どうして今まで気づかなかったのだろう。姉は、自分が思っていた以上に演技派だったらしい。こんなに長い間、もし今回戻ってこなければ、彼女は気づくこともなかっただろう。いや、そもそも、こんな出来事を緒莉に結びつけることすらなかったはずだ。緒莉はまず真名子と会った。彼女は大量のお菓子を真名子に渡し、その手を取って笑いながら言った。「真名子、今回は本当にありがとう。今度ご飯奢るね」真名子も礼儀正しく、いかにも親友同士といった様子で応じた。「緒莉お姉ちゃん、そんなに気を遣わなくていいのに。だってあの子、ひどいよね。いつも緒莉お姉ちゃんをいじめてるんだし、ちょっと懲らしめてやったっていいでしょ。それに、あんなの自業自得だよ」その言葉を聞いた瞬間、紗雪は思わず二歩後ずさった。二人、本当に知り合いだったのか。じゃあ、自分の小学校時代最大のトラウマは、緒莉と直接関係があったってこと?なぜ、彼女はこんなことをするの?おかしい。昔の緒莉は、確かに自分をあまり好きじゃなかったけど、それでも必要なものはちゃんと与えてくれていた。少なくとも、テレビで見るような意地悪なお姉ちゃんみたいにいじめてくることはなかった。幼い紗雪は、それだけで満足していたのだ。でも、今ならはっきりわかる。この緒莉、根っこから黒い。嫌いなものは嫌い。それだけ。理由なんてない。真名子の言葉を聞いた緒莉は、うつむき、わざと怯えたように言った。「仕方ないんだ。お母さんは小さい頃から妹ばかり可愛がるから......私にできるのは、紗雪よりもっと一生懸命勉強することだけ。そしたら、お母さんも少しは私を見てくれるかもしれないから」その言葉に、真名子はますます胸を痛めた。「緒莉お姉ちゃん、大丈夫。またあの子が意地悪してきたら、私に言って。一緒にやり返してあげるから!」当時の真名子は、家柄も背景も二川家よりはるかに上だった。だからこそ、紗雪はいまだに理解できない。緒莉はいったいどうやって真名子に取り入り、ここまで信用させたのか。すべてが不自然に思えてならない。けれど、答えをくれる者は誰もいなかった。紗雪は、ただの傍観者にすぎないのだ。真名子を家に送った後、緒莉は手土産を持って、今度は先生のとこ
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