姿を見た辰琉の目に、抑えきれない欲望が浮かんだ。まるで、彼女が自分を迎え入れるためにそこにいるかのように感じられたのだ。彼女の身体には、痛々しい跡が点々と残っていた。その目は本来、感情を失ったかのように静かだったが、辰琉を見た途端、強烈な憎しみが滲み出た。辰琉は冷笑を浮かべながら近づき、彼女の顎を強引に掴んで、低く言い放つ。「なんだ、その目は？俺がそんなに気に食わないのか？」「そんな顔をして......」彼女の顔立ちは非常に整っており、よく見れば紗雪にどこか似ていた。それだけでなく、身にまとっている気の強さも、紗雪に通じるものがあった。だからこそ、辰琉は彼女に異様な執着を抱いていた。彼女の名は小松崎真白（こまつざきましろ）。辰琉が偶然外で見つけ、連れて帰った女性だった。当時の彼女の体は傷だらけで、目を覚ましたときには記憶をすべて失っていた。辰琉はその隙をつき、彼女を自宅に迎え入れた。きっかけは、彼女の容姿が紗雪に似ていたというだけだった。だがその後も、彼は真白に紗雪の影を重ね続け、気がつけば二人の関係は曖昧なものになっていった。最初、真白は本気で辰琉と向き合おうとしていた。見た目も悪くないし、家柄も申し分ない。将来を考えるには悪くない相手だと。しかし、時間が経つにつれ、真白は徐々に記憶の断片を取り戻し始めた。それに気づいた辰琉は、思い通りにいかなくなる前に強硬な手段を取るしかなかった。真白の気の強さと冷ややかな眼差しを見て、辰琉の中には相反する感情が渦巻いていた。彼は真白の口を塞いでいた布を乱暴に引き抜き、不満げに言った。「あの二人、何をしてるんだ。君にこんな粗雑なことをするなんて」そして、自分が優しく慰めてやるのだ

しかし時間が経つにつれて、こんな日々もやはり駄目だと思えてきた。ただただ虚しく、怠惰すぎる。そこで初芽は、思いきってダンスとファイナンス講座に申し込み、毎日をそんなふうに充実させるようにした。一方、加津也のほうは、別に初芽を放っておいているわけではなかった。ただ、本当に時間が取れなかったのだ。西山父は毎日決まった時間に彼を監視していて、まるで囚人でも見張っているかのようで、少しの自由すら与えてくれなかった。今となっては、加津也もあの小さな部屋に戻るのが嫌になってきている。あの場所には、陰謀と計算ばかりが渦巻いている。西山父にとって、息子の幸福などまるで価値がなく、利用価値がなければ意味がないものなのだ。そのことをはっきりと理解した今、加津也はますます初芽と一緒にいたいという気持ちを強めていた。周りの人間はみんな彼の金目当てだった。しかし、初芽だけは違った。何年も真面目に、誠実に彼のそばにいてくれて、何一つとして欲を出したことがなかった。けれど出自の違いというだけで、彼の両親は初芽のことを認めようとしなかった。だが、彼らはもうとうの昔に将来を誓い合った仲だった。一生を共にすると。加津也は深く息を吸い、西山父に正面から話をしに行くことを決意する。書斎で仕事をしていた西山父は、彼がやって来たのを見て少し驚いた様子だった。「なんだ、急に」金縁の眼鏡をかけた西山父は、厳格で恐ろしい雰囲気を放っていた。ただ一瞥されただけで、加津也は少し怯えてしまった。父親の圧倒的な存在感は今も健在で、年月が経ってもまったく変わっていない。表情一つすら変わっていないように思えた。加津也は拳を握りしめながら言った。「父さん、今日は話したいことがあって来たんだ」「言いたいことがあるなら、さっさと言え」相変わらずの冷たい表情で、西山父は淡々と返す。離れていた時間のあいだ、加津也は何度も初芽に電話をかけようと思った。しかし叶わず、とうとう彼女は彼の番号をブロックしてしまった。それにしても、こんな奇をてらった手段ばかり、いったい誰に教わったのか。息子の姿を見ながら、西山父は思わず口にした。「まあいい。年齢的にも仕方ない。今は若い者たちの時代だ」そう言ってから、西山父はずばりと核心